第35章:身の程知らずの露村財閥、哀れな悪あがきと狂気の招待状
その頃、貝森財閥のダイニングが温かい愛で満たされている裏で、露村財閥の本邸は血を吐くような泥沼の空気に包まれていた。
「おのれ……! なぜあの食事会の席で、あんな失礼なことを言ってしまったのだ……っ!」
トップの露村陣と息子の隼人は、かすみを「世間知らず」と冷たくあしらってへそを曲げさせ、婚約を台無しにしてしまったことを激しく後悔していた。だが、それは反省ではなく、ただの強欲な執着ゆえだ。
陣はデスクを激しく叩き、隼人を怒鳴りつけた。
「隼人! お前がサファリア女学院の学園祭でかすみお嬢様を知っていたなら、なぜ早く報告しなかった! 勝手な真ねをするな!」
「す、すみません、父上……っ」
トゲトゲの指輪を震わせる隼人に、陣はギラついた目でさらなる命令を下す。
「いいか、隼人。次のツリンベッティー学園の学園祭には、何としてでもかすみお嬢様をこちらから招待しろ! そして車で迎えに行き、我が露村の力を見せつけるのだ。――それから、近々我が財閥の新作ジュエリーのお披露目会がある。そこへ、納屋あけみを『特別招待』する手はずを整えろ!」
それを横で聞いていた妻の露村麗華が「あなた、私は……?」と口を挟もうとした瞬間、陣は冷酷に言い放った。
「麗華、お前は出てこなくていいからね。お前のような下品な元クラブオーナーが出しゃばると、全ての計画がダメになる。引っ込んでいろ!」
「な、なんですって……っ!?」
麗華が顔を真っ青にするのも無視し、陣と隼人は歪んだ笑みを浮かべて、世界最強の包囲網が敷かれているとも知らずに暴走を続ける。
「そうだ……まだあの娘は正式に結婚していないのだから、奪うチャンスはいくらでもある! 我が露村財閥をコケにしたあの貝森財閥と森野財閥め、まとめて懲らしめてやる。本当に、あの高貴な納屋あけみと納屋かすみにふさわしいのは、この露村陣と隼人なのだからな……!」
泥舟が沈む直前だというのに、傲慢な妄想を膨らませる露村の父子。
だが、彼らが動き出そうとしたその瞬間、すでに彼らの新作ジュエリーの全利権と露村財閥の全資産は、貝森孝雄パパが率いる『スーパールッツ』の超巨大なラグジュアリー・カートによって、跡形もなく更地にされるカウントダウンを迎えているのだった――。
第36章:ツリンベッティー学園の招待状と、40年越しの情けない執着編へ続く




