第201章:母の願いと、迫り来る影への決断
貝森財閥の温かい皆様に囲まれて、楽しそうに笑う凛と蓮の姿を愛おしく見つめた後、私とおじさまは、いよいよ二人をここに残して出発する時間を迎えていた。
私はしゃがみ込み、二人の小さな手をきゅっと握りしめて、母親としての優しい、けれど真剣な眼差しを向けた。
「凛、蓮。貝森財閥の皆様の言うことをちゃんとよく聞いて、お行儀よくするのよ? 湊くんや百合ちゃんと一緒に、思いっきり夏休みを楽しんで来なさいね」
「うん! ママ、おじさま、行ってらっしゃい!」
「僕たち、いい子で待ってるからね!」
寂しがるどころか、これからの大冒険に目を輝かせて元気に手を振る子供たち。その無邪気な姿に後ろ髪を引かれながらも、私たちは温かい拍手に見送られ、貝森財閥の邸宅をあとにした。
◇◇◇
静かな高級車の後部座席。
窓の外を流れる夏の景色を眺めながら、私は隣に座るおじさまへ、胸の奥にある溢れんばかりの感情をそっと口にした。
「おじさま……凛と蓮、あんなに無邪気で、本当に楽しそうにしていましたね。……もし、あの子たちが今も南条財閥や長谷部ホールディングスの家にいたら、どうなっていたかしら。毎日毎日、息の詰まるようなお勉強ばかりの生活で、あんな風に心から笑った顔なんて、きっと一生見ることはできなかったわね」
あのボイコットをして涙を流していた暗い日々を思い出し、私は身震いする。けれど、おじさまが差し伸べてくれた救いの手のおかげで、子供たちは今、本物の幸福の中にいるのだ。
「おじさま、本当にありがとうございます。……でもね、実はもう一つ、おじさまに相談しなければならないことがあるの」
私の声のトーンが少し変わったのを察し、おじさまは静かに私を見つめた。私は、最近ずっと胸をざわつかせていた「不穏な影」について、意を決して打ち明けた。
「最近、やたらと私たちの様子を隠れて探ろうとする方がいるの……。報告はまだ入っていないかもしれないけれど、たぶん、南条隼人だわ。私、あの人とはもう何の関係もないのに……おじさま、お願いです。これ以上私たちの幸せを邪魔されないよう、なんとかしてください」
私の切実な訴えに、おじさまの鋭い瞳に冷徹な光が宿った。
「案ずるな、かすみ。私の目の黒い内は、南条の小僧だろうが長谷部の生き残りだろうが、お前たちに指一本触れさせはしない。裏でコソコソと嗅ぎ回るネズミどもは、私の手で完璧に処理しておこう」
その絶対的な言葉に、私の心はこれまでにない深い安心感で満たされていく。隼人がどれほど執着の炎を燃やそうとも、この最強の守護神の前では無力な羽虫に過ぎないのだ。
暗い影の存在を完全に消し去るように、私はパッと表情を明るくして、おじさまの腕にそっと手を添えた。
「ふふ、おじさまがいてくだされば百人力ね。あっ、そうだわ! 貝森財閥の皆様には今とってもお世話になっているから……夏休みの後半には、今度はおじさまの邸宅に、貝森財閥の皆様を全員ご招待しましょう? そのほうが、もっともっと素敵な夏休みになるわ!」
「お前がそうしたいなら、最高の宴を用意させよう」
おじさまの頼もしい微笑みに包まれながら、私たちは次なる幸福な計画へと向かって、車を走らせるのだった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




