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温かなごちそうと冷めた食欲 2

 インプの森を抜け庭園で捕まったゲイル&ライム一行。そしてサキュバスに痴女られインキュバスに犯され、ヴァンパイアに吸血される?

 あっ、危ない。俺は女たちを叩き起こした。

「パシパシパシッ!」


「はゃ!?な、何すんのよ!」

「ボコッ!」

 モニカさんのパンチが俺の頬にクリーンヒット!


「モ、モニカさん俺ですっ」


「何であなたがいるの?」


「ええっ、俺は起こしに来ました」

 叩いたとは言えない。


「あの男たちは?・・・・げっげげっ!」

 横目でみるモニカさん、正体を見て慌てふためく。


「あなたが、あのがっしりした男ー!おぇっ気持ち悪いっ!!」




 一方ハーゼリアさんは、


「パシッ!!」

 軽く頬を叩いた。


「ほぁ、あなた年下の癖、失礼じゃない!」


「すみません、そこに」

 俺はサキュバスの方を指さした。


「誰?誰なの。もしかして幻術?」

 ハーゼリアさんが目を疑う。


「はい、見ていたのは夢か幻で、それをいい事に子供を作ろうとしていました」

 俺が執事になろう。


「この私に、あの小汚い糞野郎が子供を!!それは最悪最低極まりない奴ねぇ。さあ、下衆はここで私たちに倒されなさい!!」


「そうかぁ~忌々しい女よ!我が同胞を育てれば命は助けてやったものを。早死にしたいならそうなりなぁっ!!」




 現実、実際、実体として、そこにいるサキュバスは女の体型と容姿に角が生えたモンスター。顔に皺があり、爛れていて黒い。


 そしてサキュバスは羽を広げた。

「せっかく私の体に栄養を与える人間にしてあげたのに、それを拒むんだったら死の道しかないわぁよー!」

と髪を乱しながら高速でこちらに飛び込んできた。


「くるぞぉお~!!」


「ぉわあ!!」

 丸い出目と歯を剥き出してバサリバサリと飛んでくるサキュバスは不気味に光り、この世のものと思えず恐怖で声が出てしまった。体は骨が浮き出て肉が垂れ落ちている。


「ぉっ」


「スッ・・」

 俺たちの前に現れたデメグラムさん、二つのハルバートを胸の前で構える。


「キンキン!キンッ!」


「サンッ!キンッ!」


 歪な形の銛で攻撃するサキュバスは上空から突く、受ける一方のデメグラム。




 二人の周りではインキュバスが翼を広げる。人間の体型と醜い不細工な作りの顔、ビール腹、体からホルモンの強烈な臭いが漂う。


「うへぇっ、臭い!」


「かぐなぁ~!また夢の中に落ちるぞぉ~!」

 ゲイルがハーゼリアの隣に立つ。


「ウハッウハッ、ウハハハァ~!」


「シュンシュンシュン!」

「キン、キィン、シュッ、キィン、ザッ!」


 腕を伸ばし鉄の爪で攻撃するインキュバス、その手が爪痕を残して伸縮する。


「早いな、目で追うのがやっとだ」


「射よ、突き刺す炎矢!」

「ファイヤーボウ!!」


 インキュバスが空へ逃げる。空を炎矢が追いかけるが部屋の天井に突き刺さって外れてしまった。


「ちいっ!」

 空に向かってゲイルは剣を投げるわけにもいかず歯ぎしりする、見ているだけで歯痒い。




「ふははははっ!」

 とにかくヴァンパイアは、かぶりついてくる。血が不足していて顔が真っ青だ。


「うぐっ、つぅ」


「きゃあああぁ~!!」

 リコルチェさんが血を吸われた。


「んん~っ、香しい」

 済まし顔をして牙を立てる、ヴァンパイアは見る見る血色が良くなってきた。


「おのれぇえええ!・・」

「キリッ!ブンッ!」

 斬りつけるヴィンスさん、


 マントを翻してニヤッと笑ったかと思うと、ヴァンパイアは姿を消した。


「さあ、始めようかギルド冒険者諸君」

 鉄のように固い体、筋が張り筋肉が浮き出る。直立し、左手でマントをバサリと胸に寄せて広げる。姿勢を変えただけで一見何の変化もないヴァンパイア。

 だがよく見ると次の瞬間、剣を持って機を伺っていた!


「このヴァンパイアソードは血を吸い、肉を喰らう。私は男たちの血は好かんから、この剣にでも吸わせるとしよう。女たちは私が血を吸い尽くしてくれよう。続く冒険者の分も含めて」


 リコルチェさんが顔を真っ青にして倒れていた。ぐったりしているリコルチェさんに、カタリナは屈んでマドレヒーリングを唱えた。


「キィン!ガシッ!キンッ!ガッ!ギギギギギ!!」


 剣を振るうヴァンパイア、受けるヴィンス。


「射よ、突き刺す炎矢!」

「ファイヤーボウ!!」


 ヴァンパイアに炎矢を放つモニカさん。その矢がヴァンパイアに刺さる瞬間、退くヴァンパイア、ヴァンパイアとヴィンスさんの間を抜ける矢は奥のハーゼリアさんの方へ飛んでいく。


「!!」

 ハーゼリアさんがしゃがむと真上を通り炎矢は奥の壁に刺さった。壁はレンガか石の作りなので燃えず、火魔術はこちらも被害を受けるのであまりいいとは言えない。


 俺も加勢する。ヴィンスさんと距離をとり、ダッシュ・一刀・斬撃を放つ。ファーストステップも織り交ぜ回避するが攻撃は全く当たらない。

 ヴァンパイアは動きが早く力強い、俺とは体術で格が違うのを見て悟った。


 ヴィンスさんは剣を振り下ろすフリをして戻しダブルキルで斬る。俺は、ヴァンパイアの背後から攻撃する。モニカさんのファイヤーボウも横から入り、三巴の攻撃で集中が反れたかヴィンスさんのダブルキルの一斬目がヴァンパイアの腕に入る。だがダブルキル二斬目は回避された。

 俺の攻撃とモニカさんのファイヤーボウは、剣で受けられた。


 マジか、こんなに早く適応するなんて。しかも攻撃を喰らったヴァンパイアは何事もなかったのように立っている。


「斬られたのだから、声くらい出てもいいはず」


「それでどうした、お前たちは勝てる気にでもなったのか?」


「いいや、これからが正念場と山場だ!おりゃああ~!」




「ここでは巻き添えを喰らう、違う部屋に行くぞ!」


「あっちに移動しよう!」

 俺は大声で言った。


「ああ、そうしてくれ」

 ゲイルさんがそう答えた。デメグラムさんも聞こえたか?


 寝室にいた俺たちは部屋を出て少し大きい広場に出た、シルキーの屋敷と同じような造りに見える。広場は長方形でテーブルと椅子がいくつかあった。



「お前達の思う通りに動くと思うな!!」

 ヴァンパイアはこちらの方に来ない。


「リコルチェさん、一緒に来てください」

 カタリナが小さな声で言うと、


「私も行くけどすぐ戻るね、ハーゼリアの方回復するから」

 リコルチェも小さな声で返答した。


「分かりました」


 そうなると俺も話が早い。


「ちいっ!」

 するとヴァンパイアがこちらの方に移動した、どうやら女達をごちそうと思っているらしい。

 俺はヴィンスさんの後方で戦う、アッキーはカタリナを守るよう盾になって部屋と部屋の間に立つ。


「タッタッ、タッ」

 そうしてヴァンパイアが移動した後、リコルチェさんが急いであちらの部屋に戻っていった。


「なに、そっちに戻るのか!一人逃がしてしまうとは!」


「さあ、続きといこう」


「まぁ、所詮は数の寄せ集めだ。すぐに片づける。はあっ!!」


「ガキンっ!!」


 剣を振るうヴァンパイア、相当重いのか「うっ」と声を出したヴィンスさんが中腰になってしゃがみ込んだ。


「もともとヴァインパイア族と人間では力量が違うからな」


 ダッシュ、俺は急いで攻撃を阻止する。


「!」

「バシッツ!!」


「シシシッ!!」

 危なかった。


 あと一秒遅れれば拳が胸に入っていた。防御してあれだけの反発力だ、相当力が強い。


「はぁはぁ」

 息が上がるヴィンスさん。俺への攻撃はヴィンスさんと押し合いに取られていたため疎かになった、なぜなら俺への攻撃は反れた。

 それでもヴァンパイアの拳は風を切る音がして、かなり強い感じがした。






 サキュバスがデメグラムのハルバートを銛で突く。二突き、三突き、その度に手元を回して銛を突く。

 するとデメグラムは銛の角度に四苦八苦する。


「はいっはい!さあっ、これでどう?」


「あまい!」


「キキキキィン!」


「キキキキン!キンキン!キン!キン!!」


「んっ、もう私に下りなさい。そうすれば逃がしてあげてもいいのよ」


「おえっ!乗るかそんな手に」


 ハルバートの防御の型を変化させ、多様な対応をしたデメグラム。全て防御で凌いだ。






「こんなに苦戦するとは思わなかったが、これ以上好きにはさせん」

 インキュバスは魔術を唱えた。


「散らん、星降る眠り!」

「スリーピングスター!!」


「耳を塞げ!!」

 ゲイルが怒鳴る。


 眠りに誘う幻術が発動、ハーゼリアが眠気で膝をつく、リコルチェは耳を閉じるのに間に合った。ゲイルも閉じて塞いだがデメグラムは体が揺れていた。ああ、これでは失敗。


「はあ~っ!」

 敵の間合い突破を試みるゲイル。


 間に合わない!サキュバスの銛がデメグラムの体を突き刺す。


「うぐぁあああっ!!」

 眠りかけていたデメグラムだが痛みで目が開いた。強制的な目を覚ます痛みに苦しむ。そして再び眠気が襲いこみ、その痛みすら忘れさせようとする。麻酔のかかった状態と同じで。


「デメグラムっ、くっそおお!」


「るらっ」

 空へ飛ぶサキュバス。


「飛べ、怒り怒る炎の球!」

「ファイアボール!!」

 天井付近からサキュバスがファイアボールを放つ!


「こんな狭い部屋でそんな魔術使って、自分たちまで焼く気?」


 ハーゼリアはリコルチェにメディシンをかけてもらい目を覚ます。


「リコルチェ、あなたはデメグラムを起こして!」


「分かったわ!」

 答えるリコルチェ。



 デメグラムは眠ったままでファイアボールが直撃した。ゲイルが少し被ったが間に合わない。

「くっ!」

「うがぁっ!!」

 戦士だからか魔術に弱いのか、それでも目が閉じる。サキュバスの臭いの影響か。


「くっそおおおお!!」

 消そうとゲイルがデメグラムの頭を叩くが、そこを狙うサキュバス、


「グスッ、グシッ!」

 ゲイルの体に銛の突き刺さる。


 リコルチェが急いで回復に向かう、


「ゲハハァ!ここは通さんぞ!」

 インキュバスが立ちはだかる。


「早く行かないと!」

 リコルチェがスタッフを振り回すが、インキュバスとの勝負は見えている。


「撃て、詰められた鉄砲水!」

「ウォーターガン!!」


 水鉄砲がインキュバスを抜け、デメグラムの体に当たった。ダメージは多少受けるかもしれないが火を消し火傷の痛みを抑えた。


「よくも貴様は倒す!!」

 ギルド・マッドを率いるリーダーのゲイルは仲間が傷つけられていく姿を見て怒った。

 サキュバスは銛を突き出す。そこに、


「光球斬り!!」

 その描いた球のような振りは、半分を斬りとし半分を構えとして光球を成す。


「シュッ、ラン!!」


「ぎゃあっああ!!」

 サキュバスの翼を斬りつけて、片方をたたっ斬った。


「どうだ?俺が空を仰ぐよう天に向かって斬りの練習をしていた時、偶然できたオリジナルのスキル技だ。見たことないだろう、これは上にいる敵に向かって放つのが有効な技」




 インキュバスは鉄の爪でローブごとリコルチェの体を切り裂いた。ローブに三か所斬れ肌が見え隠れする。

「ふふっ!いいなぁその肌」


「雷は使えないし、炎しかないか」

 ハーゼリアはリコルチェに加勢し、新しいロッドを振ってインキュバスに攻撃する。


「うざいな、こいつら」




「空を飛ぶインキュバスにわざと追い詰められたふりをして」

とリコルチェに耳打ちするハーゼリア。


「リコルチェ、足踏みで合図したら伏せてね。それまではとにかくスタッフで叩きまくって」

 そして壁際に追い詰められたハーゼリアはその下をスライディングして部屋の壁際、上空に追い込んだ状態でロッドを振る!


「そんな武器で両側から回ったところで当たらんぞ」


 爪でロッドを弾き飛ばそうとするインキュバス。


「コッ!」

 ハーゼリアは、つま先を立て下ろし合図を送る。


「吹き飛べ、爆裂の熱!」」

「バースト!!」


「リコルチェ!」


「ドフォオオオオオオッ!!」


 自分たちも巻きこまれるがそれも覚悟していた。


「バシッバシッ!」

「シャンガガッシャンガガッ!!」 

 インキュバスが地面に落ちた所で魔法使いとヒーラーで総攻撃するが起き上がったインキュバス。速攻で倒すのは無理。


「ダメージ量が足りないっ、魔術で行くしか!」




「シュタッ、カカカカッ!フォンフォン!!」

 足を俊敏に動かし、力とスピードが乗りに乗っているヴァンパイア。


「俺が何故こんなに動けるか分かるか?それはずっと血を吸わずここにいたからだ。下のフロアには人がいた。俺はその血を吸って生命エネルギーに変えていたんだがそれが切れてしまった。

 それで俺は死の境にいたわけだ。でお前達が来た、これはチャンス!本当は生かして血をチュウチュウしたいわけなんだが、お前たちは抵抗する」


「俺たちはダンジョンマスターを倒すんだ!」

 俺はリスク承知で宣言した。異世界人や他の事もばれる可能性があるという。


「そうか、なら殺そう。どうやって知ったかは知らないが」


「ダンジョンマスターか、ライムあとで話を聞かせてもらおう!!」

 面白そうな顔をしているヴィンスさん。血が騒ぐって奴か。


 力任せに剣を振るヴァンパイア、しかしヴィンスさんは受け流すだけでやっとである。


「集え、身にまとう風!」

「ウインドサークル!!」


 ヴィンスさんの体を風が包む。


「風かこれは?」


 俺は出る幕がない、下手に手を出すと即死するだろう。出来る事は石を投げること位だが、足元が悪いとヴィンスさんも不利になる。何しろヴァンパイアは空を飛ぶ。結局の所、見守るしかない。


 モニカさんは続けてサンダーアークを詠唱、話し合わなくても俺は理解した。俺はヴァンパイアに向かった、だが距離をとる、電狐が走り剣に雷弧を描いた。


 くそっ、これに気づいたか。ヴァンパイアはこちらを凝視した。

 しかし、ヴァンパイアの注意と力は削いだ。俺は剣をしっかりと持ち構えた。そしてファーストステップで俊敏に動く。


「カッ!」

「パシィ―――ッ!」

「うぐっ、おおおおおおっ!」


 よかった一度の斬り合いでやられなかった。ヴァンパイアの剣へは触れたようだ。こちらは動力源で絶縁しているからダメージがない。

 だが敵さんは肉体の中を電撃が走った。肉体のほとんど、また血液は水分で感電している。ヴァンパイアは、全身の筋肉が強張り、血管が締め付けられて浮き出た!


 自分をよく見るとマントが切れていた。そして腕も少し切れ血が垂れている。電撃か、さっきのやり取りで切れたのか。切り口が綺麗な事からヴァンパイアの剣だと思う、俺は太刀筋すら見えない剣に恐怖を覚えた。

 変色・偏食ありの三匹と戦うゲイル&ライム一行。各部屋で戦う、寝室のベッドは上に幕が垂れたもの。

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