第144章:長谷部の威光〜重厚なる玉座の主たち〜
誠さんに導かれ、私たちは屋敷の奥へと足を踏み入れた。
足元には磨き上げられた大理石。天井からはシャンデリアの冷たい光が降り注ぎ、息をするのも躊躇われるほどの静寂が空間を支配している。
「かすみ様、お背中をまっすぐに。大丈夫です、私がついています」
誠さんが私の腰に手を添え、優しく声をかけてくれる。彼の温もりだけが、この凍えるような空間での私の唯一の支えだった。
その時、屋敷の奥から、重々しい足音が響いてきた。
階段の上からゆっくりと降りてくる二つの影。
気品と威圧感を纏った、長谷部ホールディングスの真の支配者たち。誠さんのご両親だった。
父である長谷部重光は、険しい目つきで私を値踏みするように見つめ、母である玲子は、扇子で口元を隠しながらも、鋭い視線を私と双子へと向けていた。
「……誠。これは一体どういうことだ」
父の重厚な声がホールに響く。
誠さんは私を背中に隠すようにして、父の前で深く頭を下げた。
「父上、母上。……紹介します。かすみです。そして、私の愛する子どもたち、凛と蓮です」
その言葉が出た瞬間、会場の空気が凍りついた。
玲子様が小さく鼻で笑い、階段を降りきると、私の目の前まで歩み寄ってきた。彼女の瞳は宝石のように冷たく、私の心をすべて見透かしているようだった。
「愛する子ども……ねぇ。誠、あなたは私たちの教育を忘れたわけではないでしょう? 長谷部の名門に嫁ぐべき人間を、そんな得体の知れない女が連れてきた『異物』とすり替えるつもり?」
彼女の指先が、私の頬をかすめるように通り過ぎ、凛と蓮の顔を覗き込む。
その手つきには、愛情など微塵もない。あるのは、ただの品定めだけだった。
「……南条隼人という男に追われているそうじゃない。長谷部ホールディングスを、その火種に巻き込むつもり? 誠、執事の分際で……いえ、息子として、その責任が取れるのかしら」
父は冷酷に言い放ち、誠さんを突き飛ばすようにして、私に鋭い視線を向けた。
「……この子たち、本当に誠の子なのか? DNAの結果、まさか南条隼人ではないだろうな」
誠さんは拳を強く握りしめ、両親と私の間に立ちふさがった。
この屋敷は、私を護る場所ではなかった。むしろ、誠さんとの絆を試す、新たなる戦場だったのだ。
「本作の執筆にあたり、誤字脱字の確認や文章整理のためAIを利用しています(規約に基づき修正案の提案は受けない設定で使用)。物語の構成や本文作成は全て自分で行っています。」




