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君といきたい ー不要品AIと小さなフクロウの旅ー  作者: yunimituki


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第4章-56 湿地帯の涙

僕は寮に到着した。

あたりはすっかり暗くなっている。


御者の手を借りて馬車から降りると、教員が駆け寄ってきた。


「ゼロユイ!?

こんな夜中までいったい何をしていたんだ?

しかも病院用の馬車に乗ってくるなんて、本当に何があったんだ?」


教員の目は震え、体は強張っていた。


「先生、僕……ごめんなさい。

その、理由は……。」


説明しようとするが、言葉につまる。


教員は僕を強く抱きしめた。


「いいかい。

君はとても賢いし、素直だ。

街へ行くのは心配していないよ。


だけど、君はまだ子供なんだ。

しかも夜中に出歩くのは流石に心配になる。」


「ごめ……んなさい。」


僕がもう一度謝ると、教員は僕の両肩に手をおいた。


「とにかく、ゼロユイが無事で良かった。

話はまた今度でいい。もう戻って寝なさい。」


教員は手を引いて、僕の寮の玄関前まで送ってくれた。


「もし体調が悪いなら明日は休みなさい。

君なら勉強の遅れは心配が無さそうだからね。

話せそうなら、相談室で待ってるからいつでも来なさい。」


「……ありがとう。」


「しっかり寝るんだぞ。おやすみ。」


教員は僕の頭を軽くポンポンと叩いて去っていった。


僕は扉を開け、室内に入った。


部屋の明かりをつけ、すぐに寝室へ向かった。


「フク、帰っ……あれ?」


フクがどこにもいない。


Tシャツも、虹色の羽もバッグも全てがそのままだった。


「……隠れてるの?」


リビングも、風呂も、トイレも、台所も、棚の中まで探したが、どこにもいない。


小窓が開き冷たい風が流れ込んでいるだけだった。


「僕のせいだ。

探しにきてくれたのに……僕が断ったから。」


床に座り込んだ。


涙は出ない。

だが、目の前が霞んで見える。


「探しに行かなきゃ。今すぐに……。


でも、どこに?

サクさん達のところ?


でも、あそこは僕1人じゃ通してもらえない…。」


フラフラと玄関に戻り、ドアノブに手をかけた。


体がぐらりと揺れた。


「……あれ?」


だんだんと瞼が重くなり、視界が狭くなっていく。


「フクを……探すんだ……。」


体が崩れるように倒れた。


だが、すぐに体が軽くなった。


「あれ?」


目を開けると、目の前で小さな魚が跳ねた。


「えっ?」


驚いて身を引くとそこは、美しい湿地帯だった。


少し離れたところには、光る木があり、七色の葉が風に揺れていた。


木の下のベンチには、銀髪の女性が俯いて座っている。


背中姿で表情は見えない。


「あれは、この前の女神……ううん、メイドさんだ。」


メイドの泣き声が聞こえてきた。


「そんな。

ガーディが重症だなんて……。」


ガーディという名前に思わず反応した。


「ガーディって、ガーディさんの事?重症って?」


呟いたその時、メイドの方から紙が1枚飛んできた。


「うわっ!!」


顔面に紙が引っかかる。


紙を顔から引き離す。


号外だった。


死亡者や、怪我人などの簡単な詳細と一覧表が記載されている。


ガーディの名前も確かにそこに載っていた。


「君、この前の子供だよね。」


いつの間にか、紙を追いかけてきたメイドが目の前に立っていた。


その目は涙で濡れている。


メイドは袖で目を拭いながら、僕に笑顔を向けた。


「体調は大丈夫?

あの後、消えちゃったから心配してたの。」


メイドの目から再び涙が溢れてきた。


メイドは隠すように拭い続けた。


「ごめんね。

悲しい事があって……でも君を見たら、安心しちゃった。」


必死で涙を拭うメイドの姿に、胸の辺りが軋むのを感じた。


「分かるよ。

僕も、悲しい事があったんだ。」


その時、視界がゆがんだ。


足元に何かがポタリと落ちた。


「あれ?僕……メイドさん、僕泣いてるの?」


「うん。泣いてるよ。

私達、とっても泣き虫さんね。」


メイドは小さく笑った。

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