第240章 女王の宣告、破滅の鐘
「そこをどけ、早瀬碧……! かすみは、俺の妻だ!!!」
南条隼人の狂気に満ちた叫びが響き渡り、騒然となる婚約披露パーティーの会場。
碧様が私を庇うように一歩前へ出た、まさにその時だった。
カツン、カツン、と静まり返った会場に、ひときわ高く、冷徹で、だけど完璧に美しいヒールの音が響き渡った。
ホテルの大扉の向こうからゆっくりと姿を現したのは、完璧にドレスを着こなした西園寺麗華だった。
誰もが息をのんで見守る中、麗華はまっすぐに私の方へと歩いてくると、それまでの氷のような表情をふっと和らげ、心からの美しい微笑みを浮かべた。
「かすみ、結婚おめでとう」
「麗華さん……!」
サファリア女子大時代からの大切な友人からの、突然の、だけど温かい祝福の言葉。私がきらめく指輪の嵌った手を胸に当てて頷くと、麗華は再び表情を冷徹なものへと戻し、私の前に立ち塞がっていた隼人を、ゴミでも見るかのような冷ややかな視線で見下ろした。
「ほら、南条隼人。デートに行くわよ」
「麗華……お前、なぜここに……っ」
動揺を隠せない隼人に、麗華はフッと傲然とした笑みを漏らす。
「なぜ? あなたが私のデートをすっぽかして、私の大切な友人の晴れ舞台を汚しにきたからに決まっているでしょう? ……ねぇ、南条隼人。私がお父様とお母様に、『南条家との縁談はダメだった』って、今この場で言ってもいいのよ。これが一体、何を意味するか分かるかしら?」
「くっ……!」
「南条財閥は、ここで終わりなのよ」
麗華の容赦のない、そして確実な破滅の宣告が会場に響き渡る。
今回のデートに南条財閥の存続のすべてが懸かっていた隼人は、その事実を突きつけられ、言葉を失ってガチガチと歯を鳴らした。おじさまの秘書としてすぐ近くに控えていた長谷部誠も、南条家の完全な失脚を確信したように、冷たい目を細めている。
麗華の猛攻は、それだけでは終わらなかった。彼女は哀れな隼人を鼻で笑うと、追い打ちをかけるように言い放った。
「勘違いしないで頂戴。私は南条財閥よりも、もっと素敵な方と縁談をしますの。あなたのような、自分のことしか頭にない男に割く時間など、一秒もありませんわ」
そう言うと、麗華は優雅な手つきでスマートフォンを取り出し、その場である人物へと発信した。画面に表示されているのは、西園寺財閥の総帥――彼女の父親である西園寺正雄の名前だった。
コール音が一度鳴り、相手が出た瞬間、麗華は会場の全員に聞こえるような凛とした声で話し出した。
「もしもし、お父様? ……ええ、デートはダメだったわ。っていうよりも、もうデートすらする必要もありません。今すぐ、南条財閥の方に伝えてくださいませ。――今後、西園寺家は南条家と、一切の縁談を行わないと」
「麗華っ! 待て、麗華ーーーっ!!」
隼人の悲痛な絶叫が響く中、麗華はフンと鼻を鳴らして通話を切った。
虎之介と可憐、両親の必死の懇願も虚しく、南条財閥が完全に崩壊へと転がり落ちた、決定的な瞬間だった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




