第338章:狂気の血統、網膜に映る標的
「……待てよ。まさか……まさか、あの子たちは……俺の子どもなのかよ……!?」
静まり返ったスイートルームのなかで、南将暉は己の呟いた言葉の衝撃に、身体の奥底から激しい震えが沸き起こるのを感じていた。
かすみが早瀬碧と結婚する前の時期、そして双子が生まれた年齢――狂おしい頭で時間を逆算すればするほど、彼の歪んだ脳は『凛と蓮は南条隼人の血を引く子供である』という、あまりにも都合が良く、そして悍ましい結論を導き出していく。
「そうだ……間違いない。かすみは俺の妻だったんだ……! ならばあの子たちは、俺とあいつの間に生まれるべき命だったはずだ……っ!」
暗い歓喜に瞳をギラつかせる将暉の手元に、ホテルのフロントから一台の極秘連絡が入る。
――本日、早瀬碧とその家族が、この南コンチェル系列ホテルの最上階レストランを訪れる。
「ククク……わざわざ俺のテリトリーへ向こうからやってくるとはね。歓迎しようじゃないか、我が家族を」
将暉は不敵な笑みを浮かべ、すぐさま部屋を出てエレベーターへと向かった。
その頃、ホテルの豪華な大理石のロビーには、中学合格のお祝いを兼ねて食事にやってきた早瀬一家の姿があった。ガラス張りのシースルーエレベーターや、天井まで届く巨大な滝のオブジェを見上げて、高学年になった双子たちは目を丸くしている。
「わあ……っ! ねぇパパ、ママ、ここのホテルすごいね! 絨毯がふかふかでお城みたい!」
凛がかすみの手を引きながら、興奮気味に声を上げる。
「うん、本当に綺麗だね。……ねぇパパ、どうして今日はこのホテルに来たの? いつものお気に入りのお店じゃなくて、新しくできたここに決めた理由があるの?」
蓮も不思議そうに首をかしげ、隣を歩く碧のタキシードの袖を引いた。
「ここは最近、海外資本が買い取って全面リニューアルしたばかりの場所でね。美味いと評判のシェフが監修しているレストランがあるんだ。凛と蓮の合格祝いにぴったりだと思ってね」
碧は優しく息子たちの頭を撫で、かすみも「パパがいろいろ調べて予約してくれたのよ」と、嬉しそうに微笑んでいた。
自分たちが今、まさに南条隼人の築いた『要塞の真ん中』にいるとは知る由もない四人。
「ふふ、みんなが喜んでくれて良かったわ」
かすみが優しく笑った、まさにその瞬間。
「――お出掛けですか、早瀬夫人。奇遇ですね、まさか私のホテルであなた方にお会いできるとは」
背後から響いた、あの洗練された、けれど蛇のように冷たい男の声。
振り返る碧の瞳に鋭い殺意が走り、何も知らない凛と蓮のすぐ目の前に、完璧な大物CEOの仮面を被った南将暉が、ゆっくりと足音もなく近づいてくるのだった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




