第323章:歪んだ純情、狂気の告白
碧の凄まじい一喝を受け、床に這いつくばっていた南条隼人は、ぶるぶると肩を震わせながらゆっくりと顔を上げた。
その瞳から涙と鼻水が溢れ、かつての華やかな気品は微塵もない。だが、その瞳の奥には、恐怖を通り越した、執念深く、あまりにも歪んだ光が灯っていた。
「……目的だと? そんなもの……そんなもの、最初から決まってるだろ……っ!」
隼人は狂ったように笑い、声を荒らげた。
「俺は……俺はただ、かすみがほしかっただけだ……!!」
「何だと……?」
碧の眉が、不快げにぴくりと動く。その背後で、おじさまも冷徹な視線を男へと突き刺した。
「忘れるわけがないだろ……っ。あの南条財閥の主催パーティーの夜、白いドレスを着て、まるでガラスの細工みたいに綺麗に微笑んでいたかすみを見て……俺は、一目惚れしてしまったんだよ……!」
隼人は床を爪が割れるほど強く掻きむしり、堰を切ったように本音をぶちまけ始めた。
「だけど、そのあとすぐに家同士の都合で、ろくに言葉も交わさないまま結婚が決まって、すぐに夫婦になってしまった……! 俺は、普通に恋人同士みたいに、せめて一度くらいまともにデートをして……正式に、あいつにプロポーズがしたかったんだ……っっ!!」
それは、すべてを失った没落者の、あまりにも身勝手で、けれど紛れもない本心の吐露だった。
「なのに、俺の周りの連中も、俺自身も……権力と支配に目が眩んでいた! かすみを自分の所有物にするために、力でねじ伏せることしか知らなかった……っ。そのせいで、あいつを恐怖に陥れて、ボロボロにしてしまった……! でも、俺は、俺は今でもかすみを愛しているんだよ!!」
激しい怒りと未練を爆発させ、隼人は壁に背を預けて立ち上がると、まっすぐに碧を睨みつけ、狂ったように叫んだ。
「俺のこの気持ちは、一体どうすればいいんだよ……っ!? 早瀬碧、お前ならわかるだろ……!! 好きな人を、他の男に奪われる時の……あの身が引き裂かれるような気持ちが、お前にだってわからないはずがないだろぉぉぉーーーっっ!!!」
自分を正当化し、かつての監禁や双子の颯と瑠璃の命を奪った大罪を棚に上げ、碧に「同じ男としての共感」を求める南条隼人。
その独善的で哀れな狂気の叫びが、静まり返った別荘の室内に激しく木霊するのだった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




