第24章:お母様の鋭い問い詰めと、真っ赤なオロオロ
執事の長谷部誠へのお説教が一段落すると、リビングに漂う重苦しい空気の中、今度はあけみお母様の鋭い視線が、後ろで小さくなっていた私へと真っ直ぐに向けられた。
「――そして、今度はかすみちゃん。あなたの番ですわよ」
「ひゃ、ひゃいっ……!?」
お母様はソファから少し身を乗り出すようにして、ジロリと私を見つめて言った。
「かすみちゃん、あの露村財閥の会見場での貝森拓人くんの行動は一体なんなのかしら? 日本中が見つめる生中継のカメラの前で堂々と『本命彼氏』だと言い放って、あなたのほっぺにどさくさ紛れのチュッ(接吻)までするなんて……! かすみちゃん、まさかあなたが家出した時から、もう彼氏彼女の関係ですの!?」
「そ、それは……っ!」
お母様からの直球すぎる問い詰めに、私の顔が一瞬でリンゴのように真っ赤に染まる。
青藍高校での秘密のパジャマパーティーの思い出や、拓人さんが私の心の支えになってくれたあの温かい夜のことが一頭の中を駆け巡り、恥ずかしさと緊張でお料理の時以上に言葉が喉を通らなくなってしまう。
私はいつも片時も離さず持っている、お守りの「自由帳」を胸元でさらにぎゅっと強く抱きしめながら、真っ赤な顔のまま、お母様とお父様の前でただオロオロと震えることしかできなかった。
そんな私の様子を見て、横にいた誠のメガネの奥の瞳が、いっそう不穏にギラりとヤキモチの炎を燃え上がらせる。
「お嬢様……。家出の最中に、あの貝森拓人とそこまでの深い関係に発展していたとは、執事として、そして一人の男として断じて看過できません。お嬢様、今夜はみっちりと、私の部屋で過保護なお仕置き(家庭訪問)が必要なようですね……」
誠の凄まじい嫉妬のオーラがリビング中に満ちていく中、私は拓人さんへの恋心を隠しきれず、ただ胸を高鳴らせるのだった。
けれど、この時の私達はまだ知らなかった。
会見場で堂々と「本命彼氏」を宣言したあの貝森拓人が、この後すぐ、おそろいの指輪という特大の嵐を引っ提げて、この納屋財閥の邸宅へ直々に挨拶へ乗り込んでくることを――!
いよいよ本命彼氏の貝森拓人が納屋財閥にあいさつに行きます




