第281章:奈落の選択と、白状
「神宮寺クリニック。お前たちの運命は、今この瞬間、私の手の中にあると思え」
院長室の重苦しい空気の中、おじさまの冷徹極まりない声が、震え上がる神宮寺院長へと突き刺さっていた。
デスクの上に叩きつけられた、クリニックの裏事情が克明に記された調査報告書。院長はそれを血の気の引いた顔で見つめることしかできない。
おじさまはゆっくりと腕を組み、一切の容赦を捨てた目で最期の宣告を言い放つ。
「神聖なる医療の場でありながら、一介の受付が患者の極秘情報を金と誘惑で外部に売り飛ばし、それを看過していたお前の管理体制……。これらが世に出れば、お前たちは一瞬で破滅する。――さぁ、神宮寺。このまま世間にすべてを暴かれながら泥をすすってクリニックを続けるか、それとも今日限りで潔く廃業するか……今すぐここで、答えろ」
「お、おじさま……っっ!!! それだけは、それだけはご容舎ください……っ!!」
ついに院長は床に膝をつき、涙目で許しを請うように激しく首を振った。
長年築き上げてきた名声も、病院の未来も、この目の前に立つ絶対的な権力者の一言で完全に消し飛びかねない。恐怖に駆られた院長は、生き残るために、ついに南条隼人から受けた裏工作の全貌を涙ながらに白状し始めた。
「す、すべてお話しします……! 受付にいた若いスタッフですが、彼女は急に辞めたのではありません……。南条の若、南条隼人が以前ここに通院した際、彼女を言葉巧みに誘惑したのです。あろうことか、彼女は南条隼人を本気で好きになってしまい、彼とお付き合いしたいがために、昨日かすみ様が受診された内容とお腹の赤ちゃんの情報を、喜んで彼に流してしまったのです……!」
「やはり、あの若造がネズミだったか」
おじさまの目が一段と冷たく細められる。
「南条の若は、神宮寺かりんとの縁談がどうなろうとお構いなしの様子でした……。情報をもらったお礼として、その受付に多額の金額を握らせ、口封じのために昨日中に病院を辞めさせ、姿を消させたのです。当院も、南条財閥からの水面下の資金援助や経営の弱みを握られており、口出しができなかったのです……っ! どうか、どうかお許しを……!」
床に額を擦り付ける院長の無様な姿を、おじさまは見下ろした。
恋心を利用され、大金に目を眩ませて医療の倫理を売り払った受付の身勝手さ。そして、他人の人生を狂わせてまでかすみを追い詰める、南条隼人の底知れない冷酷さ。
「……なるほど、すべて繋がったな」
おじさまの胸の中で、怒りの炎が静かに、しかし絶対に消えない業火となって固まる。
「神宮寺。お前たちの犯した罪は決して消えない。だが、かすみちゃんとお腹の尊い新しい命をこれ以上脅かさせないためにも、お前たちには徹底的に南条への『罰』に協力してもらうぞ」
おじさまの冷徹な決意の言葉が、崩れ去ったクリニックの牙城に、終わりの始まりを告げるように響き渡るのだった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




