第231章 みんなでお泊まり
碧様の真っ直ぐな瞳から溢れる、強い覚悟と優しさに満ちたプロポーズ。
「早瀬かすみとしてお迎えしたい」というその言葉が、ゆっくりと回る観覧車のゴンドラの中に心地よく響き渡り、私の胸を優しく震わせていた。
驚きと、それ以上の嬉しさで声が出せない私に代わって、真っ先に声を上げたのは凛と蓮だった。
「碧パパ! ママと結婚してくれるの!?」
「僕、また碧パパに会いたい! ママ、このまま碧様とお付き合いして、またパパと一緒がいい!」
ふたりは目をキラキラと輝かせながら、碧様の服の裾をぎゅっと掴んで口々に叫んだ。その小さな口から自然と飛び出した「碧パパ」という響きに、碧様は一瞬目を見開いたあと、これ以上ないくらい愛おしそうな笑顔を浮かべて、ふたりの頭を優しく撫でた。
「ああ。凛と蓮が許してくれるなら、俺はいつでも、ふたりの本当のパパになりたいよ」
碧パパ、碧パパ、と嬉しそうにその名前を繰り返す我が子たちの姿を見つめながら、私は目元が熱くなるのを堪えきれなかった。
私たちは今、毎日、貝森財閥の大きなお屋敷にお泊まりさせてもらっている。
そこには同い年くらいの湊くんと百合ちゃんがいて、ふたりを包むおじさまとおばさま――仲睦まじいパパとママの姿があった。
蓮が、少し照れくさそうに私の手を握りしめながら、ぽつりと本音を漏らす。
「あのね、ママ……。僕たち、毎日、貝森財閥にお泊りしてるでしょ? そこで湊くんと百合ちゃんのパパとママをずっと見てて、すっごく『いいな』って思ってたんだ。僕たちにも、あんな風に優しくて格好いいパパがいたらなって」
「蓮……」
「私も!」
凛も蓮の隣に並んで、私を見上げて無邪気な声を上げる。
「ねぇママ、碧パパも貝森財閥にお泊りしてみんなでお泊りしよう! そしたら、湊くんたちみたいに、ずーっとパパとママと一緒にいられるでしょ?」
子供たちの純粋で、だけどずっと胸に秘めていた切ない憧れが、その可愛い提案の中に詰まっていた。南条家との冷え切った関係の中で、寂しい思いをさせてしまっていたのかもしれない。だけど、これからは違う。
碧様はそっと私の肩を抱き寄せ、子供たちに向かって優しくウィンクをしてみせた。
「みんなでお泊まり、最高だね。それじゃあ、ママが良いって言ってくれたら、さっそく今日からでも、碧パパも貝森財閥にお邪魔しちゃおうかな?」
「やったぁー!」
ゴンドラがゆっくりと地上に降り立つ頃、私たちの周りには、夜景よりも温かくて眩しい、本物の家族の光が満ちあふれていた。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




