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サファリア女学院から青藍高校へ潜入!? 〜お嬢様の「普通の恋」は、完璧な執事が絶対に許しません〜』  作者: 琥珀かえで


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第79章:ウエディングスクリーンの反逆〜指輪の採寸と、流出する悪女のワガママ〜

「……誠さん、どうしてここなの?」

私は、誠さんにエスコートされて足を踏み入れた場所を見て、戸惑いの声を上げた。

そこは、都内でも限られた超VIPしか入ることのできない、森野海斗社長が手掛ける最高級ジュエリーショップの貸切フロアだった。きらびやかな宝石たちが、まばゆい光を放って並んでいる。

誠さんはいつもの完璧なポーカーフェイスのまま、静かに口を開いた。

「お嬢様、南条財閥との縁談の席でのお話をお忘れですか? お嬢様は現在、南条隼人様と結婚を前提にお付き合いをされている身。本日は、森野社長に特別にデザインしていただく婚約指輪の『サイズの確認』のために参りました」

その言葉に、私の胸はズキリと痛んだ。

逃げられなかった縁談。隼人の腕の中に囲い込まれていく現実。冷たい金属のリングゲージを指にはめられながら、私は今日という日――拓人くんが別の女性と永遠を誓う瞬間のことを思い、静かに目を伏せた。

一方その頃。

政財界の大物たちが集う都内最高級のウエディング会場では、如月あやめがウエディングドレス姿で扇子を片手に高笑いを響かせていた。

「あらっ、かすみさんがいないの? まぁ、せっかくの私のこの美貌と幸せを見せつけてあげようと思ったのに、台無しですわね。おほほほ!」

勝ち誇るあやめの視線の先には、たった1人で列席している南条隼人の姿があった。あやめの露骨な嫌味に対しても、冷徹な帝王である隼人は氷のような視線を向け、鼻で笑って言い捨てた。

「……くだらない。お前の見え透いた虚栄心など、かすみに見せる価値もない」

隼人のその言葉にあやめは一瞬顔を歪ませたが、すぐに「負け惜しみね」と余裕の笑みを取り繕い、新郎である貝森拓人の腕にベッタリと絡みついた。拓人は無表情のまま、その腕を受け入れている。

そして、結婚式も中盤に差し掛かった頃。

会場の照明が暗くなり、巨大なスクリーンに『2人の思い出の生い立ちムービー』が映し出される時間となった。

ロマンチックな音楽とともに、あやめと拓人の写真が流れる……はずだった。

『――ザザッ……!!』

突如、スピーカーから耳障りなノイズが鳴り響き、スクリーンが真っ黒に切り替わった。

そして次の瞬間、大画面に映し出されたのは、スーパールッツの意図的な計画倒産を示す裏帳簿のデータと、如月大和が配り歩いていた『毒饅頭(賄賂)』の動かぬ証拠の数々だった。

「な、なんだこれは!?」「どうなっている!!」

列席していた政財界の重鎮たちが、次々と顔面蒼白になって立ち上がる。大和パパと愛人秘書も、血の気を失って凍りついた。

さらに、会場の巨大スピーカーから、決定的な『音声』が大音量で再生された。

それは、あやめが父親である大和に泣きついている、あの日の秘密の録音データだった。

『パパ、お願い! 私、どうしても貝森拓人とお付き合いしたいの! なかば強引でもいいから、ルッツを潰してでも何とかしてよ!!』

あやめの醜いワガママと底知れぬ悪意が、数百人のゲストの前で完全に晒された瞬間だった。

「うそ……やめ、やめてっ! 止めてよ!!」

純白のウエディングドレスを着たあやめが、パニックを起こして悲鳴を上げる。

その横で、貝森拓人は初めて、氷のような冷たい笑みを浮かべてあやめを見下ろしていた――。

80章に続く

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