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第102章:丘の上のパニックと親友の罠〜そして執事は現れる〜
海が見える丘で、あやめと湊を待っていた俺の背中に、突然、誰かが強くしがみついてきた。
「迎えに来て……」
涙声。振り返らなくてもわかる。初恋の人、納屋かすみだった。
俺の頭の中は一瞬で真っ白になり、激しい焦りとパニックが支配した。
(どうして!? かすみちゃんは南条隼人と付き合っているんじゃなかったのか!?)
俺の居場所を教えられるのは、親友の早瀬碧しかいない。
その瞬間、俺は戦慄した。碧は知っていたんだ。かすみが南条と付き合っていないことも、俺が結婚して子供がいることも。わざとこの最悪のタイミングで、彼女を絶望させるために差し向けたのだ。
「パパぁ!」
無邪気な湊の声が響く。パニックの中で、俺は今の家族を守るため、そして彼女をこれ以上傷つけないため、「親戚の子供なんだ」と情けない嘘をついた。
絶望して走り去るかすみの背中を、俺はただ立ち尽くして見送ることしかできなかった。
かすみの姿が見えなくなり、足元に視線を落とした俺の前に、静かな革靴の足音が近づいてくる。顔を上げると、そこには氷のように冷たい目をした南条家の執事、誠が立っていた。
103章に続く




