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アンデッドでバッドエンド? 3

 瞬く間に敵を倒す少年エルフは何とギルド・エクセアの一人。その後、偶然ヴィンスベルタのギルドと出会い、行動を共にする事に。

「来た!」

「射よ、突き刺す炎矢!」

「ファイヤーボウ!!」


 ハーゼリアがロッドから放った炎の矢はゴーストの胸に刺さり、そこから燃え広がる。

 ただ倒すには火力不足。

 胸の部分を犠牲にして逃げるゴーストの体を、ヴィンスさんは走って縦に斬りつけた。

 すると体が縦に真っ二つに切れる。

 さらにヴィンスさんは続けて横に斬り、ゴーストは四等分に裂ける。ゴーストは炎から逃げきれず燃え広がり消えていった。


「魔術攻撃直後は、剣術の攻撃も効果があるようだな」


「これだからヴィンスは侮れないわ」

 ハーゼリアは推察より感性で動くヴィンスさんの力量を買っている。


「私の新しいロッドでも逃げられそうになるなんて、かなり素早いモンスターが出てきたようね」


 新しいということは命中率が高く詠唱時間が短くて済むロッドを使っている事になる。


 辺りが暗くなるにつれモンスターが高頻度で出現した。

 アンデッドやグールはヒーラーが少し回復させてダメージ与えれば、再生力も弱まり攻撃で楽勝だがゴーストはそうはいかない。

 ゴーストは魔法使いかヒーラーが魔術を使い、その力が作用している時に攻撃しないとダメージを与えられない。正確に言うと魔術の効力が残る間。


 そして、ちょうどゴースを倒した時だった。またゴーストが出現したのかと思ったら青い火が家々が並ぶ道から外れた木の下に浮かんでいた。


「あれは何だ!?皆見ろ!」


「あれっ、魔術の類じゃない?」


「モンスターとかかな?」


「あれは火の玉です」

 カタリナがメニューを開く前に迂闊に喋ってしまった。

 おいカタリナ、今の発言はなんだ?おしゃべりカタリナでは済まされないんだぞ。


「!」

 カタリナの方を見て何か気づいたヴィンスさん。


 ヤバイ、異世界人だとバレたか・・?

 俺たちはヴィンスさん達の視線と動作に細心の注意を払った。また仲間にも。俺たちの動揺で動作や仕草に不自然さが出たりするから。

 カタリナは一向に気にしていないが、それで白を切り通せるか。


 バレたら、

『この人たちは異世界人です』

 と言って俺たちを身代わりにしよう、なんてそうはいかない。


 俺とモニカさんのひじ打ちを受けたカタリナは、

「う、あっ!」

 前のめりに倒れていた。


 ヴィンスさんたちは倒れているカタリナを見た。何でもないとカタリナは顔を振る。


「やはり、そうか」

とデメグラムさんがメニューを見て呟いた。


「ほら、これだ!!あれはウィルオーウィスプというやつだ」


 ≪ウィルオーウィスプ 火の玉、モンスター?≫


「解釈の違いかしら意味がわからない」


「ハーゼリア、姿が見えなくなる」

 リコルチェが立ち止まるハーゼリアに言う。


「ちょっとみて森の中に入っていくわよ!」

 モニカさん、


「ついていって大丈夫か?」

 警戒するヴィンス。


「どうしますか?」

 俺は判断を仰いだ。


「正体だけでも調べておくか、松明を出してくれ!」

 ゲイルさんが先導しハーゼリアが灯した松明を持つ。このフロアは木があり、枝を折って布を巻き防水ペイントを塗ればお手製松明出来上がりって簡単に作れる。


「私たちも行きましょう!」


「おお」


「うん」


 俺たちはヴィンスさんの後ろをついていった。ウィルオーウィスプ、鬼火だか火の玉だか知れないが無関係なものはダンジョンで出現しないと思う。それが罠であっても。


 そして火の玉の後をつけて行った場所には、大きな屋敷があった。それはお化け屋敷のように古びていて、ウィルオーウィスプはその扉の中に透き通るように入っていく。


「おいどうするんだ?まだ行くのかゲイル?」

 デメグラムが苛立って尋ねる。


「ダンジョンに、こんな大きい家を普通建てるか?」


「建てない!」

 ヴィンスさんとデメグラムさんが口を揃えて言う。


「ハーゼリア、幻術の恐れはないか?」


「魔力そのものは屋敷全体からは感じられない、ただあの扉には魔力の働きがありそう」


「よく分かるな。お前、まさか寝返ったという事はないだろうな?」


「精霊よ、精霊の動きで分かるの」


「なーんだそうだったか、よし行こうじゃないか」

 ゲイルさんはあまり知識がなかった。


 ヴィンスさんの仲間たちは俺たちとは違い、この世界の住人である。だから経験も知識も遥かに俺たちより上である。その両方の差があるから、俺たちはここまで死ななかった。


「アッキー調子はどうだ?気持ち悪くないか」


「なんとか大丈夫」


「俺は悪い、悪寒がする」


「私なんて幽霊は大丈夫なんですけど、全てモンスターで困ります」


 カタリナはヒーラーだからな。対幽霊としてもその職業があるんだ。


「カタリナ、前で補助お願いね」


「はい」


 俺たちは後方でヴィンスさんを見守る。


 ヴィンスさんがゆっくりと扉を開いた。



 中はどう・・・


「パシパシピシパシィッ・・」

 扉を開けると緑色の雷が入り乱れるように落ちた。それを後方回避のヴィンス、デメグラム、ゲイル。


「私たちの生活を妨げるものは殺す!!」


 声が聞こえ扉が閉まる。白いドレスを纏った三人の女が扉の前に立っている。こちらを睨んで。


 女幽霊は肌は白と肌色の中間、髪は長くシルクドレスのような光沢と肌触りの有りそうな服、足にはガラスのような透明なサンダルを履いている。それぞれが宝飾品を身に着け、三体それぞれ首飾り、指輪、イヤリングを身につけている、それぞれの顔で見分けるよりそちらの方が早い。


 ≪シルキー三姉妹 このフロアの住人またフロアボス≫


 そして突然、歩いて地面にいる俺たちの方へ来た!


 そして蝋人形のように真っ白な女たちが手を空にのばし、仰向けやうつ伏せになる姿勢で飛び回った。

 空を旋回する三体のうち一体がカタリナの前に下りた。何が起こったのか、カタリナが口から赤いものを吐き出す。位置を変えてみるとカタリナは白くて細い血管のような触手が刺ささっている。

 それで何で吐血するんだ!?


「シュパパパパ!!」

 首飾りを下げたシルキーがナイフを高速に繰り出す、それを体の向きを変えてかわすゲイル。松明を左手に持ち右手に剣を携え相対する。


「キンキンキン!キキキキィーン!!」

 続けて防御、左右に剣を傾け受けるだけで精一杯。


「キィイイン!!」

「キィンッ!!」

「キィイイン!!」

「キリンッ!!」


 指輪をつけたシルキーが王剣を振り下ろす。その一振りをヴィンスとデメグラムは交互に剣と斧で受ける。シルキーは攻撃が素早く、また空は暗いので反撃のチャンスが作れない。

 王剣はメニューの履歴より判明。特殊な剣か、強い剣だと思われる。


 首飾りが宙でとまった。

「・・?」


「キャァアアアアアアアアアア!!」


 悲鳴か?ヴィンスさんの方から聞こえてきた。


(‐‐‐?)

 あれ、なんだ?急に音がしなくなったぞ。目は見え動きも分かるが音だけ聞こえない。松明を持つゲイルさんとリコルチェさんが何やら話しているが口の動きだけではよく分からない。


(どうなっているんだ!?)


 わかった状態異常か、耳が聞こえない。俺の体は大丈夫、耳も付いている。鼓膜が破れのたか一時的に聴覚が遮断された。

 敵はゲイルさん、ヴィンスさんとデメグラムさん、カタリナとリコルチェさんの方にそれぞれいる。まだ他にいるかもしれないから気をつけよう。


(これでは皆と意思疎通がとれない)

 ゲイルさんの口が動いているが読み取れず。ゲイルさんの側にいるハーゼリアさんが魔術を詠唱するが声が出ないので険しい顔をした。


 アッキーはカタリナの近くで斧を振り回し、イヤリングの女を追い払おうとしている。

 そこにモニカさんがスティックを翳し魔術を詠唱する、だが発動しない。声が出ないと魔術が使えない事が分かった。


 ヴィンスさんがゲイルさんの方へ移動した。二人は隣り合わせで、劇の殺陣のように剣を振る。

 また早さに対抗する手段として剣で振る回数を増やす。耳がふさがれているのに上手く立ちまわる。


 おおっとぉ、見とれていたら殺される!!俺はアッキーに加勢した。ダッシュ一刀、イヤリングをつけたシルキーに剣を振る。


(ザッツ!)

(よし!)

 手ごたえがあった。切った肌からは血が一滴も流れず皮膚はみるみる溶けるようにくっついていく、これはグール並みの再生能力。

 そのシルキーを一時アッキーにまかせ、俺は二人を非難させた。

 ハーゼリアさんはアッキーの足元に松明を置いたようだ。


 お?カタリナの傷が治っている。リコルチェさんがポーションを使ったのか?これではアイテムがなくなってしまう。魔術なら光りで俺の目でも分かるはず。


 デメグラムさんの方が見えないがアッキーとデメグラムさんなら弱いアッキーの方へいくべきだ。


「吹き飛べ、爆裂の熱!」

「バースト!!」


「うわぁっ!!」

 ハーゼリアさんの方から爆風がきた。その熱風は俺たちの悪寒すら吹き飛ばした。

 ただ余りにも強い風は、松明の火まで吹き飛ばしてしまった。

 音が聞こえない分、弱く見えるが、これだけ髪がくちゃくちゃになった。


 空のシルキーも風が相手となると安定性が圧倒的に悪いらしい。風に抵抗しようとすればするほどその爆風をまともに受けイヤリングのシルキーが飛ばされた。爆風前後に、周囲の木々に火が燃え移り辺りが燃えた木々に照らされる。


「まともに受けた」


 あちらはどうかと見ると、ヴィンスさんとゲイルさんは二人隣り合わせでしゃがんでいる。


「ハァアアアアッツ!!」

「しっく、せいっ!!」


 その爆風で首飾りのシルキーは地面に叩きつけられた。それを逃さない手はない、着地を狙って攻撃するゲイルとヴィンス。


「キヤァ!ヒァアアアア!!」


 シルキーの体が抉れるように切れる。さらに右肩から腕が斬り落とされた。

 しかし、まだ倒れない。その手を拾って空高く浮き上がっていくシルキー。


「空は矢の的よ!」

「射よ、突き刺す炎矢!!」

「ファイヤーボウ!!」


 ハーゼリアさんが炎矢を放つ。花火の打ち上がりではないが空に上った炎の矢はシルキーに真っ直ぐ向かう。


 火は、そのシルクのドレスに燃え移りシルキーを焼いた。だが爪でシルクのドレスを断ち切り捨てて裸体になったシルキー。


 切られた腕が上空からシルキーの手元に落ちた。それを掴んだシルキーは肩に斬られた腕を当てる。すると体に溶けるようにくっ付いた。


 俺と戦っていたイヤリングのシルキーは空で体勢を整え戻ってきた。


 シルクのドレスが燃えながら落ちてくる。俺の位置からよく見える。


 気づいたら、いつの間にか爆風で無音だったのが有音に戻っている!


「カシンッ!」

「カンッ!」


「カシンッ!」

「カンッ!」

 王剣で乱斬りする指輪のシルキーに斧を左右に二本持ち、受けと攻撃をそれぞれ繰り出すデメグラム。


「カンッ!カカカカン!!カン!カン!カンッ!パザッ!!」

 構えを変形させながら、手を巧みに動かし数で勝るデメグラムの一撃が指輪のシルキーの胸の辺りを砕いた。


「おされているな、あのシルキー」

 ゲイルはデメグラムに注意を払うが、その心配はなくなった。


「あいつは調子に乗らせると厄介だからな。初めて戦うシルキーにはデメグラムの好きな攻撃と嫌いな攻撃の区別はつかないだろう」



「はあっ!」

 俺は剣を素早く振り下ろしイヤリングのシルキーを斬りつけた。耳が聞こえる分、相手の位置が掴みやすい。


「カタリナ、目を潰さないようにライティングを空に頼む!」


「分かりました」


「照らせ、月の光!」

「ライティング!!」


 黄色い光が上空を照らす、俺は手を目に当て照度を落とし目を細めて凝らした。ドレスが燃えた裸体のシルキーがこちらに来ていたのが見えた。


「上!!」

 俺は叫んだ。


「まだ生きてやがる」


 裸体のシルキーがこちらにナイフを投げつけた、どこに隠し持っているのか?上空から地面にいる二人に飛んでいく。


「キィン!」

「シャパキッ!!」


 剣を当てナイフを防ぐ、上空だけ見ていられない。



「倒せねえぞゲイル!!」

「わかってるって」


「リコルチェさん、イヤリングのシルキーにヒーリングをかけて頂けますか!?」


「いいですけど回復しますよ」


「アッキー、一斉攻撃だ!確実にダメージ与えるぞ!!」

「一緒にだね」



「ヒーリング!!」

 リコルチェがヒーリングを唱えた。


 俺とアッキーは攻撃した。光が眩しかったからかシルキーは攻撃が上手くかわせない。攻撃は寸前の所で流したシルキー、傷は軽く、すぐに逃げていく。


「おかしい、でもあれは!」

 回復させて攻撃したのに傷がなくなっている。その時、俺はシルキーがイヤリングを遠ざけていることに気づいた。


「私も傷が消えた理由がわかったわ!」

 モニカさんも気付いた。周辺が燃えた木で明るくなったので敵のおかしな行動を見抜いたのだろう。


「再生の要はアクセサリー」

 アッキーが難しい言葉を呟いた。

 何度攻撃してダメージを与えても立ち上がるシルキー、その秘密とは?

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