第361章:破滅の序曲、奪われる故郷
南コンチェルの冷徹なオフィスにて、南将暉は、早瀬家と貝森家に届いたはずの「不合格通知」を想像しながら、独り静かに赤ワインを口に含んでいた。
「さてと、次はかすみだよ。可愛くて愛しい我が子が、理不尽な理由で未来を奪われた通知を見て、一体どんな気分かな?」
その瞳には、かつての妻の苦悶を想像する、妖しくも美しい愉悦が宿っている。
「ゆっくり、じわじわと味わうがいい。自分たちが作り上げた幸福な日常が、音を立てて崩れ去る、その破滅の気分をね」
将暉の目的は、子供たちの未来を潰すだけでは終わらない。彼は、かすみという女の魂を完全に支配下に置くため、彼女の根源である「実家」という聖域を、経済的な暴力で塗りつぶそうとしていた。
将暉はPCのエンターキーを、まるで獲物の心臓を突き刺すかのように強く叩きつけた。
「……納屋財閥、そして森野財閥の株式の譲渡を仕掛けろ。市場に出ているすべての株を買い占め、両財閥を俺の配下に組み込むんだ」
画面上では、株価の乱高下と共に、早瀬家、貝森家と深く結びついた両財閥の資産が、次々と将暉の南コンチェルへと吸収されていく。
かつて南条財閥が早瀬・貝森連合によって追い詰められ、破滅したあの日の記憶。将暉は、それを何倍もの苦痛となって相手に突き返すための「復讐の回路」を、完全に完成させたのだ。
「かすみ……お前が必死に守ろうとしているその実家の破滅を、特等席で見ているがいい。南条財閥を破滅させたことの、もっとも痛烈なお返しだよ」
将暉は冷たいデスクに肘をつき、誰もいない闇を見つめて不気味に呟いた。
「いつか、お前が自分の足で俺の元へ這いずり回り、涙を流して『許しを請う』日が来るのを楽しみにしているよ。その時こそ、お前は本当に俺の……俺だけの所有物になるんだから」
彼の狂気は、経済界の支配を通り越し、かすみという一人の女性を完全に絶望させるための、逃げ場のない「檻」を完成させようとしていた。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




