第63章:暴走する執事!南条財閥へのカチコミと、禁断の彼女宣言
南条財閥のラグジュアリーな本邸で、隼人さんやそのご両親(虎之介様・可憐様)の深い溺愛に包まれ、静かに休養していた私。
しばらくサファリア女子大を休んでいる私の元へ、鉄壁のセキュリティを誇るはずのこの屋敷の静寂を破って、招かれざる『影』が突如として現れた。
「――お嬢様をお迎えに上がりました」
低い、けれどお屋敷の広間に不気味に響き渡る声。
南条家の豪華なエントランスに立っていたのは、仕立ての良いスーツを身にまとい、メガネの奥の瞳を獰猛な狼のようにギラつかせた、私の専属執事・長谷部誠だった。私を血眼になって探し出し、ついに南条財閥の総本山へと単身で乗り込んできたのだ。
応対に出た隼人さんのお母様・可憐様は、誠さんの放つただならぬ威圧感に一瞬眉をひそめたものの、すぐに大財閥の気品を湛えて毅然と言い放った。
「あら……納屋家のお抱え執事さん? ちょうどこちらから、後日納屋財閥(あけみ様・薫様)へ正式にご挨拶に伺うつもりだったのだけれど。……申し訳ありませんが、まだかすみちゃんは体調が良くないのよ。今日のところは、お引き取り(お帰り)ください」
暗に「これからは南条家がかすみちゃんを守るから、執事の出る幕はない」と告げる可憐様の冷徹なシャットアウト。
普通のエリート執事なら、ここで深く頭を下げて撤退するはずだった。
しかし、お嬢様を自分の鍵をかけた部屋(籠)に監禁し、永遠に独占することしか頭にない誠さんの狂気は、すでに大人の理性を完全に焼き尽くしていた。
誠さんはゆっくりと手を伸ばすと、かけていたメガネを静かに外し、床へと投げ捨てて粉砕した。むき出しになったのは、嫉妬と独占欲で完全に血走った、男の狂おしい瞳。
誠さんは南条財閥の豪華絢爛な屋敷の中に堂々と足を踏み入れると、虎之介様と可憐様、そして奥から駆けつけてきた総帥・南条隼人を正面から見据えて、恐ろしいほどの怒声で言い放ったのだ。
「……すまないが、帰るわけにはいかない。――かすみは、俺の女だ」
「なっ……!?」
屋敷の空気が、一瞬で凍りついた。
「執事がお嬢様に対して何を言っているんだ!」と絶句する両親の横で、マッツウィックスの若きCEO・南条隼人の顔から完全に余裕の笑みが消え、冷酷な帝王の瞳へと切り替わる。
「僕の婚約者候補に向かって、一介の執風情がずいぶんな寝言を言うじゃないか……。長谷部誠、今すぐその言葉を撤回してもらおうか」
「寝言だと? お嬢様が本当に求めているのは、あなた方のような偽りの城ではない。私が用意した、あの甘い安全な檻の中だけだ……!」
南条財閥の城のド真ん中で炸裂した、執事・誠さんの禁断の「俺の彼女」宣言!!!
かすみお嬢様を巡る、カリスマ若きCEO南条隼人と、すべてを捨てて暴走するヤンデレ執事・誠さんの、命をかけた【お嬢様争奪・大人の最終戦争】のゴングが、ついに鳴り響いたのだった――。
第64章:隼人のマッツウィックスガード発動!誠の完全ヤンデレ誘拐作戦編へ続く




