第69章:貝森財閥を喰い潰した悪女の執念〜毒饅頭と愛人秘書、真の黒幕は如月あやめ〜
如月大和――。
その名を聞けば、財界の人間なら誰もがピンとくる。圧倒的な資金力で頂点に君臨する、冷酷無比な権力者。
しかし、その絶対的なトップである大和を裏で密かに操っていたのは、他でもない彼の娘・如月あやめだった。大和はあやめの言うことなら何でも聞き入れる、異常なまでの溺愛ぶりを見せていたのである。
あやめの目的はただ一つ。貝森拓人と婚約し、結婚すること。
それは拓人を純粋に愛しているからではない。目障りな「納屋かすみ」から彼を完全に奪い取り、自分の手駒として支配するためだけに仕組まれた、執念のゲームだった。
かつて、庶民に愛される親しみやすい店舗として貝森財閥が創業したスーパールッツ。
あやめは、拓人の実家の事業であるそのスーパールッツに目をつけた。わざと採算の合わない高級路線へと強引に変更させ、客離れを引き起こして計画倒産に追い込んだのも、すべてはあやめの差し金である。
貝森財閥から財力と地位を奪い、拓人を孤立させ、如月財閥にすがりつくしかない状況を作り出す。すべては、拓人を確実に手に入れるためだけに彼女が仕掛けた卑劣な罠だったのだ。
そして、娘の暴走を支えるように、如月財閥の闇もまた深く黒く広がっている。
政財界の大物たちを集めては、表向き「会食」と称した密会を繰り返す如月大和。その帰り際、大和は必ず桐箱に入った「高いお饅頭」を手土産として手渡していた。それこそが、如月財閥が相手の弱みを握るための絶対的な武器――通称『毒饅頭』である。
さらに、その黒い会食を完璧に取り仕切り、大和の隣で妖しく微笑む美人秘書は、単なる優秀な部下ではない。彼女は裏で大和とドロドロの愛人関係を結び、如月財閥の闇の恩恵を貪る共犯者でもあった。
拓人の実家である貝森財閥を喰い潰したあやめの異常な執着心と、大和の毒饅頭が支配する如月の黒い帝国。
すべてを奪われ、あやめの檻に囚われた拓人と、密室で隼人の狂愛に包囲されたかすみ。彼らの運命は、この底知れぬ悪意の渦の中で、さらなるパニックへと飲み込まれていくのだった――。
第2シリーズ70章に続く




