第22章:凍りつく会見場!本命彼氏・貝森拓人の堂々たる奪還宣言(前半)
日本中へ生中継されているカメラの前で、どさくさに紛れて「私と結婚してください!」と片膝を突き、バキバキにメガネを発光させている過保護執事・長谷部誠。
あまりにも突き抜けた暴走プロポーズに、報道陣のシャッター音が完全に止まり、会見場全体がシーンと凍りついた――その静寂を、激しい足音が力強く踏み荒らした。
「――おい、長谷部誠。どさくさに紛れて、何カメラの前で勝手なこと言ってんだよ」
誠の横をすり抜け、私の目の前に真っ直ぐに歩み進み出てくれたのは、青藍高校の制服の襟を正した貝森拓人だった。
拓人は誠の放つ不穏な威圧感を物ともせず、私の前に立ちはだかるようにして、その大きな背中で私を背後にかばってくれた。胸元に自由帳を抱きしめたまま、私は拓人の頼もしい背中を見つめ、トクン、と胸を高鳴らせる。
「拓人……さん……っ」
拓人は一度だけ優しく私を振り返って安心させるように微笑むと、鋭い瞳で誠を、そして壇上の露村隼人を真っ直ぐに見据えた。
「露村も長谷部も、お前らいい加減にしろよ。かすみちゃんを自分の都合のいい人形にしようとしたり、自分の過保護な檻に閉じ込めようとしたり……そんなの、かすみちゃんの本心が全部置き去りじゃねえか。……日本中の皆様、よく見ておいてください。納屋かすみちゃんの本命の彼氏は、露村でも長谷部でもない。――この俺、貝森拓人です!!」
会見場に、今日一番の凄まじいどよめきとフラッシュの嵐が巻き起こる。
「な、何だとォ!?」「青藍高校の普通の男子生徒が、納屋財閥のお嬢様の本当の彼氏なのか!?」
マイクの向こうで隼人が「一般民の分際で、我が露村の婚約者に何の口を利く!」と顔を真っ青にして絶叫する中、拓人はさらに一歩前へ踏み出し、私の手を優しく、けれど誰にも渡さないという強い力でぎゅっと握りしめた。
「かすみちゃん。もう怯えなくていいよ。露村の冷酷な奴らからも、この暴走執事からも、俺が君を絶対に守り抜いてみせるから」
本命彼氏の圧倒的な男前さと輝きの前に、どさくさ告白を決めていた誠のメガネが、初めて「ぐぬぬ……!」と悔しさでバキバキにひび割れた瞬間だった――!
後編に続く




