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サファリア女学院から青藍高校へ潜入!? 〜お嬢様の「普通の恋」は、完璧な執事が絶対に許しません〜』  作者: 琥珀かえで


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第8章:お嬢様の恋煩いと、納屋家の緊急家族会議!【後編・涙の家出と初めてのファミレス編】

「――私、もう帰りませんわ!」

涙をぬぐい、大好きな自由帳と小さなお出かけかばんを両手でぎゅっと握りしめて、かすみは納屋財閥の巨大な白亜のお屋敷を飛び出した。

背後から「かすみィィィー!」「お嬢様ァァァーーー!」というお父様と誠の絶叫が聞こえてきたけれど、今日ばかりは絶対に振り返らないと心に決めていた。

(お父様だって、昔は身分を隠してお母様と青藍高校で素敵な普通のお恋をされたのに……どうして私だけダメだなんて仰るの? 拓人さんの真っ直ぐなお気持ちを、あんな風に否定するなんて絶対に間違っていますわ……!)

お屋敷を出て、トコトコと賑やかな街並みを歩きながら、かすみの胸には涙の後ろめたさと、それ以上の大きなドキドキが押し寄せていた。

なぜなら、今から向かうのは、大翔や凌駕たちが約束してくれた青藍高校の「学園祭お疲れ様会」だからだ。

(ファミレスって、一体どんな感じの場所なのかしら……? 皆様が魔法のように自由にお飲み物を注いでいた『どりんくばー』、とっても楽しみですわ……!)

少し歩くと、お疲れ様会の会場である、色鮮やかな看板が光るファミリーレストランの前に到着した。自動ドアをくぐると、「かすみちゃん! こっちこっちー!」と、すでに席に座っていた大翔と凌駕が大きく手を振ってくれた。

席には、長ランを脱いで少しリラックスした姿の海斗、相変わらず不機嫌そうにメニューを睨んでいる碧、そしていつも通り首にヘッドホンをかけてふにゃりと微笑む拓人が並んでいた。

「かすみちゃん、本当に来てくれたんだね〜。嬉しいな」

拓人が嬉しそうに目を細めると、かすみはお上品に頭を下げて席に座った。

「皆様、ごきげんよう。お疲れ様会にお呼びいただき、ありがとうございます。あの……私、どうしてもファミレスの『どりんくばー』を体験してみたくて、お屋敷から……その、家出してきてしまいましたの」

「ええええええええええっっっ!!!???」

「お、お嬢、家出してきちゃったのォォォッ!?」と、ツブツブの瞳(?)を飛び出さんばかりに見開いて大パニックになる海斗。

碧も「納屋さんが家出……! それは完全に僕の計算の範疇を超えているよ……!」と驚愕し、大翔と凌駕も「マジかよお嬢様パンクすぎる!!」と大騒ぎ。

しかし、拓人だけは「そっか、かすみちゃん頑張ったんだね」と、優しくかすみの頭をポンポンと撫でた。

「じゃあ、まずは約束通り、最高のドリンクバーを俺たちが全部教えてあげるからさ。今日はいっぱい楽しもう?」

「はい……っ! 拓人さん、よろしくお願いいたしますわ!」

かすみは自由帳を机に置き、初めて目にするファミレスのカラフルなメニューと、奥に見えるドリンクバーのマシンをキラキラとした瞳で見つめるのだった。

お屋敷を飛び出したお嬢様と、彼女を温かく迎える青藍高校の仲間たち。

納屋家が大騒ぎで捜索を開始する中、かすみの人生初の「ファミレスお疲れ様会」が、今最高にエモく幕を開ける――!

(第9章・突撃!初めてのファミレス大騒動編へ続く)

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