第337章:暴かれた調査票、歪んだ疑惑
南コンチェル系列ホテルの最上階スイートルーム。
遮光カーテンの隙間から朝の鋭い光が差し込むなか、南将暉はデスクに散らばった膨大な書類に冷酷な視線を落としていた。
彼が手にしているのは、裏の調査機関に巨額の報酬を払って作成させた、早瀬かすみの極秘調査票だ。
「納屋かすみ。……納屋あけみと、森野薫夫妻の長女。何不自由なく、温室の純白の百合のように育てられた、か……」
将暉は文字をなぞりながら、忌々しげに吐き捨てた。彼女の出自や、かつて愛したその清らかな生い立ちはよく知っている。だが、その経歴の後半に刻まれた『早瀬』の二文字が、どうしても彼のどす黒い逆鱗に触れるのだ。
「だが……どうやってあの早瀬碧なんかと出会ったんだよ。何が旦那だ。俺のかすみを返せ……! あいつは俺のものだ、最初から俺の腕の中にいるべき女なんだ!」
激しい独占欲で調査票を握りつぶしそうになりながらも、将暉は冷徹に次の指示を頭の中で組み立てていた。かすみを知るためには、あの忌々しい早瀬碧の身辺調査もさらに深く徹底的に調べ上げ、あいつの弱みを握りつぶさなければならない。
そう思いながら、将暉がかすみの調査票の次のページをめくった、その瞬間だった。
切れ長の瞳が、ある一節を捉えて大きく見開かれた。
『――早瀬かすみには、現在二人の子供が存在する。早瀬凛、および早瀬蓮。双子の男の子と女の子であり、この春、サファリア女学院中等部と青藍高校付属中学にそれぞれ見事に合格している』
「……なるほどね。子供が、いたんだ」
将暉は背もたれに深く寄りかかり、不気味な笑みを唇に浮かべた。あの可憐だったかすみが母親になり、しかもあの二つの名門校に子供を通わせるほどの月日が流れていたことに、奇妙な焦燥感を覚える。
しかし、将暉の歪んだ天才的な洞察力は、調査票に記された「あるタイムラグ」と「奇妙な違和感」を瞬時に見逃さなかった。長年、裏社会の人間関係のドロドロした闇を見てきた彼だからこそ、その直感が激しく警鐘を鳴らす。
「待てよ……。早瀬碧が、あいつらの本当の父親じゃないってことは……」
将暉はカチリとペンをデスクに叩きつけ、暗い歓喜と強烈な疑念を孕んだ瞳で、夜景の名残がある窓の外を睨みつけた。
「あの双子の子供は……一体、誰の子供なんだよ……!?」
かすみを巡る過去の男たちの影、そして早瀬家の完璧な幸福の裏に隠された「血の秘密」。新たなる標的を見つけた毒蛇の笑みが、朝の静寂のなかで静かに深く、広がっていくのだった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




