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サファリア女学院から青藍高校へ潜入!? 〜お嬢様の「普通の恋」は、完璧な執事が絶対に許しません〜』  作者: 琥珀かえで


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第6章:お嬢様と踊る、奇跡のダンスパーティー?【中編②】

拓人が耳元に寄せてくれたヘッドホンから流れる、サルファーン作曲の『愛のワルツ』。その甘く切ない旋律に胸を深くときめかせながら、かすみは自分の手作りフルーツサンドを美味しそうに頬張る拓人を見つめていた。

拓人はサンドイッチを最後の一口まで綺麗に食べ終えると、口元を指で軽く拭い、ふにゃりと優しくかすみに微笑みかけた。

「かすみちゃん、フルーツサンドごちそうさま。すっごく美味しかった。……明日からの学園祭、本当に楽しみにしててよ。俺、かすみちゃんと一緒にダンスパーティーで踊るの、めちゃくちゃ楽しみにしてるからね。……あ、あと、また次もあのフルーツサンド食べたいな〜?」

「まぁ……! 拓人さん、そんなに喜んでいただけて光栄ですわ。またいつでも作ってまいりますね」

かすみが嬉しそうに微笑み返す。そんな二人の甘やかなやり取りを、すぐ横でギリギリと歯噛みしながら睨みつけていた男がいた。――森野海斗である。

(て、てめぇ拓人……! スーパールッツの御曹司だか何だか知らねぇが、お嬢の初めてのダンスをかっさらうなんて絶対に許さねぇ……!!)

海斗はツブツブの瞳の奥に、かつてないほどの激しい業火を宿していた。

碧のインテリな誘い文句も、拓人の天才的な天然たらしアプローチも、今の海斗にとってはすべて宣戦布告。総長のプライドと、お嬢への抑えきれない独占欲がゴロゴロと音を立てて爆発する。

(何が何でも……何が何でも、明日のダンスパーティーでは、俺が一番最初に、お嬢とダンスを踊る!!! 絶対に誰にも譲らねぇえええッ!!!)

黒板の隅に「打倒・貝森」「打倒・早瀬」と心の中で書き殴りながら、海斗は男の誓いを固く立てるのだった。

やがて、夕闇が青藍高校の校舎を包み込む頃、ようやくすべてのクラスの学園祭準備が終わりを迎えた。

「よし、今日はこれで解散だ! 明日は遅れるんじゃねぇぞ!」という海斗の号令とともに、不良男子たちはそれぞれの家へと下校していく。

「それでは皆様、私はこれにて失礼いたしますわね。明日はよろしくお願いいたします」

かすみが自由帳を抱え、トコトコと正面玄関へ向かうと――校門の前には、漆黒の高級リムジンと、その横に微動だにせず佇む一人の男の姿があった。

「かすみお嬢様、お迎えに上がりました」

冷たい氷のような声。トレードマークの眼鏡を冷徹に光らせ、一切の感情を排した無表情で一礼したのは、納屋財閥が誇る完璧にして過保護すぎる執事・誠であった。

誠はゆっくりと車のドアを開けながら、かすみを教室から見送っていた海斗たちを文字通り「一瞥いちべつで凍りつかせる」ほどの冷ややかな視線を向け、ボソリと冷たいひと言を放った。

「……随分と泥臭いハエが群がっているようですが、お嬢様、お怪我はありませんでしたか? 万が一、明日の泥の祭典(学園祭)でこれ以上の害虫がお嬢様に触れるようなことがあれば、私はその瞬間に、この高校を敷地ごと買い取って産業廃棄物処理場に更地化する手続きを済ませておりますので、ご安心ください」

「ま、誠さん、そんな物騒なことはなさいませんわよね……?」

ハラハラするかすみを乗せ、誠は静かに車のドアを閉めた。窓を開けたかすみは、校門の前に並ぶ海斗、碧、拓人、そして大翔と凌駕に向かって、パッと明るいひまわりのような笑顔で手を振った。

「それでは皆様、明日、とっても楽しみにしておりますね! ごきげんよう、さようなら!」

高級車のエンジン音が静かに響き、かすみを乗せた車が去っていく。

その後ろ姿を見送りながら、海斗たちは「お嬢……明日は絶対に、世界で一番幸せな学園祭にしてやるからな……!」と、それぞれの胸に熱い誓いを刻み込むのだった。

引き裂かれかけた絆をかすみが繋ぎ止め、ついに幕を開ける青藍高校の学園祭。

果たして、運命のダンスパーティーで最初にかすみの手を握るのは誰なのか――!?

後編学園祭当日に続く

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