第21章:集結のカウントダウン!怒りの大乱入(前編)
都内の最高級ホテルで行われている、露村財閥の大嘘に満ちた定例記者会見。その生中継が日本中を揺るがす中、会場へと向かう一本のハイウェイを、納屋財閥の最高級リムジンが凄まじいスピードで駆け抜けていた。
車内の空気は、かつてないほどに張り詰めている。
あけみお母様は怒りで美しく整えられた眉をひそめ、薫お父様は腕を組んで黙ったまま静かな威圧感を放っている。
「――かすみちゃん、大丈夫ですよ。私達がついていますからね。あんな強欲なクズどもの思い通りにさせてたまるものですか」
「お母様……」
私は、隣に座るお母様の温かい手を握り返しながら、胸元でいつもの「自由帳」を強く抱きしめていた。不安はある。けれど、もう昨日みたいに泣いて逃げたりはしない。
助手席のバックミラー越しに、過保護執事の長谷部誠が、キランとメガネの奥の瞳を冷酷な真紅に発光させて私を見つめてきた。
「かすみお嬢様。その自由帳に刻まれた青藍高校での清らかな思い出も、あなたの純潔も、あのトゲトゲ薔薇野郎に1ミリたりとも汚させはしません。会見場に到着したその瞬間、露村財閥ごと地の果てまで万死……いえ、ギガ万死に追い込んで差し上げます」
誠の凄まじい執念を乗せ、リムジンは決戦の地へと突き進む。
◇ ◇ ◇
まさにその頃――都内の地下鉄やストリートでも、別の熱い嵐が巻き起こっていた。
「おいみんな、急ぐぞ! かすみちゃんがあんなトゲトゲキザ野郎の着せ替え人形にされちまう!」
声を張り上げて駅の階段を駆け上がっていくのは、青藍高校のパジャマパーティーでかすみと秘密の思い出を作った、森野海斗だった。
「当たり前だろ! 納屋かすみは、俺たちのパジャマパーティーの時が一番綺麗に笑うんだよ! あんな大嘘の会見、青藍高校の意地にかけて俺たちがぶっ潰してやる!」
海斗の後ろから、制服のネクタイを緩め、鋭い瞳に激しい怒りと焦りを漲らせて走る男――貝森拓人が続いた。その左手の指には、かすみを想う強い決意が込められている。
「待ってろよ、かすみちゃん……。君をそんな冷酷な世界から、俺が絶対に連れ戻す!」
テレビカメラの向こうで得意絶頂の笑みを浮かべる露村隼人。
彼が仕掛けた大嘘の舞台へ向けて、納屋財閥の総力と、拓人や海斗たち青藍高校の全勢力が、今まさに同時に包囲網を狭めていく。
すべての因縁が激突する会見場の扉がブチ破られるまで――あと、数分。
いよいよ納屋財閥と秘密のパジャマパーティーをした青藍高校の生徒が露村財閥の定例記者会見会場に向かいます




