第2章-23 社会の一員
僕はサクと共に再び裁判所を訪れていた。
サクに名前を書いた申請書を渡す。
「サクさん。はい、これ。」
「へえ、なかなか変わった名前にしたんだな。ちょっと待ってろ。」
サクは確認すると、受付の奥に入って行った。
僕の背中のバッグがモゾモゾと動く。
中にはフクと、フクが大切にしている虹色の羽、Tシャツが入っている。
「フク、もう少し待っててね。」
背中に小さく声をかける。
サクが戻ってきた。
「手続き完了したよ。
ほら、これが入学証明書だ。無くすなよ。」
「ありがとう。」
サクから証明書をもらいポケットにしまった。
サクは僕に手を差し出してきた。
「さあ、行こうか。ゼロユイ。」
「うん。」
サクの手をしっかりと握る。
サクの話によれば、申請書を受理したスタッフが、学校まで連れていくのがルールらしい。
裁判所を出る。
その時、副裁判長のレイが入れ違いで入ってきた。
「あれ? 君は……昨日、手続きしてた子ですよね。
なぜ学校ではなくこちらに?」
サクはレイに頭を下げた。
僕も慌てて頭を下げる。
「レイ様、おはようございます。
驚かせてしまい、申し訳ございません。
この子はガーディという警備隊員が保護した子で、親が来ず手続きが遅れました。」
レイが静かに頷いた。
「その件については、ガイさんから報告がありました。
やっぱり、君がその子供でしたか……夜に一人なんて怖かったでしょう。」
レイはしゃがみ、視線を合わせてくれた。
僕はレイの顔を真っ直ぐに見ることができず、下を向いた。
「あの、レイさん……昨日はごめんなさい。」
「気にしないでください。よく間違えられるんです。」
顔を上げると、レイは微笑んでいた。
「それでは、私はこれで……学校、頑張ってくださいね。」
レイは僕とサクに軽くお辞儀をすると、裁判所の中に入っていった。
レイを見送ったあと、サクは僕に向き直った。
「レイ様、優しいだろ?」
「うん。すごく優しい。
サクさん。あの人は副裁判長なんだよね。
裁判長も優しい人なの?」
サクはフッと笑う。
「冗談じゃない。レイ様が特別なんだ。
さあ、今度こそ行くぞ。」
サクは僕の手を握りなおした。
バッグの中のフクが、再びモゾモゾと動いたような気がした。




