第318章:守護者たちの不信、張られた包囲網
南修斗が爽やかな笑みを残して立ち去った後、リビングには激しい波音と、かすみの規則正しい、けれどどこか苦しげな寝息だけが響いていた。
精神的な疲弊とお粥スープの温かさに身を委ね、かすみはソファの上で深く、重い眠りに落ちていた。
その痛々しい寝顔をそっと毛布で包み込みながら、あやめはリビングの窓の外――男が去っていった道をジッと見つめ、眉をひそめて隣の拓人に声をかけた。
「ねぇ、拓人さん……このあたりに、新しく別荘なんて建っていたかしら? それに、あんな若い方が最近引っ越してきたなんてお話、聞いていないわよね……?」
あやめの言葉に、拓人は腕を組んだまま、端正な顔を険しくさせて深く頷いた。
「ああ、僕も同じことを考えていた。ここは早瀬とおじさまが手配した、人目を忍ぶための極秘の療養邸宅だ。いくら近隣住民の挨拶とはいえ、周囲を警戒しているはずのSPたちの目を盗んで、あそこまで自然に家の中にまで入り込んでくるなど……不自然極まりない」
「そうよね……」
あやめは、先ほど男がかすみの至近距離に座り、スープを口に運んでいたあの異様な光景を思い出し、背中にゾワリとした悪寒を覚えた。
「南修斗さん、確かに言葉遣いも丁寧で優しい方に見えたけれど……何て言うのかしら、どこか決定的に腑に落ちないのよね。あの親切心の裏にある、値踏みするような、ねっとりとした視線……」
あやめは眠り続けるかすみの手をそっと握りしめ、拓人をまっすぐに見据えた。
「ねぇ、かすみさんに何かあったらいけないわ。あの男の身元、大至急調べてみない? ……もちろん、私たちの手に負えない裏があるといけないから、すぐに早瀬碧様とおじさまにも連絡を入れなきゃいけないわね」
「同感だ。かすみの安全に『万が一』などあってはならない」
拓人は即座にポケットからスマホを取り出し、画面を鋭くタップした。
「すぐにこちらの情報網を使って『南修斗』という男の身辺を洗わせる。それと同時に、碧様とおじさまの直通回線に、この不審な隣人の件を暗号通信で報告しよう。もしあの男がかすみを狙う有害な存在なら……今度こそ、早瀬とおじさまの手によって、跡形もなく消し去ってもらうだけだ」
静かに眠るかすみの背後で、最強の守護者たちによる「逆探知」の罠が、静かに、そして冷酷に張り巡らされていく。
自分が完全にロックオンされたとも知らずに歓喜している南条隼人に、早瀬の真の牙が再び迫ろうとしていた――。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




