第167章:聖域の決断〜守るべき宝と、新たな選択肢〜
貝森財閥の広大な庭園に、凛と蓮、そして湊と百合の笑い声が響いていた。
「見て、これ! あんなにキラキラしてる!」
「すごい、あっちの木には鳥がいるよ!」
あの日、長谷部邸で人形のように無表情だった二人はもういない。ただの好奇心旺盛な子供たちに戻っていた。あずみは窓辺からその光景を眺め、目尻に涙を浮かべながら夫の孝雄に寄り添った。
「見てください、孝雄さん。……あの子たち、本当はあんなに笑える子だったのね」
「ああ。あんな地獄へ、二度と返すわけにはいかない」
部屋の中では、孝雄とあずみ、そして息子である拓人とあやめ夫妻が、今後の身の振り方について深刻な面持ちで話し合っていた。
「南条隼人も、長谷部重光も、決してこのまま引き下がるはずはない。……このままでは、貝森家も巻き込まれる可能性があるわ」
拓人が冷静に状況を分析する。長谷部や南条という、この国を牛耳る二大財閥を敵に回すリスク。それは計り知れない。
「そうね……。でも、少なくともあの二つの財閥に連絡を入れるのは、子供たちを再び火の中に放り込むようなものだわ。絶対にいけない」
あやめが断固として言い切った。沈黙が流れる中、あずみがふと思い出したように提案する。
「……ねえ、それなら『早瀬ホールディングス』に連絡をしたらどうかしら?」
「早瀬……?」
孝雄が怪訝な顔をする。あずみは優しく頷いた。
「ええ。情報網も太いし、防衛体制も万全だわ。何より、早瀬のあの方たちは、かすみさんのことを深く理解し、気にかけていると聞くわ。ここ貝森よりも、彼らの方がより隠密に、かつ安全に子供たちを匿えるかもしれない」
「確かに……! それなら、かすみさんも安心するはずだわ」
あやめも賛同した。早瀬ホールディングスであれば、南条や長谷部からの追跡もかわしつつ、かすみさんの大切な子供たちを「守るべき宝」として扱ってくれるはずだ。
「よし、決まりだ。明日にも早瀬の担当者と接触しよう。……誰にも、この子たちの居場所を悟らせてはいけない」
大人たちの決意が、静かに固まった。
凛と蓮は、自分たちが今、これほどまでに多くの人々に守られていることを知らない。ただ、今は目の前の友と遊ぶ幸せを噛み締めていた。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




