第241章 崩壊の果て、怒りの鉄槌
華やかなホテルの大宴会場で、早瀬碧と納屋かすみの美しい指輪が交換され、西園寺麗華によって完璧な引導が渡された、そのすぐ後のこと。
南条財閥の本邸の重厚な応接室には、ガラスが割れんばかりの怒号が響き渡っていた。
「一体、何てことをしてくれたんだ、隼人ーーーっ!!!」
父親である南条虎之介の、顔を真っ赤に染めた絶叫が室内に木霊する。かつて財閥のトップとして傲然とふんぞり返っていた男の面影はどこにもなく、その髪は乱れ、瞳は恐怖と怒りで血走っていた。
「西園寺家から、正式に今後の縁談を一切拒絶するという通達が届いた! それだけじゃない、我が家とのこれまでの取引もすべて白紙に戻すと、正雄氏から直接冷酷に告げられたんだぞ!!」
「そんな……嘘よ、嘘でしょ、隼人……!」
母親の可憐も、今にも失神しそうな様子でソファの背もたれに縋り付き、涙をボロボロと流しながら金切り声を上げる。
「あれほど、今回の縁談に南条のすべてが懸かっていると言ったでしょう!? 失敗したら終わりだって、私が、私たちがどれだけ頭を下げて頼み込んだと思っているの!? 全く、南条財閥はこれで完全に終わりです! これからは、今までのような贅沢なんて一切できない……世間の目を盗んで、ひっそりと惨めに生活しなきゃいけないのよ! あなた、私たちの人生をどうしてくれるの!!」
両親からの、容赦のない怒りの爆発と絶望の追及。
しかし、部屋の中央に立ち尽くす南条隼人は、まるで魂が抜けたかのように、ただ自分の両手を見つめたまま一言も発さなかった。彼の薬指には何も嵌っていない。さっき、ホテルの会場で見た、早瀬碧の隣で世界一幸せそうに笑っていた「早瀬かすみ」の、まばゆい薬指の輝きが頭から離れず、激しい喪失感で胸が引き裂かれそうだった。
そんな息子の態度が、火に油を注いだ。
虎之介は一歩前へ進み出ると、隼人の胸ぐらを力任せに掴み上げ、信じられないものを見るような目で睨みつけた。
「おい、隼人……。今、裏のルートからとんでもない情報が入ってきたぞ。お前、麗華さんとのデートを途中で投げ出して、同じホテルで行われていた『納屋かすみ』の婚約披露パーティーに乱入したというのは……本当なのか!?」
「っ……!」
「乱入……!? かすみさんのパーティーに!?」
可憐が悲鳴のような声を上げる。
「何のためにそんな愚かな真似をした! あのかすみは、もうお前が切り捨てた過去の女だ! いや、今や巨大な納屋財閥の愛娘として、我々など足元にも及ばない高嶺の花なんだぞ! そんなお方の神聖なパーティーに乱入して、麗華さんをすっぽかしただと!? お前は……お前はどこまで南条家を泥塗れにすれば気が済むんだ!!!」
虎之介の大きな平手打ちが、隼人の頬に激しく炸裂した。
乾いた音が室内に響き渡る。
かつて「自分がよければいい」と、かすみの心を蔑ろにし、駒のように扱っていた南条隼人。その結果として、自らの手で財閥を完全に破滅へと導き、両親の怒りの炎に焼かれることとなった。
静かに、だけど確実に、南条財閥の輝かしい歴史が、最悪の形で幕を閉じようとしていた。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




