第27章:スーパールッツ夫妻の電撃お迎えと、最強の味方
「私にはやっぱり無理……っ! あんな凄いところに突撃したら、まだ貝森財閥には不釣り合いなのよって言われちゃうよ……。誠さん、そうでしょ……っ?」
大急ぎで納屋財閥の邸宅へと逃げ帰ってきた私は、自分の部屋へと駆け込み、ベッドの上でお守りの「自由帳」をぎゅっと抱きしめながら、ポロポロと涙を溢れさせていた。
男らしく挨拶に来てくれた拓人さんのために、今度は私が! と意気込んで貝森財閥の門前まで行ったものの、あの圧倒的な格式の高さとプレッシャーに完全に負けてしまったのだ。
情けなくも、部屋のドアの外に控えているであろう執事に向かって問いかけると、ドアの向こうからスッと冷徹な、けれどどこか歓喜を隠しきれない長谷部誠の声が響いた。
「――そうでございますよ、かすみ。あのような一般の害虫が背伸びをして作った歪な財閥など、我が納屋財閥の至宝たるあなたには到底不釣り合い。あのような場所へ行って傷つく必要など、最初から 1 ミリもないのです。お嬢様はただ、私の過保護な檻の中で、自由帳を抱いて甘やかされていれば良いのですよ」
「誠さん……っ」
相変わらずのブレない全肯定(と、どさくさ紛れの呼び捨て)の言葉に、私は少しだけホッとしながらも、拓人さんへの申し訳なさと自分のヘタレさに、真っ赤な顔でベッドに突っ伏すしかなかった。
――けれど、この時の私はまだ何も知らなかった。
私が門前で逃げ帰ったその裏で、超巨大グループ『スーパールッツ』の創業者である拓人さんのご両親――貝森孝雄とあずみ夫妻が、私の過去を調べ上げ、露村隼人の「婿養子に入って財産を乗っ取る企み」に限界突破の大激怒をしていたことを。
ピンポーーーーンッ!!!
その時、お屋敷の中に地鳴りのような重厚なインターホンの音が鳴り響いた。
慌てて私がリビングへと降りていくと、窓の外には、見たこともないほどピカピカに磨き上げられた最高級外車の車列がずらりと並び、納屋財閥の広大な前庭を埋め尽くしていた。
「まぁ、これは一体……!?」
納屋あけみお母様と森野薫お父様が目を見張る中、リビングの扉が堂々と開かれ、圧倒的なカリスマのオーラを放つ紳士と、最高にエレガントな貴婦人が入ってきた。
「はじめまして、納屋夫妻。……そして、君がかすみちゃんだね。私は貝森拓人の父、貝森孝雄だ」
「拓人の母の、あずみですわ。急に押し掛けてしまってごめんなさいね」
「す、スーパールッツの創業者夫妻……っ!?」
あけみお母様と薫お父様が驚愕の声をあげる。
私は「不釣り合いだって怒られちゃう……!」と自由帳を抱きしめてガタガタと震えたが、あずみママは私の元へ優しく駆け寄ると、温かく私の手を包み込んでくれた。
「かすみちゃん、怯えなくていいのよ。あなたの過去も、露村のあのトゲトゲ男が企んでいた『財産目当ての婿養子計画』も、私達がすべて調べ上げましたわ。……あんなクズ財閥の言うことなんて気にしなくていいの。あなたはちっとも不釣り合いなんかじゃない、私達の自慢の可愛いお嫁さん候補よ!」
「え……っ?」
さらに孝雄パパは、あけみお母様と薫お父様の前に一歩進み出ると、優しく、けれど重みのある声で真っ直ぐに告げた。
「納屋夫妻、どうか安心してください。私たちは、かすみちゃんを我が家に迎えた暁には、ただの息子の嫁としてではなく、私たちの『実の娘』のように、溢れんばかりの愛で大切に接してあげたいと考えています。何があっても、彼女を生涯かけて守り抜く覚悟です」
「まぁ……拓人くんのご両親様……っ!」
その温かい言葉に、あけみお母様が感動でパッと目元を潤ませ、薫お父様も深く感謝するように深く頷いた。
孝雄パパは鋭い瞳をキリリと光らせ、地鳴りのような低い声で言い放った。
「我が最愛の息子・拓人が命に代えても守ると誓った、私たちの実の娘も同然のかすみちゃんを傷つけ、納屋財閥を道具にしようとした露村財閥など、我がスーパールッツの総力を挙げて、明日までにこの世から完全に叩き潰して更地にしてくれる。さぁかすみちゃん、私達と一緒に、我が家へお迎えに行こうじゃないか!」
「パパ、ママ! 先行ってお迎えに来ちゃうなんてずるいよ!」
後ろから慌てて追いかけてきた拓人くんが照れくさそうに叫ぶ中、横に直立不動で控えていた長谷部誠のメガネが、「おのれ、親世代まで総出でお嬢様を実の娘扱いして檻から連れ出そうとするかァァーーッ!! ギガ万死!!」とバキバキにひび割れた。
不釣り合いだと泣いていた私は、世界最強のパパとママ、そして本命彼氏の拓人くんの特大の愛に包まれ、最高の光の未来へと連れ出されるのだった――!
第28章に続く




