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第97章:純白の絶望〜帝王への問いかけ〜
貝森拓人が結婚していて、子供がいた。
その事実が、私の心を完全に壊してしまった。
何より私を深く傷つけたのは、あの時彼がついた「親戚の子供なんだ」という情けない嘘だった。あの嘘が、私の中に残っていた拓人への最後の希望を、木っ端微塵に砕き割ったのだ。
そんな残酷な出来事から逃げ出す間もなく、時は無情にも進み……今日は、南条隼人との結婚式。
控室の鏡の前に座る私は、豪奢で美しい純白のウェディングドレスを身に纏っている。
誰もが羨むような姿。けれど、納屋かすみの心はもうボロボロに引き裂かれて、空洞のように何も感じなくなっていた。
(私、本当に南条隼人の妻になるのね……)
拓人の嘘も、あやめの姿も、すべてが遠い世界の出来事のように思える。
その時、静かに控室のドアが開いた。
現れたのは、今日から私の「夫」となる男であり、私のすべてを鳥かごに閉じ込めた絶対的な支配者。
私は、空っぽになった瞳で彼を見上げ、静かに問いかけた。
「ねえ……隼人さんは、全部知ってたの?」
拓人に子供がいることも。あの海が見える丘に、彼らがいることも。
私がそこへ行って、完全に絶望することも……すべて。
98章に続く




