第347章:甘美なる毒杯、ロビーのお茶会
チーン、と静かな音を立ててプライベートエレベーターの扉が開き、グランドロビーに南将暉が姿を現した。周囲の視線を一身に集める圧倒的な佇まいのまま、彼はフロントの隅で所在なさげに立っていた凛の元へと、ゆっくりと歩み寄る。
「……おや。昨日会った、可愛いお嬢さんだね」
低く洗練された声に、凛がハッとして顔を上げた。目の前に立つのは、昨夜からずっと自分の心を激しく動かしていた、あの憧れの南将暉社長その人だった。
「南、社長……っ」
嬉しさと緊張で、凛の小さな心臓がトクンと跳ねる。将暉は優しく目を細め、まるでお姫様を労るような極上の微笑みを浮かべてみせた。
「今日はどうしたのかな? パパとママは一緒じゃないの?」
「あ……その、お留守番をしていて……」
言葉を濁す凛を見つめながら、将暉は彼女の心を透かすように悪戯っぽく笑ってみせた。
「ふふ、なるほどね。……まさか、昨日私が言った『高級スパ』が気になって、1人でこっそり遊びに来ちゃいました、なんて言わないよね? でも、お洒落な女の子なら、あんな素敵なスパ、どうしても気になっちゃうのは当然だよね」
「え……っ、あ、はい……」
自分の心を見透かされたような甘い言葉に、凛の頬は瞬く間に真っ赤に染まっていく。そんな無垢な反応を、将暉の切れ長の瞳は冷酷に、そして歪んだ観察眼で見つめていた。(やはり、俺の血を引いているからこそ、このホテルに引き寄せられたのか……?)
将暉は時計に目を落とすフリをして、さらに完璧な罠を提案した。
「あっ、そうだ。せっかく来てくれたんだし、ロビーのラウンジでお茶でもどうかな? 君のパパやママが慌てて迎えに来るまでの間、退屈しないように一緒にお茶を飲もう。ここには女の子が大好きな、とびきり美味しい特製ケーキもあるから、ゆっくりしていってね」
「美味しいケーキ……。あの、でも……」
戸惑いながらも、大好きな大人の男性からの優しいお誘いに、凛の心は完全に抗えなくなっていた。
「さあ、こちらへ」
将暉は優しく凛の背中に手を添え、ラウンジの特等席へとエスコートしていく。パパとママが血相を変えてこちらに向かっていることなど夢にも思わない凛は、差し出された甘い罠の席へと、ゆっくりと腰を下ろすのだった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




