第7章:お嬢様と踊る、奇跡のダンスパーティー?【後編・嵐のダンスパーティー結び】
嵐のようなダンスパーティーが終わり、青藍高校の学園祭は無事に閉幕を迎えた。
お迎えの高級リムジンのふかふかなシートに身を沈めたかすみは、自分の胸にそっと手を当てていた。トクトクと、早鐘を打つような鼓動が今もまったく収まる気配がない。
(まさか、拓人さんからあのような情熱的なお告白をいただくなんて……。それに、海斗さんもあんなに怒っていらしたのに、最後はとても優しくダンスを踊ってくださいましたわ……)
頭の中でサルファーンの『愛のワルツ』がリフレインし、海斗の真っ赤な顔が思い浮かぶ。二人の男の子に真っ直ぐ想いをぶつけられたかすみは、思い出すだけで顔が火照ってしまいそうだった。
車が静かに発車する直前、校門の前まで見送りに来てくれた大翔と凌駕が、窓越しに笑顔で手を振ってくれた。
『かすみちゃん、今日は本当に来てくれてありがとね!』
『おう! また後日、この前のリベンジも兼ねて、ファミレスで最高のお疲れ様会やりましょうね! ドリンクバー、今度こそ全種類教えてあげるからさ!』
「ええ、とっても楽しみにしておりますわ! 皆様、ごきげんよう!」
かすみは窓から身を乗り出すようにして、ひまわりのような満面の笑みで手を振り返した。
「ドリンクバーやファミレスのお料理を食べてみたい」というかすみのささやかな夢が、また一歩近付いた瞬間だった。
ガチャン、と窓が閉まると、助手席に座る執事・誠がメガネを不気味にキラーンと光らせながら、地獄の底から響くような声で呟いた。
「お疲れ様会……ファミレス……ドリンクバー……。お嬢様、その『泥の宴席』にはもちろん、この私も全席を買い占めて同行いたします。あのチャラ男どもが注いだメロンソーダに毒物が混入していないか、私がすべて毒見(一気飲み)いたしますのでご安心ください」
「ま、誠さん、そんなに怖い顔をしないでくださいませ……!」
誠のすさまじい嫉妬を乗せて、高級車は夕闇の街へと走り去っていく。
拓人の電撃告白、海斗の宣戦布告、そして碧の冷徹な計算。財閥の御曹司たちを本気にさせてしまったかすみお嬢様の「普通の恋」は、いよいよ誰も止められない大嵐へと突入していくのだった。
第8章お疲れ様会に続く




