第344章:恋煩いのストライキ、乱れる鼓動
「――私、今日、学校お休みする」
朝食のテーブルに強烈な爆弾を落とした直後、凛はポツリとそう呟いた。
いつもなら残さず食べる大好きなフレンチトーストを少しだけ残し、凛はトボトボとした足取りで席を立つと、パパとママの返事も待たずに自分の部屋へと戻って行ってしまったのだ。
リビングに残された碧とかすみ、そして双子の片割れである蓮は、あまりの異常事態に言葉を失っていた。
「……姉さん、どうしちゃったんだろう。あんなにサファリア中等部に行くのを楽しみにしてて、お勉強も毎日頑張ってたのに」
蓮が不思議そうに首をかしげる。その隣で、かすみは今にも倒れそうなほど顔を青ざめさせ、碧はコーヒーカップの手元がミシミシと音を立てるほどの冷徹な怒りをその身に纏っていた。
一方、閉め切られた自室のベッドの上。
凛は制服に着替えることもせず、パジャマのままで枕に顔を埋めていた。
「はぁ……。どうしよう、本当にドキドキがおさまらないよ……」
胸の奥がキュンと締め付けられるように熱い。目を閉じれば、昨夜ロビーで自分を見つめてくれた南将暉社長の、あの冷たくて洗練された大人の瞳がありありと浮かんでくるのだ。
「こんな状態じゃ、今日のお勉強なんて絶対に無理だよ……。先生の言葉も、教科書の文字も、全部あの社長さんの顔になっちゃうもん……!」
クッションをぎゅーっと抱きしめながら、凛はベッドの上をごろごろと転がった。これが「恋」というものなのだろうか。生まれて初めて知る激しい感情の波に、凛の小さな心臓は完全にキャパシティをオーバーしていた。
せっかく高級スパや特別なお部屋を用意してくれたのに、冷たく断ってしまった自分。早くもう一度あのホテルに行って、あの素敵な社長さんに謝って、もう一度お話ししたい。
そんな無垢で真っ直ぐな、そして早瀬家にとって最も危険な願いが、凛の頭の中を支配していく。主人のいなくなった勉強机の上で、サファリア女学院のパンフレットだけが、朝の光を静かに反射していた。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




