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迷宮ラビュリントス 3

 キメラを倒し、糸を出す小さなモンスターから逃げたゲイルたち一行はエウロのギルドと迷宮突破を目指し旅することに。

「あ、あのヴィンスさん!」


「どうしたカタリナ」


「わ、私の顔とよく似た人をどこかで見たことありませんか?」


「んー、見たことがないな」


「そ、そうですか・・」


 カタリナはお姉さんを探したいようだ。


 ゲイルさんは松明の火を新しい木の棒に灯した。分岐する道が増えれば松明も増やす、それをペアの内の1人が持って歩く、そうして壁に□や×の印を刻む。


「これで帰りは迷わなくて済むぞ」

 それから、モンスターと何度も遭遇戦闘し最後1つとなる道に辿りついた。



「ここは?」

 エウロさんが不思議がるのも無理はない。その通路は細く左右は底が見えない深い穴であるから。先程までは岩に遮られていたのに急になくなると錯覚を起こす。気を抜いていたら足を踏み外し深い穴に真っ逆さま、死ぬことになる。


「人の手によって作られた場所のようね」

 ハーゼリアが言うと、


「はい、人工的に作られた場所です」

 プリンシパルが穴を見ながら答える。


「ここにダンジョンマスターがいたりしてw」

 とセイロンさんが言った。真面目そうに見えたが・・。


 通路の先に光があるようだ、部屋の入口にも見えるが行ってみないと見分けられない。通路は深い底の穴から風が流れてくる、通路、穴を挟んで岩の壁には小さな光る球がいくつも置いてあった?


「あれ魔術石?」

 と興味津々のアシュリー、


「あれ、欲しくない?夜も家で仕事ができるわよ」

 重宝しそうなお宝を物欲しそうに見つめるバルバラ。丸い透明なガラスのような素材の球の中に赤い火が点いている。そして光る球はずっと煌めく。まるでアルコールランプのようだが、あれはガラスの外で火がついているから別物だ。

 火は消えないでずっと灯っているのか?しかしガラスのような球の曇り具合から、相当古い物だろう。


「気を付けろ!落ちるなよ!」

 ゲイルさんが呼びかける。見なければいけないのは道であってランプではない。みんな細心の注意を払う。


「何か少し寒いですね」

 両腕を抑えるリコルチェさん、底の風は意外に冷たく寒気を感じた。


「はい」

 カタリナが答える。誰でも返事はいい、そんな事気にかけてはいられない。


「入り口に入るぞ」


「気を付けろヴィンス!!」


「ああ」


 光がある入り口に入るとそこは宮殿のような広い長方形の部屋であった。部屋は黄土や白色の石が使われ壁と天井に模様が施されている。天井は高く、これが岩の中だとはとても思えない。さらに壁際に柱が何本も立っていて彫刻のような加工と模様が施されていた。


「大きい~」


「あんな高い所にさっきの魔術石のランプが掛けてあるわよ!」


「ここに何があると言うのよ」


「光は怪しいわね」


「これ見て!石に字を書くようにして絵か模様が描いてある」


「何かしらね」


「ここで終わりだ」

 ヴィンスさんが立ち止まる。そう言いながらアッキーを見るからアッキーは頷いた。


「そんなはずはない。行き止まりなら、こんな広い場所は作らないからな」

 リーダーらしい意見、ここに来た意図がうかがえる。


 実は俺もそう思っていた。だがなぜだろうか嫌な予感がするんだが。


「あるのはあれだけ」

 ゲイルさんは冷静に宮殿の奥を見た。


 壁から横に突出した岩があった、そこだけ素材が違って金色をしている。


「あの金ぴかの岩を調べてみるか?」


「仕方ないわね」


「ここ落とし穴とかありませんよね」

 嫌な事を尋ねるカタリナ。まあ重要だと思うが。


「あれは地盤が脆かったからだよ。普通は地面に穴は開かない」

とセイロン。


「先行ってセイロン」

 アシュリーが言う。


「はいわかりました、お嬢様」



 俺たちは金の突出した岩の前まで移動した。歩いてみて思ったが、中はかなり広い。


 金のでっぱりには文字が刻まれている。異世界人の俺でも文字が読めた。


「おい読めるぞ!」

 エウロが言う。


「でどう書いてあるんだ?」

とゲイルが尋ねる。


「迷宮ラビュリントス」


「何だ、それだけか」


「なーに、それはこの場所を表しているの?」


「待て、まだ続きが後ろにも書いてある!」


「ここにお前を閉じ込めることにする」


「ここには誰もいないぞ、一体誰を閉じ込めるんだ?」

 ゲイルさんが周囲を見回す。


「本当、誰もいませんね」

 確かにそれだとおかしい。


「迷宮に何で閉じ込めるんでしょうか?」


「はいはーい、モンスターが出てきたりするからじゃない?」


「でもいないわよ、もしかして出て行ったとか?」


「それでいないんですね、あははははー」


 もぬけの殻ってか。それにしても突出した岩が怪しい。


「この岩はファーストか?」

 ヴィンスさんが言う。近くで見ると岩は形がデコボコしているが明らかに何かの金属を含んでいた。


「ああ、武具の素材だろう。それだけでも世紀の大発見につながる代物だ」

 ゲイルさんたちは話しているが取ろうとしない。


「迷う必要あるの」

 アシュリーさんが腰に手を当てそう聞くと、


「こういうのは罠が多いからな」

 ゲイルさんが考え込む。


「皆、気をつけろよ」

 エウロさんが言う。これだけの人数だ、ある程度の事態でも対応できるはず。


「どうするの、エウロ?」

 アシュリーが話しかける、


「おそらく罠だからやめましょう」

 ハーゼリアが助言する。


「そうね」

 アシュリーは納得した。


 アシュリーは振り返って違う場所を探すことにした。


「ザシュ・」

「っぁ」

 だが、足が滑りバランスを崩したアシュリーは突出した岩の上に乗ってしまった。ビクリともしなさそうな岩はアシュリーが乗ると地面に落ちるように下がっていった!


「それに触るな!!」

 エウロが怒鳴る!


 遅かった・・・。


「ガシャン」

 岩が地面に付く。


「逃げろー!!」


「ボォオオオオオン!!ゴォオオオオ!!ガッガッガガガガガガガガ!!ガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!ガサガサガサガサガサガサガサガサガ!!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!ゴゴゴゴゴォガスッガスッバタバタ!!コロコロコロ!!」


 その突出した岩を支えていた壁が突然崩壊した。


「おい、大丈夫か?」


「うん、すぐに避けた」


 全員崩れた岩の下敷きにはならなかった。


 前方から少し行った場所には、また別の白い壁!?


 いや、嘘だろ!!巨大な直立型で背丈7人分の身長の牛だ!!角を生やし斧を持ち、直立二足で立っている牛がいるっ!!


 そして壁の向こう側にもう1つ空間があり、部屋が広がっている。


「逃げろ~!!」


「ウッウオオオオオグゥウウオオオオーーー!!!!」


「逃げて~!!」


 全員が走る、アシュリーは涙ぐみながら手で拭いて前を見ながらひた走った。


「ぅぁあ、うぁあ~!!」


「はぁはぁはぁっ」


「げほっ、はあはぁ」


「はぁぁ・・」

 カタリナは息が切れる。


 走りながら唯一出来る事はメニューを見る事だが、そんな視界が塞がること今はしていられない!!


「ウォオオッオオオオーッ!!」

「バシッ!ガザンッ!!バタン、パラパラッ・・」

「ダダッ!!ドスンドスンドンドンドーン!!」


「ダ、ダメだ!」


 通路の場所に投げつけられた斧。目的は俺たちではなかった・・。なんと入り口を壊し閉じこめようとしていたようだ。

 俺は唖然とした。見ると出口(来た道で入り口)に大きな牛がいた、すごい早い動きでそこに立ちはだかる。足の幅の違いか、アスリートのような筋肉で一歩踏み出せば5mは進むだろう。誰も逃げることが許されなかった。


「距離をとれ!!」

 エウロさんが指示を出す。


「壁際だと攻撃はくるが、柱でうまく攻撃できないはずだ!それと逃げ道を必ず確保しろ!」

 ゲイルさんの指示。


「隙間から逃げよう」


「つぁっ・・私が滑ったせいで・・。滑るとは思わなかったの、これまで乾いた岩で滑ったことはなかった」


「気にするな」

 エウロが一緒に走って答える。 


 その話声が聞こえた。天井から水が垂れたのか、どこか水のある所で足の裏についたのか、アシュリーは十分注意していたようだ。


 メニューを確認する、戦闘となると情報が生死を分ける。


 ≪ミノタウロス 迷宮に閉じ込められしモンスターかつフロアボス≫


 この雄叫びと容姿、生々しいこのモンスターの獰猛さは尋常なものではない。獣臭がプンプンして今にも食われてしまいそうだ。盗人から宝を守るためだろうか、筋肉隆々で盛り上がる体と俊敏さは圧倒的な戦力差がある。

 ミノタウロスは涎を垂らし、白い目が赤みを帯びてきて体から湯気が出ていた。熱気は闘争心からか発汗している。


 それでも殺されたくはない、殺されるわけにはいかない。勝利する方法を模索する。


「全員散れ!!ただしナイト、戦士、魔法使い、ヒーラーの組み合わせでだ」


 ゲイルさんは全員を見ているようだ。期待値の高い組み合わせはいつもの職種、逃げおおせる、誤魔化せる可能性を1%でも増やすように連携を組むのだ。

 あの筋肉野郎の拳はとてもじゃないが受け止められない。防御でも、かわすだけの回避のみ。


「ズゥウンッ!!」

 殴ったり蹴ったり攻撃を繰り出すミノタウロス、1チームが左右に飛んで転がる。俺たちも散った。こちらは戦力に、ばらつきがある。


「そっちにいけ!」

 俺はヴィンスさんに押された、その瞬間ヴィンスさん達に蹴りを出すミノタウロス。


 ヴィンスは後退し、セイロンはバルバラを押し斜め後方に屈む。いち早く退いたモニカさんとプリンシパルさん。


「モニカ、魔術の準備!!」


「はいぃ!」


 さらに拳を出したミノタウロス、剣先で距離を取るヴィンスだったが吹っ飛ばされる!剣を持つ手が持っていかれ姿勢を崩したのだ。アッキーは邪魔にならないように、とにかく下がっていた。


「飛べ、怒り怒る炎の球!」

「ファイアボール!!」


「眠れ、燃えさかる火と共に!」

「クリメート!!」


 ミノタウロスの顔にファイアボール、足にクリメートで炎を出して燃やすが、移動し手で弾き返される!

 さらにアシュリーはファイヤーボウ、ハーゼリアはウォーターガンで目つぶしを狙うがミノタウロスは炎の矢を握りつぶし、水の球は手ではたき落とした。時間稼ぎにならない、その隙をついて横から逃げたいが数秒しかなく、動けなかった。


 猛突進を全員が体を倒してかわす、さらにくるかと足に力を入れ攻撃に備えていたが、ここには来ず斧を拾いにいったミノタウロス。

 少なからず炎は効いている?あれを素手で落とすのは流石に熱かったか?いや剣の攻撃の方が通じるか?

 何度も攻撃して弱点を知りたいが隙が見つからない。


 鬼に金棒、ミノタウロスに斧。一度出直さなければ絶対に勝てない。魔術も剣も通じない敵、そんなやつに勝てるわけない、何か弱点があれば。


「奥へ逃げろー!」


 俺たちはさらに奥へ逃げ込んだ。そうすると一番近いエウロさん達を狙ってきたミノタウロス。


 ミノタウロスは斧を横に振ったが、エウロさんはそれをダッシュとファーストステップでかわし懐に入った。それに気づき、ミノタウロスは足蹴りする!だがエウロさんは踵をたてて、バランスを倒し体の中、つまり股の間にはいった。これは身長さを逆手にとった方法でミノタウロスの意を付いたが、


「ガッ!キィンッ!!」



 普通、そんな事するか!!


 ミノタウロスは戦闘本能を剥き出しに自分に当たるかもしれない斧を股の下に振って攻撃した。エウロさんはミノタウロスの足の後ろに身を隠したが、右足を後ろに引くミノタウロスは諦めない。

「シュッツ!!パシュ!シュー・・」


 斬りつけるエウロさん、一刀、二刀、三刀素早く入れる。そしてすぐに離れる、常に素早い敵の動きを位置して。


 プリンシパル、モニカは魔術を詠唱しようにもエウロさん達を巻きこむ危険性を考えて戸惑う、


「逃げろ~!!」

 エウロさんが叫ぶ。


 俺たちは一定の距離を保っていた。逃げれるかイメージでやってみたが数秒後にやられる結果が頭を過る。


「弱点が分かるかもしれない、水や火以外の魔術も試してくれ!!」

 俺が言う、弱点でも見つかれば隙も時間も作れそう。


 サンダーアーク、ワールウィンド、狭い場所でサンドストームまでやってもらったがほとんど効果なし。


 !!


 ミノタウロスは斧を置いて、四つん這いになって角を剥き出しにした。


 猛追で走る、はやい!!


「うあああっ!!」


「きゃぁあ!!」


「ぐっ」


 頭突きに5人が巻き込まれた、不幸中の幸い、角には当たらなかった。


「あ~肩がいうことをきかない」


「俺もだ、力が入らん!」


 すぐに回復するカタリナとバルバラ。

 ミノタウロスは斧を振るう、ファーストステップでかわすエウロさん、さらにダッシュで攻撃をするが効かない。


 デメグラムさんはガード体制のまま闘牛士のように身をかわす、盾は出しているが受け切れないので避けるだけ。だが万が一意を考えた防御だ。

 アシュリーがファイアボールを放ったり、デメグラムさんがトマホークをミノタウロスの顔(急所と思われる所)に投げた。


 だが、誰も隙をつくことはできない。出入り口を常に見ているミノタウロスにたじろぐ。1秒、2秒あれば皆で魔術を放ち、剣や斧で攻撃する。

 敵は弄んでいる?あれだけの身体能力があれば、こちらを楽勝に制圧できるはず・・。


 またミノタウロスが斧を振るったので、ファーストステップでかわすエウロさん、


 シュルン!!


 デメグラムさんは点が見えた。真上から見た斧が来ている!?かわすだけの防御をとるデメグラム、違う場所に飛んで行った。


 あれは、

「攻撃じゃないのか?」

 デメグラムさんは背後に不気味な姿を見た!頬に伝う汗、さらに風で運ばれ漂う鉄のような臭い、ただそれは冷たく流動的に感じる。



××××××××××××××××!

 床に上半身だけのアシュリーが!?

××××××××××××××××

 消えたのか!それはない。血が池のように彼女の周りを浸していったから・・・。

××××××××××××××××



「お」

 デメグラムは手を出そうとした。


 たれ目で涙を流しニコッと笑い、

「・・・ちゃ・」

とデメグラムに言葉を発しアシュリーは目を閉じた。


 それと同じ瞬間、カタリナの目の前に、


「ドサッ!!」


××××××××××××××××!

 アシュリーの下半身が目の前に落ちてきて顔に血が飛んで垂れる。

××××××××××××××××


「いやぁああああああ~!!」

 アシュリーの死を直面しカタリナが悲鳴を上げて泣き崩れた。


「あ、アシュリィイイイイイイイイ!!!」

 エウロの目にアシュリーの姿が二つ入る。


「あっ、はっっぅぅ~」

 言葉にならないセイロン。


 ミノタウロスはエウロに斧を投げたのではない、攻撃、斧を振るうのに乗じたトマホークである。斧の持ち手や刃に当たればショック死、刃で斬られても失血死で結果は同じ、死が斧に纏わりついていたのだ。ミノタウロスは企んでいた。いつからそれを狙っていた?くそっ、俺は気付けなかった・・。


「カタリナ、しっかりしろ!お前まで殺されてしまう!!」

 早く立ってくれ、そんな所で座っていたら死んでしまう。

 R15とか入れた方がいいのか迷いました。

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