第368章:狂気の密礼、偽りの愛の誓い
外の世界から完全に隔絶された、南コンチェル系列の隠された別荘。
その一室は、南条隼人の独りよがりな狂気によって、不気味な「結婚式場」へと変貌を遂げていた。白いドレスを着せられたかすみの前で、隼人は完璧に整形された顔に恍惚とした笑みを浮かべ、彼女の細い肩を抱き寄せた。
「かすみ……ずいぶんと遠回りしたけれど、ようやくこれが本当の夫婦の姿なんだよ。さぁ、かわいいかすみ。愛してる……」
隼人は狂おしいほどの独占欲を剥き出しにして、かすみの額、頬、そして唇へと何度も何度も口づけを落とした。
「チュッ、チュッ」と静かな部屋に響くその不気味な音。かつてなら恐怖に叫び、拒絶していたはずのかすみ。しかし、今のかすみの瞳の奥には、冷徹なまでの『覚悟』の光が宿っていた。
(碧さん……私は今、あなたの言葉を信じて、ここにいます。子供たちの未来のために、あなたが仕掛けた罠……私も、私の戦いをします……!)
碧が裏で誠と共に奪還部隊を動かしている。その作戦を成功させるため、隼人を極限まで油断させ、この場所に繋ぎ止めなければならない。かすみは怯えを完全に押し殺すと、自ら隼人の首に細い腕を絡ませ、トロンとした偽りの甘い視線を向けた。
「ねぇ……隼人。もっと、してほしい……」
「かすみ……っ!?」
隼人が驚愕と歓喜に目を見張るなか、かすみは自ら男の唇にそっと自分の唇を重ねた。
「チュッ……。隼人、愛してるわ……。ずっと、こうなるのを待っていたの……」
「ああ、かすみ! 俺の愛しい妻よ……!!」
自分が仕掛けた「離婚か合格か」の罠に碧が屈し、さらにかすみまでが自分に心を開いたと完全に信じ込んだ隼人は、勝利の全能感に酔いしれ、かすみを強く強く抱きしめ直した。何度も何度も重ねられる、偽りと狂気のキスの応酬。
悪魔が人生最高の幸福感に満たされ、完全に防壁を解いたその瞬間。
別荘の防犯カメラの映像をリアルタイムでハッキングし、漆黒のモニター越しにその様子を冷酷に見つめている魔王・早瀬碧の指先が、静かに、しかし確実に【強襲開始】のスイッチへと掛けられるのを、有頂天の隼人はまだ知る由もなかった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




