第171章:逃避行の果て、真実を知る者
かすみを乗せた電車は、都会の喧騒を遠く置き去りにし、緑深い山々を縫うようにして走っていた。
窓の外には、時間が止まったかのようなのどかな風景が広がっている。終着駅で降り、さらに足を踏み入れた先にある山奥の小さな一軒家。そこは、かすみが唯一、心を許せる場所だった。
「お久しぶりです、おじさま」
玄関の引き戸を開けると、納屋財閥の重鎮であり、かすみが唯一頼りにできるその人がいた。
かすみは、堰を切ったように、これまで抱え込んできたすべてを語り始めた。南条隼人との結婚、そして長谷部誠との間に授かった凛と蓮という双子の存在。幼い子供たちを置いてこざるを得なかった、母親としての断腸の思い。
おじさまは、穏やかな表情を崩さず、しかしその瞳の奥には深い洞察を宿して、かすみの言葉をすべて受け止めた。彼は、早瀬ホールディングスの暗部や裏の事情を誰よりも深く知る人物だ。
「……そうか。お前がそんな苦渋の決断をしていたとはな」
おじさまは静かに頷くと、かすみに衝撃的な事実を告げた。
「かすみ。お前が置いてきたあの子たちだが……今は貝森財閥に保護されている。湊や百合といった子供たちと一緒に、何不自由なく暮らしているはずだ」
「……本当ですか?」
かすみの瞳が揺れる。しかし、おじさまの次の言葉は、彼女の胸を再び締め付けた。
「だがな、あの子たちは……昼間は湊や百合と無邪気に遊んでいても、夜になると毎日泣いているそうだ。ママを求めて、震えながらな」
「……っ!」
かすみは膝から崩れ落ちそうになった。離れていても、あの子たちの涙の音が聞こえるような気がした。
母・あけみがかつて言っていた言葉を思い出す。このおじさまは、ただの親族ではない。財閥の影で暗躍し、真実を見通す、とてつもない力を持つ人物なのだと。
かすみにとって、唯一の希望はこのおじさまの知識だけだった。
「おじさま、お願いします。私はどうすれば……」
静寂に包まれた山奥の家で、かすみはかつてないほどの決意を固めていた。子供たちを守り、もう一度家族で笑い合うための戦いは、ここから始まるのだ。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




