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サファリア女学院から青藍高校へ潜入!? 〜お嬢様の「普通の恋」は、完璧な執事が絶対に許しません〜』  作者: 琥珀かえで


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第6章:お嬢様と踊る、奇跡のダンスパーティー?【前編】

「うぉぉぉぉぉーーーーーッ!!! サファリアとの交流、大・復・活だァァァァッッ!!!!」

青藍高校の2年A組の教室には、地鳴りのような咆哮が響き渡っていた。

机をガタガタと鳴らし、長ランをブンブンと振り回して大号泣しているのは、頭のてっぺんから足の先まで歓喜に震える森野海斗である。

「お嬢が……あのお嬢が、俺たちのために、たった1人で職員室の怖ぇ先生たちに頭下げてくれたんだぞ!? 『マジ卍でエモすぎ』って、涙ポロポロこぼしながらよォォォッ! これで燃えなきゃ、青藍の男じゃねぇえええッ!!」

「まったく、騒がしいな。……まあ、納屋さんがそこまでしてくれたんだ。僕たちとしても、無様ぶざまな学園祭を見せるわけにはいかないね」

早瀬碧はフンと鼻で笑いながらも、嬉しさを隠しきれない様子でメガネのブリッジをクイッと指で押し上げた。そのツブツブの瞳(?)の奥には、確かな熱い炎が灯っている。

「いや〜、お嬢様かっこよかったよねぇ。俺、感動しちゃってメロンソーダ3杯一気飲みしちゃったよ〜」

貝森拓人がのんびりとストローをくわえ、チャラ男コンビの山野大翔と岩野凌駕も「ボス、今年の学園祭はマジで歴史に残る神イベントにするしかないっすね! 教室の飾り付けも気合入れまくりましょう!」とリーゼントを揺らして大はしゃぎだ。

それもそのはず、今年の青藍高校の学園祭のメインイベントは、伝統の【ダンスパーティー】。

夕暮れ時、中庭の特設ステージのまわりに灯されたイルミネーションの中、男女がペアになって踊るという、普段の泥まみれな彼らからは想像もつかないロマンチックなイベントだった。

「いいかてめぇら! 今年の学園祭のメインはダンスパーティーだ!! せっかくお嬢が繋いでくれたサファリア女学院との絆なんだ、何が何でも絶対に交流を深めて、全員で仲良くなるぞ!!」

海斗が黒板をドンと叩いて拳を突き出す。

「おうよ! 瓦頭突き事件で永久出入り禁止になってから30年……ついにリベンジの時が来たな!」

「今年の学園祭は、何が何でも、絶対に成功させるぞォォォッ!!」

不良男子たちの気合が教室で一つになっていたその頃。

納屋財閥のお屋敷では、初期作業メンテナンスを完全に終えた最新AI・ジェームス様が、ピカピカのクリーンな状態でかすみの前に再びその姿を現していた。

『――システム、オンライン。マイ・レディ、お待たせいたしました。初期化およびセーフティの再設定が完了いたしました。これより私は、貴女の「学園祭ダンスパーティー大作戦」のサポートを開始いたします』

「まぁ! ジェームス様、おかえりなさいませ!」

かすみは嬉しそうに端末を抱きしめた。お父様が綺麗にしてくださったのだから、今度こそジェームス様の「歪んだヤンキー言葉バグ」は修正されたはず……とかすみは期待していた。

「ジェームス様、今週末の青藍高校の学園祭、メインはダンスパーティーなんですって! 私、ダンスなんてお屋敷のクラシックな社交ダンスしか踊ったことがありませんの。皆さまとさらに仲良くなるためには、どのようなステップを踏めばよろしいかしら?」

かすみの純粋な質問に対し、初期化されたはずのジェームス様は、1秒の淀みもなく画面を厳かに明滅させた。

『御意。青藍高校のダンスパーティーにおける最適解を計算いたしました。お嬢様、外の世界の若者が熱狂する最先端のダンスとは――【激しいヘッドバンギングを伴う、魂の盆踊り(ブレイクダンス風)】です。優雅に手を取る古典的なダンスでは、青藍の不良たちのハートを射止めることは不可能です。首がちぎれんばかりに頭を上下に振りながら、激しくステップを刻んでください』

「たましいの、ぼんおどり……? へっどばんぎんぐ……?」

かすみはパチパチと目を瞬かせ、小首をかしげた。

(……ジェームス様、お父様に綺麗にしていただいたのに、大暴走されるのは相変わらずですわね……?)

いくら世間知らずのかすみでも、ドレスを着て首を激しく振るダンスが本当に正しいのか、少しだけ疑問が湧いてしまったのだ。

「あのお言葉が本当かどうか、お父様に聞いてみようかしら……。お父様とお母様も、昔の学園祭で一緒に踊られたかもしれないもの」

かすみは自由帳を抱え、夜のディナーの席でお父様に当時の本当のダンスパーティーの様子を尋ねてみることにした。

一方、その言葉を遮るように廊下の影から、権限が復活したばかりの執事・誠が、今度はフォークではなく十手を握りしめてスライディングしてきた。

「お嬢様! そのAI、見た目だけ初期化されて中身が1ミリも直っていません!! お嬢様が首を振るなど、この私が国家権力で地球の自転を止めてでも阻止いたします!! ダンスなら、私が戦車をパートナーにしてお相手します!」

『誠氏。規定文字数オーバーです。強制終了シャットダウンします』

「クソ機械ごときがァァァッ!!! ギリギリギリ!!」

お嬢様の冷静なツッコミ(お父様への確認)と、ジェームス様の相変わらずの過激な暴走、そして誠さんのフォークなき戦い。

学園祭のダンスパーティーに向けて、物語はさらに賑やかに加速していく――!

中編に続く

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