第341章:無垢なる憧憬、背筋を凍らせる告白
南将暉との一触即発の対峙を終え、早瀬ファミリーはホテル最上階にある全面ガラス張りの最高級フレンチレストランの席へと着いていた。
窓の外に広がるきらびやかな東京の夜景は息を呑むほど美しく、ロビーでの不穏な空気など忘れてしまうほど、テーブルの上には華やかで美味しそうな料理が次々と運ばれてくる。
「わあ……! パパ、ここのお料理、もの凄くおいしいね!」
蓮が前菜のキッシュを一口食べ、目を輝かせて碧を見上げた。
「本当! すごくおいしい! パパ、こんなに素敵なお店を見つけてくれてありがとう」
凛も特製のスープを味わいながら、嬉しそうに声を弾ませる。子供たちの弾けるような笑顔を見て、碧もようやく険しかった表情を緩め、「二人が気に入ってくれたなら良かった」と優しく微笑んだ。
「ふふ、本当に美味しいわね。これなら、あやめさんたちもきっと喜んでくれるわ」
かすみが上品に微笑むと、凛と蓮が一緒になって大きく頷いた。
「うん! 今度は湊くんと百合ちゃんも一緒に、貝森ファミリーとみんなで一緒に来ようね!」
「そうだね。湊くんなら、このお肉料理に絶対びっくりすると思うな」
高学年になっても変わらない幼馴染への優しい思いやりに、テーブルは温かい幸福感で満たされていく。
碧もかすみも、我が子たちの純粋な成長に胸を撫で下ろしていた。――しかし、デザートが運ばれてきた頃、凛がふとかすみの隣へとはにかみながら身を寄せ、小さな声で囁いた言葉が、その場の空気を一瞬にして凍りつかせた。
「ねぇ、ママ……さっきロビーにいたあの南社長っていう人、とってもかっこよかったね」
「え……?」
かすみはスプーンを持ったまま、一瞬だけ動きを止めた。
凛は頬をほんのりと桜色に染め、どこか夢見がちな瞳で、さっき別人の仮面を被った南条隼人が見せていた紳士的な笑顔を思い出していた。
「なんだか凄く大人で、背が高くて……お洋服もピシッとしてて素敵だったなぁ。……ねぇママ、あの人本当に本当にかっこよかった。凛ね、さっきお話しした時、なんだか胸がドキドキしちゃったの……」
「凛……っ!?」
かすみの顔から、血の気が一瞬で引いていく。
隣でその言葉を完全に聞き取っていた碧の瞳が、見たこともないほどの驚愕と、底知れぬ漆黒の怒りで激しく揺らいだ。
まさか、自分たちが命をかけて守ってきた最愛の娘が、あの顔を変えて戻ってきた忌々しい復讐鬼に対して、無自覚な「女の子としてのドキドキ」を抱いてしまうなんて。血の悪戯なのか、それとも悪魔の仕掛けた罠なのか――早瀬夫妻の胸に、かつてない最悪のサスペンスの戦慄が走り抜けるのだった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




