第175章:別離の決断、そして交わされた約束
かすみが意識を失って倒れ込み、凛と蓮がその体に縋り付いて泣き叫ぶ。邸宅の玄関ホールは、一瞬にして悲痛な泣き声で満たされた。
そんな混乱の最中、おじさまが静かに、しかし有無を言わせぬ威厳を持って一歩前に出た。
「……時間がない。すぐに二人と、かすみを連れて行く」
その言葉に、貝森孝雄がハッとして顔を上げる。
「連れて行く? ですが、一体どこへ……!」
おじさまは鋭い視線を孝雄に向け、低い声で念を押した。
「南条財閥にも、長谷部ホールディングスにも、ここであったことは決して言うな。これはあの子たちの命を守るための絶対条件だ。早瀬ホールディングスへの対応は、私が責任を持ってこちらから連絡しておく」
その言葉には、個人の意志を超えた、財閥を動かすほどの重みがあった。孝雄たちは、おじさまの決断に従う以外になかった。
かすみが静かに運び出されようとする時、そばで茫然と立ち尽くしていた湊と百合が、不安げに凛と蓮の方を見た。
「……どこかに行っちゃうの?」
無邪気な問いかけに、おじさまは足を止め、優しく二人を見下ろした。
「……また一緒に遊んでくれるかな?」
そう言ったのは、涙で目を腫らした蓮だった。
おじさまは、かすみの様子を気にかけながらも、湊と百合の肩に手を置き、温かな眼差しを向けた。
「ああ、必ずだ。いいか、お前たちは凛と蓮の友達だ。ずっと仲良くしてやってくれ。……今は離れていても、また必ず笑い合える日が来る。その時まで、この約束を忘れないでいてほしい」
おじさまの言葉は、子供たちにとっての希望の灯火となった。
湊と百合は、少しだけ寂しげに、でも力強く頷いた。
「うん、ずっと友達だよ!」
その純粋な言葉が、別れを告げる玄関ホールに響く。
かすみは意識がないまま運び出され、凛と蓮も、後ろ髪を引かれる思いで大人たちに連れられていく。
貝森邸の門が閉まるその瞬間まで、子供たちの視線は絡み合っていた。大人たちの事情も、財閥の抗争も知らない子供たちが交わした「ずっと友達」という約束だけが、この冷たい別れの中に、唯一の温かな光として残されたのだった。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




