第354章:神の視点、碧への「買えない」贈り物
サファリア女学院へ進む凛へのダイヤモンドを注文したあと、南将暉は執務室の革椅子で深く指を組んだ。
ふと、テーブルの上に置かれた青藍高校付属中学のパンフレットが目に入る。双子の蓮が通うことになっている名門校だ。
「……そう言えば、早瀬碧の息子の方は青藍だったな」
将暉の口元に、冷ややかな笑みが浮かぶ。
早瀬碧。財力も権力も、この国で彼に並ぶ者は数少ない。だが、だからこそ碧は「金で解決できないこと」に対して人一倍の執着や、あるいは完璧主義的な矜持を持っているはずだ。
「……さて。早瀬碧には、何を贈ってやろうか。……いや、贈るというよりは『提示』する、と言ったほうが正しいか」
将暉はパソコンを操作し、ある極秘データベースへアクセスした。そこには、青藍高校の理事会や、表には決して出ることのない「学校運営の裏側」に関わるデータが並んでいる。
碧は早瀬ホールの威光で学校に圧力をかけることはできても、その「中枢」に深く食い込むことまでは、まだできていないはずだ。
「金や力で強引にねじ伏せるのがあいつのやり方なら、俺はもっと狡猾に、あいつが喉から手が出るほど欲しがっている『支配権』の欠片をちらつかせてやろう」
将暉は、青藍高校付属中の次年度の経営方針を決定する、極めて限定的な特別会議への「招待状」をデジタル出力した。これは、学校側と癒着関係にある一部の人間しか手にできない、特権階級の証だ。
「早瀬碧、お前には買えないものがある。……権力者同士の、お前の知らない『格の違い』を見せてやるよ」
将暉は優雅にワイングラスを傾けた。
凛へのダイヤと、碧へのこの招待状。二つのプレゼントが届いたとき、早瀬邸にどのような波紋が広がるか。将暉の目には、既に混乱の渦に飲み込まれ、怒りに顔を歪める碧の表情がはっきりと浮かんでいた。
「楽しみだねぇ……。さあ、最高のエンターテインメントの始まりだ」
南将暉の不気味な愉悦の時間は、夜が更けるにつれて、より深く、よりどす黒く熟成されていくのだった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




