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過去の面影(モニカの告白) 2

 ダンジョン10階層はモンスターがいない灰色の岩地。異世界転移のような話をモニカはゲームをしていた頃から知っていた告白により信頼を裏切られる。

「体はどうやって洗いますか?」


「それは魔術でやろう、なんにしても明日からだ」


 まあ用を足すにしても、ここは誰もいないから問題がない。それから修業をして一時間後、このフロアの奥にある洞窟の階段から誰か降りてきた。


「おや、キキアレキの連中が戻ってきたのか?」


「おい、しっかりしろ!」


「バルボットの意識がないぞ!」


「そこに寝かせて!」

 洞窟の穴から出ると、すぐ横に寝かす男たち、


「起こせ、目覚めの心気!」

「ドラグケア!!」


「―――」


「ん、どこだ、俺はどうなった!?」


「ああ、よかった~!」


「バルボット、慌てるな」


「ぉぉ・・」

 反応がおかしい。意識がまだ、はっきりしないか。




 また、ギルドが降りて来た。


「今度は、はぁ~シロタレスだ。あいつら自分のレベルを知れってんだ」


「ジャリ、タッタッタッ」


「冗談じゃねえ、あんなのどうやっていけって言うんだ!」


「これはダンジョンよ、図書館にも書いてあったでしょ。世界の開拓は難しいと」


「そんなの偏見だろ、学者や司書に開拓や戦闘語らせたって難しいに決まってる」


「さすがに、これだけダメージ喰らって戻る気力もないわね」


「かあぁアイビス!あんな暗い中、走ってよくここまで戻れたな」


「ええ、そりゃー。私は精霊と毎日お話してるんだから当たり前でしょ」


「聞いて、私なんか棘棘しいものを踏んだの。すぐに避けたからよかった。


「敵も準備万端ってわけじゃなかったのかしら」


 シロタレスは、ダンジョンの話をしていた。手探りで進み、生きて戻れたのは運がよかったらしい。




 夕食の時間になる。こんな灰色の空でも暗くなるとまた違う。灰色の空は闇に溶けていった。スープを飲んで俺は皆の顔を見る、どんな表情をして食べるのか気になったからだ。

 一緒に冒険したアルスはいつも思慮深い顔、セイラは大人しい顔をしていた。

 ゲイルさんたちは、いつもと顔が違い表情は変わらない。だが眼から、その内に秘める決意と努力、栄光と未来等が感じられた。

 食事をとり、話しかけた。


「今日は、このまま寝るんですね」

 俺はヴィンスさんに尋ねた。


「ハーゼリアたちとは離れて寝る。以前、事件があったとかで男と女は別々と決まっているんだ。夫婦、家族なら別だがな」


 この世界にもそういう事があったのか。




 朝起きる。

 灰色の土地で一部が濃くなっている箇所があった。


 あれは!?


「女たちだ」


「女たちは、あんなに離れて何をしているんだ?」


 どうやら体を洗っているらしい。


「はぁ、体洗い?」


「それだ、あいつら朝いつも早いからな」


 ハーゼリアさんとリコルチェさんだな。そう言ってもギルドの家で洗っているんだろう。


「俺たちも体洗うか?」


「今ですか?」


「そうだ」


「だってここで裸になるんですよ」


「生まれた格好だな、まあ後ろ向いてりゃいいだろ。ないのかあれは」


「ついてます、なあアッキー」

 恥ずかしいので俺はアッキーに話をふった。


「アッキー、お前は余裕だろ」

 ヴィンスさん、何の余裕ですか?


 ま、まさかー!!?


「え・・」

 アッキーは首をカクカクしていた。


「なんだ恰幅のいい図体してるのにいいのか見せなくて」


 だよな、ビビったぞ。


「いや、おそらくビジュアルとか嫌気を与えたくないんだと思うんです」

 それはヴィンスさんの勘違いだ。真っ裸を晒す露出狂なんて元の世界でもいない。

 仮にアッキーの体格でやると仲間たちから見たらトロルになるんだろうなw。モンスター以上の恐怖は与えられるが、やっていることはそれ以下のクズ、人間を否定される。


「お前達はそういう育ちなんだな、それならあっちの方へ行くか」


 どういう育ちをされたんですかねー?とはあえてきかない。


といってヴィンスさんは、崩れた岩の方まで歩いていった。俺たちもついていく。


「来ましたけど・・」


「おーい、ハーゼリア!!」


「なによ?あんたたたち、そこであれやるの?」


「良いだろ、仲間だろ!!」


「コホン!くれぐれも直立はしないように」


「ヴィンスは変態だからな」

 デメグラムが言う。


「意見は分かれるが同じ人間だ」

 ゲイルさんがまとめる。


 アッキーと俺は恥ずかしかった。こんなふらふらで、ああ赤ちゃんに戻ったみたい、バブバブ。



「この前何て体洗っているとき、急に呼ぶから変なもの見ちゃったじゃない」

 顔を少し赤らめて言うハーゼリアさん。


「別にいいぞ、好きなだけ見ても」


「遠慮するわ!!じゃあいくわよ、レインコール!!」

 魔術を詠唱するハーゼリアさん。


 体と防具を洗う俺たち、とりあえず汗は落ちたと思う。

 その後、木々を取り出す。ハーゼリアさんは、木々に火をつけ立ち去っていった。


「ほら温かいぞ!そこで体を乾かして」


「ハーゼリアさん、服はワールウインドで乾かせますよ」


「え、この私にその魔術が使えるかって?」

 手を胸に当て、こちらを見るハーゼリアさん。いやそういうつもりで言ったんじゃないんですけど・・。火に当てていると遅いので。


「なに、それは?」


「きゃーああああ、あああ!!」

 走って逃げていったハーゼリアさん。


「やれやれ」


「お前が変わった事、言うからだろ」

 デメグラムさんに俺は怒られた。


「すみません、それで乾かすのを見たことがあって」


「次から取り入れよう」

 ハーゼリアさんのことは別として、ゲイルさんは賛成してくれた。




 俺たちが体を洗っているときにシロタレスのギルドは帰っていった。体を洗わなくてもよかったのか?それほど恐い思いをしたのか?


 そしてゲイルさん指導の下、修業を開始する。戻る予定だったが、しばらくここで修業をするようだ。俺たちも生活出来るのなら、ここの方が経験値を稼げると思う。そして早く元の世界に帰るのに都合が良いと思った。


「お前たちは戦闘の基礎が全くなっていない」


「こんなのやってて強くなれるんですか?」


「なる。こうやっていると、いつでも迅速に体を動かすことができる。対応が遅れると全てが遅れるんだ」


「せいっ!やあっ!りゃあ!らぁっ!」


「ふんっ!くぁっ!んんっ!んぬっ!」

 アッキーも声を上げた。


「開け・・」

 スタッフが揺れるカタリナ、


「射よ・・」

 スティックが光るモニカ、



 俺は昨日からモニカさんと全く話をしなくなった。モニカさんの告白を聞いても疑いの(こく)(はく)にならないからだ。

 なぜ急に、モニカさんは真実を話すことにしたのか?俺は、今まで信用されていなかったのか。ここまでたくさんのピンチがあり俺はそれを知らずに死んだかもしれない。




 昼食をとる、これが俺たちの最後の食料だった。

「食料は、まだあるから心配するな。もし明日の夕方までこなかったら俺たちも引き返そう」


 天候が変化しないから良いが、俺は滞在するか戻るか早く決めてほしかった。


 ハルバートでトマホークを二つ飛ばして練習を終えたデメグラムさんに感動した。両手を器用に扱うからすごいと思った。

 素振りは、戦闘で振り下ろす時よりも剣が重く感じられあまり続かなかった。練習のせいで腕が痛くなった。今日は、ホパーの皆はやってこなかった。




 夕食の時間になる。


「パパドリアを食べよう」


 モニカさんがこちらを見たが、あまり目を合わせたくなかった。それを察したのかカタリナが食事の用意をしてくれる。

 パパドリア、米と辛い木の実、葉を合わせたものでそれをラクダの乳?と混ぜて焼いたもの。包みに入ったパパドリアを少しずつ食べて中身が分かった。


「うん、美味しいぞ!」


「んほん!」


 その日は、静かに終わっていった。




 朝起きると女たちは起きていた、そして体を洗っていた。俺たちも続く。


「舞い上がれ、空に浮かぶ旋毛のように!」

「ワールウインド!!」

 ロッドをこちらに向け、旋風を起こすハーゼリアさん。


 俺は旋風で飛ばされてしまった、ぜったいワザとだぁ~!!!



 そして・・・、


 裸のヴィンスさんにキャッチされて気持ち悪かった。もう裸同士の付き合い何てご免だ。それにクスッと笑うハーゼリアさん、悪女決定!

 俺はモニカさんとカタリナを見た。すると二人ともこちらを見ていた。すっぽんぽんの俺をだ。

 俺が女たちに嫌がらせしてるか?それはないぞ、俺はこの世界に来たからこんな目にあっているんだ、ひどいのは嫌がらせや嘘をつくお前たち、う~泣けてくる。


「どうした?」


 ヴィンスさんの天然さに何ともないのかと言い返したい。俺は野暮じゃねえ。こんな虐待ばっかされていたら、将来ダンジョンマスターになったっておかしくないんだぞ、ぐすっ。

「なんでもないっ」

 泣き泣きなんて、これまでの生活でいくらでもあった。元の世界の仕事中でもあった。俺が謝れば、頑張れば良いだけの話。



 朝食を食べると、すぐに修業を始める。


 そして昼食になった。休憩をとりながらも皆、修業中の顔だ。モンスターとの戦闘を思い出す。

 昼食後、修業をしていた時にホパーのギルドがやってきた。


「おお戻ってきたか、遅いから何かあったのかと思ったぞ」


「大丈夫だ、それより変わりはないか?」


「ああ」


「パサリ」

 ベスコは荷物を地面に置いた。


「ありがとう、ベスコ」


「いいさ。お金はもらっているし、俺たちから頼んだんだ」


「それよりさ、次へ進む決心はついたか?」


「ああ、お前たちも来るなら来い!」


「いや俺たちはいい、ファーストの情報を売るだけで満足。なぁジャンボロ」


「あっす、俺たちの目指す所は、新しい街」

 ホパーのジャンボロが答えた。


「他に必要なものがあるか?」


「ない。もし他のギルドに先を越されたら悪い。エクセアを見たっていう情報もあるし、ブルーオーシャンやマーベラスの連中もやってくる可能性は十分ある」

とゲイルが言う。


「エクセアが・・そうか。どのみち攻略してくれれば俺たちにもファーストが手に入るチャンスがある」


「俺たちは修業を続けるんだが、よかったらお前たちも手伝ってくれないか?」

 ゲイルがベスコに声をかけると、


「いいけど」

「うん」

 引き受けてくれた。


「はい、これ」

 棒切れを持って戦えと勧められるベスコと俺。ホパー対テリーヌ(俺たち)の戦闘訓練だそうだ。


「ライムはベスコと勝負、アッキーはジャンボロと、モニカはニピと、カタリナはイラストマイガと戦闘だ!」


「準備はいいか?」

 お互い顔を見合わす、そして頷く。


「まずは接近戦だ、では始め!」


「はぁ~っ!」

 ベスコが棒を上に立てて振りおろす!


「カコンッ!」


「うわぁ!危ない」

 棒を前に出して偶然当たったが、開始から勢いづいている。


「パシパシバシ!!」


「パシィイ!!」


「カッカッカッツ!!」


「カッ、カッツ!」


「棒に、かすったら斬られたと思え」

 ゲイルが言う。


「棒が当たったら死んだと思え」

 ゲイルが怒鳴る!


 こうして日が暮れるまで修業した。


「よし、終わろう!」


「ほーら、街で流行っている料理を持ってきたぞ!」

 そういってベスコが持ってきてくれたロコココという料理を食べる。ソースと和えた肉のミンチ球の上に卵がかかっている。


 見ただけで口の中に唾液が溜まってきた。」


 すぐに、スプーンですくい取る。


「うぅ~柔らかく旨みがある、それでいてジューシー!」


「おいデメグラム、これ食べているか!?」


「食ってるよ、うるさいな。口開けたくないんだ!」


「怒ると飯まずくなるぞ!」


「お前のせいだ!」

 いつもの二人が言い合う。こういう仲良しは学生時代に一人位はいるんだろうけど、大人になっても同じ。仲がいい証拠だ、羨ましい。あぁ学生時代か、懐かしい。


 その日はホパーのギルドも一緒に寝る事になった。


「ゲイルさん、明日も修業するんだろ」

 ベスコがきいた。


「そうだが」


「俺たちは、大体一日置きに食料を運べると思う、みんな頑張ってほしい」


「わかった、俺たちも新しい世界が待ち遠しい。このままでは、つまらないからな」


 俺はゲームの世界が住みやすいというか、生きやすかった。

 だからゲームのような世界に入った。

 だが現実より悪く生きにくかった。

 ここに来たのは俺のせいで、モニカさんは関係ないのかも。


 もういい寝よう。


 次の朝、やっぱり女たちが体を洗って防具(ローブ等)を乾かしていた。

 俺は思いかけず目をやる。相当遠くで服を乾かしているから肌か岩か区別つかない。

 それでも見ているとエッチな感じがした。想像するだけでモヤモヤする。



 起きると、ホパーのギルドは帰っていた。

 そして体を洗い、朝食を食べ修業を始めた。


 俺とアッキーの修業は、ほとんど基本的な事ばかり。カタリナたちは魔術の詠唱のみ。精霊と仲良くなる、見えるようになるとかいう理由で。それで成功するのならいいが、俺たちは変わるのだろうか。


「お疲れ」

 モニカさんの方から俺に声をかけてきた。


「お疲れ」

 俺も言った。これからも一緒にやっていくメンバーと思って話す。




 そして何日も経って喧嘩の(わだかま)りがなくなっていった頃、崖下からフロートでブルーオーシャンという冒険者ギルドがやってきた。


「やっと着いたかお前達、世話をかけたな」


「何言ってんの、自分の仲間じゃない」


「途切れる事もなく安定の魔術でした」


「こんなにダメージを喰らったのは、俺があの木のモンスターに手こずってしまったせいだな」


 ま、まさかあれを倒してきたわけじゃー。


「ここにきて、よく抜けたと思うよ」


 どうやら倒してはいないようだ。あれを倒すとなると、ぶっちぎりで最上階まで辿りつくかもしれない。



「おやっ、ゲイルさんじゃありませんか?」


「おっ、久しぶりだなセイロン。あとそっちのエウロ含め四人もな」


「こんな所で燻っているなんて随分と変わってしまった」


「俺たちは修業をしているんだ」

 ヴィンスさんが腕組みし勇壮に言う。


「いつみても決まっているわね」

 呆れたプリンシパルが腰に片手を当てて言う。


「おお、プリンス!いつみてもその抜群のスタイル、恰好よく決まってるが見た目だけじゃなく中身も鍛えろよ」


「相変わらずヴィンスだってポーズとかとってるんでしょ、頭も鍛えないと」


 どうやら二人は同じ街、出身の古き幼馴染ってとこか?


「いやこれは俺の動作だ」


「二人ともやめろ。情報は、ここまでしか来ていないのは合っているな」

 エウロが言うと、


「そうだ、この先は未開拓だ」

 ゲイルさんは答えた。


「では俺たちが次のフロアを開拓しよう!」

 エウロが言った。

 冒険者が多いかな。

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