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サファリア女学院から青藍高校へ潜入!? 〜お嬢様の「普通の恋」は、完璧な執事が絶対に許しません〜』  作者: 琥珀かえで


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第5章:お嬢様、マジ卍で電脳大決戦?【後編】

「私のせいで……せっかく皆様が楽しみにしていた学園祭が、永久になしになってしまうなんて……」

放課後のサファリア女学院。永久絶交の冷酷な宣言が下された教室の片隅で、かすみは涙を浮かべながら自由帳をぎゅっと握りしめていた。

元はといえば、ファミレスでパフェに誘ってくれた大翔さんたちも、スーパーを教えてくれたファミちゃん先生も、みんなかすみを思って行動してくれただけなのだ。自分が未熟で倒れてしまったせいで、お父様とお母様が出会った大切な青藍高校との絆が引き裂かれるなんて、どうしても耐えられなかった。

「……待っていてはダメですわ。私、直談判じかだんぱんしに行ってまいります!」

かすみは生まれて初めて、お屋敷への連絡も、誠へのお迎え要請もせず、たった1人でサファリアの校門を飛び出した。お供の高級車もなければ、エスコートしてくれる執事もいない。けれど、かすみの胸には、ジェームス様から教わった(歪んだ)知識と、何より「みんなと仲良くなりたい」という強い決意があった。

慣れない足取りで地図を頼りに歩き、たどり着いたのは、落書きだらけの壁と重々しい鉄門がそびえ立つ――男たちの要塞、青藍高校だった。

「ひゃあ……っ」

すれ違う長ラン姿の不良生徒たちの鋭い視線に、かすみは何度もすくみそうになる。けれど、自由帳を盾のように抱きしめ、お上品なローファーの音を響かせて、かすみは一歩一歩、正面玄関から職員室へと突き進んでいった。

ガラガラガラッ……!

かすみが意を決して職員室の重い引き戸を開けると、中には、いかにも「修羅場をくぐり抜けてきました」と言わんばかりの、強面こわもての先生方がズラリと揃っていた。サファリアの優雅な先生たちとは180度違う、威圧感あふれる空間。

「あぁん? なんだてめぇ、サファリアの女が何の用だ?」

タバコの煙(※禁煙です)が燻っていそうなほど鋭い眼光で睨みつける教師たちを前に、かすみは一瞬、パニックで頭が真っ白になりかけた。

(落ち着くのです、かすみ。ジェームス様がおっしゃっていた、最先端の『友情の契約』を思い出すのですわ……!)

かすみはゴクリと息を呑むと、職員室のど真ん中で、これ以上ないほどお上品に、けれど凛とした可憐な美声を響かせた。

「青藍高校の、先生方の皆様……! 突然の不躾ぶしつけなご訪問、お許しくださいませ! 納屋財閥が娘、納屋かすみと申します。……本日、私は皆様に、直談判に参りました!」

「直談判だと……?」

「はい! 先日、私がファミレスやスーパールッツで体調を崩してしまったせいで、我が校の先生方が大激怒し、今年の学園祭の交流を『永久に完全なし』にすると宣言されてしまいました。けれど……それはすべて私の未熟さが原因なのです! 青藍高校の皆様は、とっても優しくてパワフルで……マジ卍で、エモすぎる方々ばかりですわ!」

「ま、マジ卍……!?」

お嬢様の口から飛び出したあまりにミスマッチな最新ワードに、職員室の強面教師たちが一斉にずっこけた。

「お前らのハートを、マジ卍で粉砕してやんよ……と、ジェームス様にも教わりました! ですから先生方、どうか……どうかサファリア女学院との学園祭の交流を、もう一度だけお願いしたします……っ! 私のせいで、皆様の楽しい思い出をスクラップ工場行きにはさせたくありませんの……!」

涙をポロポロとこぼしながら、小さな体を震わせて深々と頭を下げるかすみお嬢様。

その圧倒的なピュアさと、健気すぎる直談判、そしてどこか致命的に勘違いしているヤンキー言葉の破壊力に、職員室の先生方のハートは別の意味で「マジ卍に粉砕」されていた。

「な、なんて良い子なんだ……っ!」「サファリアのお嬢様が、うちの泥泥の学園祭のために頭を下げて泣いているだと……っ!?」

先生方は一瞬で涙ぐみ、「よし分かった! うちからもサファリアの校長に頭を下げる!」と大感動の嵐に包まれた。

その時、職員室の窓の外――お嬢様が1人で青藍高校に向かったという情報を嗅ぎつけ、血相を変えて走ってきた森野海斗、早瀬碧、貝森拓人たちが、息を切らせて職員室の窓にへばりついていた。

「お、お嬢……っ! 俺たちのために、1人で……っ!?」

海斗は窓ガラスにしがみつき、ツブツブの瞳(?)から大粒の涙を流して感動に震えていた。

お嬢様の命がけ(?)の直談判により、引き裂かれかけた両校の運命が、再び大きく動き出す――!

第5章をお読みいただき、ありがとうございました!

サファリア女学院の先生方からの「永久絶交宣言」に心を痛め、なんとたった1人で青藍高校へ直談判に赴いたかすみお嬢様……!

怖〜い先生方の前で、涙をポロポロこぼしながら「マジ卍でエモすぎます!」「スクラップ工場行きにはさせません!」と、ジェームス様に教わったヤンキー言葉を全力で駆使して一生懸命に訴える姿は、健気すぎて書いていて目頭が熱くなりました(笑)。

窓の外で感動のあまり大号泣している海斗くんたちのツブツブの瞳(?)も目に浮かびますね。お嬢様のピュアな強さが、引き裂かれかけた両校の運命を再び繋ぎ止めました!

次回、第6章からは、いよいよ薫お父様とあけみお母様が恋に落ちた伝説の舞台――「青藍高校・学園祭大作戦編」へと突入します!

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