第358章:偽りを溶かす真実、観覧車の誓い
「さぁて、本当の父親は一体誰なんだろうね? 偽物の家族ごっこは楽しいかな? 毎日が嘘で塗り固められていて、本当に幸せか?」
南将暉の嘲笑がスイートルームに響き渡る。彼は、早瀬碧の完璧な仮面を剥ぎ取り、家族を崩壊させることで、かすみへの復讐を果たそうとしていた。
凛と蓮が戸惑い、恐怖に震え始めたその時――。
「……やめて!!」
かすみが、碧の前に立ちはだかるようにして、毅然とした声で将暉を制した。その瞳には、かつての怯えは微塵もなく、最愛の子供たちを守る母としての強い光が宿っていた。
「……もう、黙っていて。将暉、あなたが何を望んでいるのかは分かるけれど、もうこれ以上、私の子供たちを汚すことは許さないわ」
かすみは震える手を強く握りしめ、凛と蓮の顔を真っ直ぐに見つめた。
「凛、蓮……聞いて。今からママが言うことが、本当のことよ」
かすみは深呼吸を一つし、絞り出すような声で続けた。
「あなたたちの本当のお父様はね、長谷部誠という人なの。でも……パパはもう、いないのよ。凛と蓮が生まれてまもなく、誠とは別れることになったの。……その時、一人で途方に暮れていたママに、手を差し伸べてくださったのが、碧さんだったのよ」
静まり返るスイートルーム。凛と蓮は、母の言葉を必死に飲み込もうと目を丸くしていた。かすみは碧のほうを一度も振り返らず、ただ子供たちに語りかける。
「二人とも、覚えてる? あの大きな観覧車に乗った時のこと。パパが言った言葉を……。碧さんはね、私に言ったの。『本当の父親ではないけれど、凛と蓮が大人になるまで、いや一生、ずっとずっと一緒にいたい。二人を守る父親になりたい』って。……血が繋がっていなくても、碧さんは誰よりも二人を愛し、守ってきてくれた。それが、あなたたちのパパなのよ」
かすみは凛の胸元に輝く、悪魔から贈られたダイヤモンドを見つめ、静かに、しかし毅然とした口調で命じた。
「……凛。そのダイヤのネックレスはお返ししなさい。あなたたちを傷つける言葉を吐く人の贈り物は、あなたに一番似合わないわ」
「ママ……」
凛の目から、大粒の涙がこぼれ落ちる。憧れだったはずの南社長が、パパとママを傷つける怪物に見えた瞬間だった。凛は震える手で首元のダイヤを外すと、それを将暉の足元へと音を立てて落とした。
「……お父様じゃない。私には、碧パパだけよ」
蓮もまた、凛の手をしっかりと握り、鋭い眼差しで将暉を睨みつけた。
将暉が手にしたはずの「真実」という切り札は、かすみの慈愛に満ちた告白の前で、何の意味も持たない虚しい紙屑へと変えられてしまったのだ。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




