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第22話 ダンジョン8階層 アンデッドでバッドエンド?

 魔力壁のような空の境界に地面をぶつけゴールを確認、6本木が立つ場所で謎を解く。


「何、それはドラゴン族にやってもらわなきゃできない事なの?それで攻略不可能にしてあるんだとしたら・・」


「絶対クリアできないゲームと同じだな」


「そうね、だからエルフとドラゴン族は仲間に出来ないようになっているのかも」


「アッキーはどう思う?」


「僕、ゲームはいつもネットで調べてたから」


「攻略サイトだな、裏ワザとかも載っているし」


「ライムさん!これ十二文字ではなく一と二を選んだらどうでしょうか?」


「んんんんんーっ、すごいな」

 晴れやかなカタリナの表情に俺は表情を曇らせた。

 ドラゴングループだけに正に『謎解き竜王』と言えるかもしれない。だがそれなら残念だ、将棋の世界ではない。ボート見つけの名人に竜王もつけばお前は最強だろうが竜王は、明らかにこの世界では俺たちの敵でモンスター。

 もし仮に戦うなら今の俺たちでは竜王に負けるから、どうなるんだ、えっとお前の勝ちだ!

 敗北者は勝利者の言うことを聞くのが決まりだな。


「あ、あってると思うぞカタリナ、で具体的に何をすればいいんだ?」


「ライムさんとアッキーさんがⅠ番とⅡ番の大木を触ればいいんです」

 木を指すカタリナ。


「触ればいいんだな」


 例え飛ばされたとしても許そう。俺たちは負け犬だ、きゃわ~ん。


「触る」

 アッキーもきゃわ~んだ。


「行くかアッキー」


「うん」


 俺とアッキーは神木のような大木に手をつけた。

 すると六本の木で囲まれた地の頭上から黄色い光がおりてきた。


「上から光がおりてくるぞ」


 俺たちは条件反射で跳んで結界から外に出てしまった。


「それを待っていたのかのように、迷いの森の木々の手が俺たちに枝で平手打ちする。


「ガガッ、カッ!」

「バキパキパキッ!」


「きゃぁあっ!!」

「くっ!!」

「ううぐぐ!!」


 装備品である程度のダメージは防いだものの、枝はかなり痛かった。モニカさんの足首を掴む手が見えたかと思ったら2m位ズズッと引っ張っていく!


「ダッツ!」

「ザカッ!!」


 アッキーは大柄だが素早く対応。もし振り下ろすタイミングが遅かったらモニカさんも巻き込んで斬っていた。断ちきった枝の前でモニカさんが横たわっている。


 黄色い光は何なのか?

 俺は毟った木の枝を結界に投げ入れた。6本の大木の手前で弾かれる。

 そうだこの木はモンスターだった。そこで食料を投げることに。

 すると光に吸い込まれるように食料は消えていった、そして光も消えてゆく。

 その大木で囲まれた結界の中には何も異変はなかった。


「あれは移動の魔法陣で良さそう」


「警戒しすぎたか」



 木の根っこが地から這い出す!

「ビシュッ、ビシュッ!!」


「ぐぐぐぐぐ・・」

 腕を掴まれるアッキー。

「ブチッ!ブチッ!ブチブチブチッ!!」

 うちの凄腕冒険者を舐めてもらっちゃ困る。しっかりあの体周りを覆えなかったようだな。


 俺たちは、走った。六本の大木の中に!

 そして恐る恐る俺とアッキーはタッチした。


「これが罠かすら判断がつかない!」


「エリスさんに頼り切っていたからね!」


「罠ではない方に!」

 祈って跳びこむ。




「・・・」


「・・」


「!」


「ここはどこだ」


「どこですかね?」


 そこは四本の支柱で囲まれた建物の中だった。通路もあって俺たちはその建物の中に立っている。


「ワープしたのか」


「みたいね」


 あれから時間は経ってなさそうだ。


「この神殿、誰が立てたんでしょう。神様ではないですか?」


「神木ならまだしも、神殿もか?」

 カタリナ、ダンジョンに神の力を働かせるのは不釣り合いだと思う。


「外に出てみましょう」


「はい」


「うん」






 第22話 8階層 アンデッドでバッドエンド?



 建物から外に出ると、ここはゴーストタウン??のようなだーれもいない街であった。


「家か。一応、中に人がいるか見てみよう」


「危なくない?」


「ライムさん気を付けて下さい」


「アッキー、お前も前だ」


「ぼ、ぼくも?」


「手伝ってくれよ~」

 お前の苦手なものは水だろ、俺はアッキーの手を取る。


「うん」


 以前は人が住んでいた生活感がある家の中には、テーブルや棚、椅子が置いてあった。テーブルの上には液体が入った瓶が四本ある。


「なあ、あの瓶の中のもの飲んでみないか?」

 冗談で聞いてみた。


「何か入ってますか?」

とカタリナが言うもんだから、


 俺は液体の匂いを嗅いだ。

”くんくん”

と瓶の臭いを嗅ぐと生温かいタマゴセーキのような臭いがした。ツーンと鼻をさすアンモニア臭がするかなと想像したが思ったより臭くない。

 誰か来たのか?

 瓶の蓋を外し、臭いを嗅いだが無臭である。空気が外に抜けたのは誰かが蓋を開けた証拠だ。他のボトルを嗅ぐとと苦い臭いがしたり、頭が一瞬グラっときた瓶があった。

 これはヤバイやつだ、即死する可能性もある。

 俺は、すぐに臭いを嗅ぐのを止めた。

 試飲はしないがアイテムとして使えないか検討する。中身が不明なので回収しない事にした。


「ここは以前に人が住んでいたのかしら?」


「相当古いわよ。ずっと使われていないんだと思うわ」

 モニカさんの言う通り、ここは開かずのダンジョン。

 しかし、数十年前は開いていたから、人間かモンスターが住んでいたのかもしれない。


「みんな、人だぞ!」

 俺は家の陰で歩いている人を見つけた。その横をゆっくりと動く人影。髪はボサボサで服は爛れていた。


「どこにいますか!?」


「あそこ」

 アッキーが指をさす、そこに一人立って、こちらの方へ歩いてきた。顔は髪に隠れよく見えない。


「そこの木陰にも誰かいるわよ」

 また人影だ。


 その人影からは人でない死臭が漂う!俺は腐敗した臭いで吐き気がした。


「逃げろ!!あいつらは人じゃない!!」

 俺はすぐに呼びかけ指示を出すが、逃げた方向からも死臭が漂う。


 敵がいるとわかった今なら思う、下手に家の中に入ったら追い詰められると。ここは街の通路を走る方が無難なはずだ。戻る道は諦めてフロアを進む道に走ろうとした矢先、行く手を塞ぐように別の死臭が漂う人影が出現した。


 立ち止まってはいけない。それが俺の冒険・戦闘の教訓だ。

 だが動けば動くほど敵が増える状況で、いかに行動すればいいのか?


「みんな~どうする!?」


「戦って敵の情報を得るということも出来るわよ」


「逃げたくても、逃げきれません」


「恐っ」

 アッキー、お前はお化けも苦手なのか。


「戦って負けそうになったら逃げる。幸いここまで俺たちはあまり体力を使っていない。ここは初めての階層だ、どの位で倒せるかで一度戦おう!」

 敵の強さを測る。そこから自分たちの実力を測ろう。


「でも、臭くて息ができません」

とローブの袖でカタリナが鼻を抑える。


「鼻での呼吸は止めて戦う!息は離れた時吸うんだ!」

 臭いを嗅ぐと頭にクラッとくる。この死臭は意識にも訴えてくるから鼻呼吸はしない。


「はいっ!」


 それから戦闘が始まった。


「はあっ!」

「ヒュッ!タッタッ、ザシュッ!」


 最初から一刀、ファーストステップ、斜め斬撃とスキルを繰り出し敵に攻撃の隙なんて与えない。


「射よ、突き刺す炎矢!」

「ファイヤーボウ!!」


「ボファアッ!!・・パチパチパチ」


「ウワォアアア!!・・」

 やはり死人には火魔術が有効である。


 メニューを確認、人影はやはりモンスターかつ死人。これは街の住人の遺体なのか?


 ≪アンデッド モンスターと化した死人≫


「スラッ!」

「ザシィ!」


「うわっ!」

 アンデッドを肩から下に斬りつけると、黒い物が飛沫した。アッキーの顔が引きつる。


「ブンッ!」

「バシッ!」

 今度は斧がアンデッドの体に食い込み外れなくなるアッキー。


「ズズ」

 それでも動くアンデットに退いて間合いをとるアッキー。


「ブンッ、ブォオー」

「ガッ、ガスッ!」

 振落、振回がアンデッドに決まる、がその姿は敵ながら見るも無惨。体を抉るように死した体が裂けている。見ているだけで痛みが走る。惨忍ではない優しいアッキーは攻撃を臆してしまう。


「ウワァァァ!!」

「ヒャアアワァ!!」

 この世のものではない叫び声を上げるアンデッド。


「ガスッ!」

「うっ!」

 その声を聞いて恐怖する、前後からくるアンデッドの攻撃に対応するのが遅れた。


「開け、いやしの輪!」

「ヒーリング!!」


 死に至るダメージを喰らえば、カタリナがすぐにヒーリングを唱えてくれる。ダメージもこれまでより大きい。



「一体、何回起き上がってくるんだ。いい加減倒れてくれ、このっおりゃーっ!!」

 俺もアッキーもスキルを使い斬りつけたが倒れても起き上がり、襲い掛かる。全く攻撃が効いていないようだ。そして、いつの間にか斬り裂いた体がくっついている。


「ズバッ」


 倒したアンデッドの他にも、どこからかアンデッドが這い出てきた。


「もうMPがないからファイヤーボウ、ファイアボールすら無理だからー!」


「分かりました!」


 モニカは最近覚えたファイアウォールの魔術で六匹のアンデッドの体を焼き尽くした。敵は考えなしに襲いかかるので、うまく退治できたがこんなにうまくいくことは滅多にないだろう。


「カタリナはどのくらいMP残ってる?」


「えっと、半分位です」

 メニューを開き確認するカタリナ。



 体力も限界がきてるし、逃げ道も塞がれている。


「ああっ!」


「アッキー、自暴自棄になるなー!」

 破茶滅茶に攻撃するアッキー。


「わあぁ!があ!ぜぃっ!ふん!はぁはぁ」

「ドッ!ズ!ドスッ!ボコッ!」


「っっはっ!はぁはぁはぁ」

「ドサッ」


「疲れるだけだ、やめろアッキー!」


 俺たちは弱点さえ分かれば倒せると鼻をくくっていたのだが、肝心なMPが尽きているモニカさん。アイテムは、もう迷いの森で使い切った。ここは体力を温存し工夫して戦わなくてはいけない、まだ聖魔術は唱えられないカタリナは回復にまわそう。


 まわして?そうか!待てよ。


「俺がアンデッドを地面に倒す。カタリナは五匹のうち一匹に回復魔術を使ってほしい!」


「はい!?」


「アッキー足止め頼む、他四匹だ」


「う、うん!」


 俺はアンデッドの振り下ろす右手を右上から斬って攻撃を封じた。そして、すかさず懐に入り自分の左わきに剣を挟んで右足を引っ掛けて右手で敵の腹部目がけて拳を入れた。


「バスッ」

 アンデッドがすっ転ぶ。


 俺がアンデッドに走っていくのをみて詠唱を始めていたカタリナ。


「カタリナー!」

 カタリナが倒れたアンデッドに覆いかぶさるようにして魔術を唱える。


「開け、いやしの輪!」

「ヒーリング!!」

 アンデッドは黄色の光に包まれて、


「ウワアアアアーッ!!」

 アンデッドの体が本来の肉体を取り戻したのか?時間の経過とともに腐っていく。


「次だ!」


「は、ぃ」

 意識が呆然とするカタリナ、目をぱちくりさせ魔術を止めた。

「できない。彼らは元々人間。私は誰も傷つけたくない」


「何をやっているんだカタリナ!!」


「出来ない!!」


 これを傷つける行為だと思ったみたいだ。アンデッド系のモンスターには聖水と回復魔法がよく効くとゲームで知ったことがある。RPGゲームの世界からしばらく離れていたから、その知識を思い出すのに時間がかかった。

 しかし、それも失敗に終わる。


「全員、間合いをとって時間を作るんだ!!」


 考えろ、


 そもそも、なんで回復魔術でアンデッドにダメージを与える、倒すことができる?

 既に死せる屍の体に回復魔術を唱えたところで、肉が再生するなど逆の現象が起きるはずはない。

 蘇生魔術ならともかく、回復魔術ではそれは不可能。俺の知る限り、この世界には蘇生魔術はない。だから復活は出来ない。

 魔術の要素は相殺する、打ち消し合うものが存在する、水魔術に対しては火魔術を使う。

 闇魔術?(悪や死というべきか)の相反するものは回復魔術か?その効力を弱める魔術効果を持つと考えられる。俺はゲームでは、そう考えていた。


 魔術と魔術で打ち消し合うか・・。しかしMPも減ってきて回復魔術が使えるカタリナがあれでは。


 攻撃、防御、回避、アイテム、逃走、何か打ち出す手立てを探さないと、ここで死ぬ!


 剣を振るうが硬い体で完全に斬ること叶わず、モニカさんは魔術を唱える。しかし、その手からは魔術が発動しないで終わった。

 とうとうMPが完全に切れたようだ。

 モニカのスティックはアンデッドに手で受け止められ、その状態で対峙するがアンデッドの力は強い、振り上げる手がモニカの腕に当たる!


「あああっ!!」

 腕をおさえるモニカ。アンデッドの体は冷たく青く石のように固い。

 引きつるモニカは、それでも蹴りとばしてアンデッドを押し返した。

 倒れたがアンデッドだったがすぐ立ち上がる。


「はぁはぁっ、つふぅはぁ」

 カタリナはアンデッドの攻撃を受け止め、かわすだけ。そこから永遠に続く防御だけの一方的な戦闘。


「ぜぇぜぇ、くぅ~きゅー!」

 呼吸が口でなく喉で起こっている。


「ああっ!」


「ねぇ、いい加減にして!!」


「もうやめて!」


「おい!」


 みんな顔に覇気がなくなり、力のない目をしている。


「あぁ」

 カタリナの前に俺、モニカの前にアッキーが立って、様子をみるしかない。五匹がゆらゆらとこちらに歩いてきて一気にヨダレを垂らして襲い掛かってきた。

「駄目だ!喰われるー!!」


「噛みつくわよ!」


「やめて下さい!!」


「だめっ!!」


 挟みうちだ、単なる。それを逃れる手はない。

 なぜなら全員が既に疲弊しているのだから。


「ウワアッ!!」

「ウウウワッ!!」


 俺はリーダーなのに何もで き な   い・・。



 ―――――。


 疾風のごとく、

 横を            一匹

  風のように突っ切る白い光が  一匹

と蛇の体のように動き次々薙ぎ払い倒していく。


「スパッ!ザザッツッツッ!!」


「スパッ!ザザッ・サラサラッ・・」


 二匹のアンデッドが断ち切れていた。それは剣技なのか魔技なのか、その風の子が使っている剣の刀身は赤かった。それは、まるで刀を打っている最中のような色で灯っていた。

 子供は風の子(諺)通りです。

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