第9章:突撃!初めてのファミレス大騒動編【中編】
「僕の用意したプライベート空間で一生を共にする確率は100%だ。さあ、僕と一緒に家へ行こう」
碧がメガネを冷酷に光らせ、かすみの白手袋の手をスマートに引こうとしたその瞬間――。
「待てやコラァァァ!!! 誰がそのインテリメガネの家に連れて行かせるかよッッ!!」
地響きを立てて二人の間に割り込んだのは、もちろん森野海斗だった。海斗は碧の胸ぐらをつかみかけながら、ツブツブの瞳(?)から本気の炎を噴き出している。
「お嬢! 帰る家がねぇなら、俺の特攻服を敷いて校舎の屋上に泊まらせてやる! あるいは、俺の部屋を全部お嬢の自由帳置き場にして、俺は玄関の地べたで寝るからよォォォッ!!」
「海斗、君の提案は非科学的だし、何より衛生面において納屋さんに相応しくないね。即座に却下だ」
碧が冷たくあしらうと、今度は隣から拓人がのんびりと手を挙げた。
「あのさ〜、二人とも強引すぎ。かすみちゃん、俺の家(貝森財閥)のスイートルームなら、スーパールッツの焼きたてメロンパンも毎日食べ放題だよ? それに……ほら、あーん」
拓人は当たり前のような顔をして、自分の皿のマヨコーンピザの一切れをかすみの口元へと差し出した。
「ひゃあ……っ! た、拓人さん……!?」
突然の「あーん」に、かすみは顔をマジ卍で真っ赤に染めて、自由帳で慌てて口元を隠す。
「て、てめぇ拓人ッッ!!! どさくさに紛れてお嬢に何を食わせようとしてんだよォォォッッ!!!」
「貝森……! 君という男は、計算の外からいつも一番危険なステップを踏んでくるね……!」
海斗と碧が同時に拓人に掴みかかり、ファミレスのボックス席は「財閥vsヤンキー」の、一触即発の修羅場(お嬢様争奪戦)と化した。大翔と凌駕は「うわぁ、御曹司たちのガチ喧嘩だ!」「ドリンクバーおかわりしてくるわ!」と大はしゃぎしている。
「皆様、私のために喧嘩をなさらないでくださいませ……っ!」
かすみがハラハラしながら止めようとした、その時。
ファミレスの自動ドアが、ウィーーーーンと不気味な音を立てて完全にぶち破られるかのように開いた。
「――そこまでにしなさい、害虫ども」
地獄の底から響くような冷徹な声。
現れたのは、嫉妬のあまり髪の毛が逆立ち、メガネが逆光で真っ白に発光している完璧にして過保護すぎる執事・誠であった。誠の背後には、納屋財閥の黒服SP部隊がズラリと整列し、ファミレスの全出入り口を完全に完全封鎖している。
「ま、誠さん……!? どうしてここが……!?」
「お嬢様、私がお嬢様の自由帳に仕込んだ発信機(兼・お嬢様尊いアラート装置)を甘く見ないでいただきたい。……早瀬財閥のインテリメガネ、そして貝森財閥のチャラ男。我が納屋財閥の太陽であるお嬢様を自宅へ拉致しようなどと、1億年早すぎます!!」
誠は懐から、国家権力の刻印が入った怪しい書類の束を武器のように構え、男子たちをギロリと睨みつけた。
後編に続く




