第4章-59 黄色い羽
空のバッグにコウから送られてきたお金を少し入れた。
「フク。きっと、サクさん達のところだよね?」
周囲に教員や他の生徒がいない事を確認し、寮を足早に出た。
真っ直ぐに街へと向かう。
街は相変わらず賑やかで、少しうるさくも感じた。
ふと、雑貨屋の前で立ち止まる。
以前、サクと来た羽ペンのある店だ。
「まさか…。」
店の扉を開けると、あの時の店員がいた。
「いらっしゃいませ。
あら、可愛いお客様ですね。」
店員は僕の事は覚えていないようだった。
羽ペンがある棚を見る。
黄色い羽ペンが1本だけあった。
「あの、これ…本物ですか?」
震えながら質問すると、店員は笑った。
「本物に見えますが、これは花の色素です。
黄色い鳥がいたら良いんですけどね。」
「そうなんだ。本物じゃないんだね。」
思わずホッとした声を出した。
店員は話を続けた。
「ええ、まれに虹色の鳥が黄色い羽を落とす事もあるようですが、あれは拾わないと手に入りませんからね。運次第です。」
「虹色の鳥って、あの光る木の広場の鳥だよね?」
店員はにこりと笑う。
「はい。あの鳥です。
滅多に羽を落としません。
特に七色の羽は……普段落とすのは1色か、せいぜい2色混じりですから。」
「えっ?そうなの?」
「ええ。白い鳥は羽をよく落としますけどね。」
フクが拾った羽を思い出す。
間違いなく虹色に光っていた。
「そうなんだ…。」
僕はギュッと手を握りしめた。
「あの、話は変わるんだけど、手紙を書きたくて……便箋がほしいんだ。
大きくて、丈夫なお財布も。」
「便箋にお財布ですね。案内します。
羽がお好きでしたら、羽デザインの便箋もありますよ。」
店員は僕を案内した。
1番大きな財布を手に取る。
そして、黄色の羽が描かれた便箋も手に取った。
「サクさんとガーディさんに手紙を書いたら、きっと居場所が分かるはず。」
レジでお金を支払い、財布と便箋をバッグに詰めた。
お店を出ようとした時、2人の客が入ってきた。
対話が聞こえてくる。
「ねえ、光る木の広場にはもう行った?」
「行ったよ。もうかなりの人数が来てたみたい。」
「大事件だもんね。私も行こうかな。」
僕は気になって足を止めた。
「……大事件?」
2人を見ると、もう話題が変わっていた。
「見て、この羽ペン可愛い。」
「本当だ。買っちゃおうかな。」
2人の客は黄色い羽ペンを見つめている。
フクを連れて行かれてしまう気がして胸がざわついた。
気が付けば店員に声をかけていた。
「店員さん、あの黄色い羽ペンもください。」
「ありがとうございます。お包みしますね。」
雑貨屋を出た。
黄色い羽ペンが入った袋を見る。
「なんで買ったんだろ。
これはフクとは関係ないのに。」
羽ペンを取り出し優しく撫でる。
撫でるうちに、ハッとした。
「まさか、事件って、フクが見つかってしまった……とか?」
羽ペンをしまい、優しくバッグに入れた。
「光る木の広場って言ってたよね。
確か、コウさんの家の方角だった……急がなきゃ。」
足は自然と光る木の広場へ向けていた。




