第20章:嵐の定例会見、同時多発の大激怒(後編)
フラッシュの嵐が激しく焚かれる中、高級ホテルの壇上でこれ見よがしに胸元にトゲトゲの薔薇を飾り、カメラに向かってどこまでも傲慢に大嘘をのたまう露村隼人。
「――かねてより噂されていた、納屋財閥の至宝・納屋かすみ嬢と僕との【婚約】について、ここで正式に発表させていだたく」
その破廉恥な生中継を、納屋財閥の大豪邸のリビングのテレビで見つめていたあけみお母様と薫お父様は、凄まじい形相で激怒していた。
「な、何ですって……!? かすみちゃんは昨日、はっきりと婚約も結婚もしないとお断りしたはずですわ! それを日本中を騙して勝手に既成事実にするなんて、あの一族、どこまで強欲で行ぎが悪いのかしらッ!!」
「おのれ露村隼人……! 我が納屋財閥の最愛の娘を、汚い売名とハラスメントに利用するとは断じて許さん!!」
薫お父様が静かな、けれど地響きのような怒りで拳をバキバキと握りしめる。 横に控える執事の長谷部誠も、メガネの奥の瞳を冷酷な真紅に発光させ、静かに一礼した。
「あけみ様、薫様。我がかすみお嬢様を虚偽の発表で汚すなど……万死、ギガ万死に値する暴挙。これより、私が直接会見場へ片付けに参ります」
「ええ、私達もすぐに行きますわ! あんな嘘、絶対に許しません!」
我が子のために、納屋夫妻と過保護執事が怒りの炎を燃やして立ち上がった。
◇ ◇ ◇
一方、その頃――かすみが数日前まで社会勉強で入り浸っていた『青藍高校』の教室でも、凄まじい嵐が吹き荒れていた。
ワンセグテレビやスマホの拡散ニュースで隼人の大嘘会見を見た、例のパジャマパーティーの仲間たちをはじめとする全校生徒が、机を叩いて立ち上がっていたのだ。
「おい見ろよこれ! かすみちゃんが、あのキザなトゲトゲ野郎と婚約発表だってよ!?」
「はぁ!? 納得いかねえよ! かすみちゃん、あんな奴の前じゃ全然笑ってなかったじゃん! 俺たちのパジャマパーティーの時の方が、100倍可愛い笑顔だったぞ!?」
「こんな大嘘、認められるかよ! おいみんな、納得いかねえよな!? 今からあの高級ホテルの会見場に乗り込んで、かすみちゃんを連れ戻しに行こうぜッ!!」
「おうよ!! 青藍高校の意地を見せてやる! 突撃だァァーーーッ!!」
かすみを愛し、その純粋さを知る一般民の高校生たちが、義憤に駆られて一斉に走り出す。
誰もがかすみのために怒り、誰もがその笑顔を守るために動き出した。
露村財閥が仕掛けた大嘘の定例会見場へ向けて、納屋財閥の総力と、青藍高校の全勢力が一挙に動き出す――
すべてが激突する、運命の第21章へ続く!




