第304章:魔王の降臨、冷徹なる鉄槌
病室で眠るかすみの額に、切なくも甘い誓いのキスを捧げた後。
早瀬碧の瞳から、完全に「人間としての情」が消え失せた。
彼は一度もお屋敷に戻ることなく、早瀬ホールディングスの直属のSPたち、そしておじさまが裏から手を回した金融界・法曹界のトップたちを従え、さっそく南条財閥の本社ビルへと向かった。
その頃、南条財閥の最高幹部たちが集まる大応接室では、南条隼人と、その新しい結婚相手である闇金融トップの令嬢が、勝利を確信したように下劣な笑みを浮かべていた。
「隼人様、これで早瀬の包囲網も形無しね。我が家の潤沢な闇資金があれば、南条財閥はいくらでも蘇るわ」
「フッ、あいつらも今頃、あの女の流産に泣き叫んでいる頃だろう。身の程を知るがいい」
二人がワイングラスを掲げ、不届きな祝杯を挙げようとした――まさにその瞬間だった。
バキィィィン!!! と、重厚な応接室の扉が、凄まじい力で叩き割るようにして押し開けられた。
「な、なんだ!? 誰だお前たちは……!」
南条隼人が驚愕して立ち上がる。
散らばる扉の破片を踏み締めながら、ゆっくりと室内に足を踏み入れたのは、漆黒のスーツに身を包んだ早瀬碧だった。その背後には、おじさまの命令によって動く、国家規模の捜査機関の人間たちがずらりと控えている。
碧の瞳は、まるで地獄の底から二人を見据える魔王のように、冷酷で、一切の光を宿していなかった。
「南条隼人。……そして、そこにいる新しい奥様とやら」
碧の声は、応接室の温度を一瞬で氷点下へと叩き落とすほどに冷たかった。
「お前たちが結託して得たその『盾』と『資金』が、いつまでも自分たちを守ってくれると本気で思っていたのか?」
「早瀬碧……っ! なぜお前がここに……! 警備員はどうした!」
南条隼人が狼狽して叫ぶが、碧は表情ひとつ変えずに、手元のタブレットをテーブルへと放り投げた。そこに映し出されていたのは、新妻の実家である闇金融グループの「全資産凍結」と、主要幹部たちの「一斉逮捕」を告げる緊急ニュースだった。
「な……嘘でしょ!? 我が家の資金源が、一瞬で……っ!?」
新しい結婚相手の令嬢が、ティーカップを床に落として真っ青な顔でガタガタと震え出す。おじさまの本気の権力と、早瀬の圧倒的な財力の前では、裏社会の闇金融など、赤子の手をひねるよりも容易く一瞬で圧殺される存在に過ぎなかったのだ。
「言ったはずだ。二度と這い上がってはこれない地獄の底へ叩き落とすと」
碧は一歩、南条隼人の元へと歩み寄ると、その胸ぐらを骨が軋むほどの力で激しく掴み上げ、耳元で獣のように低く、冷徹に囁いた。
「僕とかすみの、颯と瑠璃の未来を奪った代償だ。……お前たちの会社も、地位も、戸籍も、その新しい婚姻関係も、すべて今この瞬間から跡形もなく破滅させてやる」
「ひっ……、あ、ああ……っ!」
かつての傲慢な態度はどこへやら、南条隼人は碧の圧倒的な殺気の前に、ただただ恐怖で涙を流して腰を抜かすことしかできなかった。
我が子を失った聖母の怒りを背負った魔王の、容赦なき大復讐劇が、いま完全に南条財閥を飲み込んでいくのだった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




