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第21話 ダンジョン7階層 迷いの森 対 カタリナ

 エリスの守護が終わる。守護なしでダンジョンに行ったライムたちはモンスター来襲の反動か、難なく階層を進んだ。

 松明を持ち真珠の階段をのぼる。

 何度も上ったから歩き方が様になってきた。ほーら落ちないぞっ。


「うわぁ~~~っ、おぉおぉおぉぅ!!」


 誰も助けてくれなかった、ツルリンステンと滑って下まで落ちていった。これまでの人生のように。どうやら冒険者の往来(ほとんどが俺達)で貝殻の上に水分が付き、滑りやすくなっていたのかもしれない。



 五階層に到着。

 カタリナと再びダンジョンに来て以前の出来事を思い出す。モンスターが倒されるのを悲しむカタリナ、今もアークピクシーの悲鳴が聞こえてきそう。

 苔と鱗を分けて歩こうと思ったが難しい。このフロアに来る度に()()()()()の配置(道)は変わっていた。


「模様を一度見てみましょう」

 フロートで一度、空にあがったモニカさんと俺。スタートからゴールまでを二折して進んではと模様から提案する、そして賛同を得た。


「さあ進もう!」


「いずれ倒さなくても誰か倒すんでしょうね」

 歩きながらモニカさんがアークピクシーの話を切り出した。カタリナも覚えているだろうがもう思い出したくない思い出。


「私は絶対に倒しません、それは悪のする事です」

 強情を張るカタリナ。


「カタリナ、モンスターは悪にしか見えない」

 良いモンスター、そんなのわからん奴がいるから倒してしまうのだ。


「それはちょっと」

 アッキーは否定的だった。


 正義のヒーロー気取ったって所詮倒すんだよ。冒険は戦隊ショーでは終わらない。


 途中、ポイズンフラワーの胞子に踊らされ、眠らされ時間を食う。

 即効倒すこと、コケを剥ぐこと、歩き回らないこと、と攻略法は既に見つかっている。

 魔力節約のためやらないが、この胞子の眠りならメディシンで覚ますこともできるからな。


「魔力は余裕があるか、カタリナ?」


「私は一日の魔力消費量を光球の位置で使い分けています岩壁(日の出)、真上、岩壁(日の入り)で、それぞれ三分の一ずつ使っています」


「カタリナはバロメーターみたいに使っているのね。私も参考にしてみるわ!そういえば詳しく聞いていなかったけどカタリナもゲームやっていたの!?」


「はい、お姉ちゃんを探すために始めました。それが結構面白くて、でも目的はいつも胸に抱いていました」


「ふ~ん、すぐにここに来たのかと思った」


「しばらくかかりました」


 荒らされたマンドラゴラがあった、これは自然に戻らない。


「やっぱり酷いな」


「植物はいつも生命感に溢れています。だから枯れているのを見ると私たちまで萎れます」

 ファイアボールを放てばいいってのも考えようだ。


「私もそんなあくどい事したくないわよ!」

 拗ねてもあなたの魔術です。


「うんうん」

 話ながら歩き、六階層へ続く扉まで来た。



 一から五階層まで攻略法が分かれば、ほとんど戦闘なしで進めた。

 これなら他のギルドが来る事も出来るだろう。



 六階層、トロル、ゴブリンたちがいるフロア。


「おおー、ここには冒険者がいるぞ!」

 少なくとも冒険者ギルドが三組以上いる。


「ここで休憩する?」


「それ、いいかも」


 一番危険なフロアで昼食と休憩をとる。五階層出口の周囲には他のギルドがいるから、モンスターも襲ってこない。




 オリージュースという赤色の液体を口に含んだ。


「おい、しぃ」


「これ美味しいわね」


「私は禍々しい色をしているから毒かと思いました」


「アッキーはどう思う?」


「・・・」

 モニカさん、わざと話をフリ過ぎです。この世界では注目を浴びるのを嫌うアッキーを、また引き籠らせた。




 【ダンジョン7階層 迷いの森 対 カタリナ】


 五回戦闘する。そして七階層に続く階段をのぼった。

 松明を灯して歩いて、しばらくすると階段の上の方から、生暖かい風が穏やかに流れてきた。


「良い風だな」


「そうね、冷たくない」


「これまはジメジメとしたフロアや雨で体温が奪われるフロアなど問題ばかりだったしな」


 六階層の出口が見える。見渡す限り木木木の森となっていた。ここは全体が木々で埋め尽くされている森林のフロアである。

 上空を見ると薄暗い靄がかかり、木から流れる穏やかな風が冷たくなるような気配がした。上空は光がある、この光球は相反する天気なので(上空は曇りで地上は晴れ)ダンジョンのマスターによって付けられているものだと思った。



「ここって外なの?」


「だろうな」


「どう思う?アッキー」


「僕はフロアの中だと思う。階段があるし」


「そうか」


 アッキーはエリスがいなくなって話すようになった。これまで話を振らなかったからか皆、気を使っている。アッキーは思いやりがあった。


「森林の中、どこから進む?」


「一番、木が少ない場所があそこに」


「急がば周れ。安易に入ると痛い目に合うぞ。木が倒れてきたらどうするんだ?」


「大丈夫だって、そんなのフロートで出ちゃうからさ!」


「私は回復できます」


「僕は木が倒れないよう抑えるよ」


「よし、決まっているのなら行こう」


 俺は笑いながら安心して前をいった。安心してついて行く皆の姿を見て、アッキーは一人動揺を隠しきれない。


「アッキーは力持ち!」


「アッキーは力持ち!」


 その掛け声で森の中をひたすら進む。アッキーは街の復興で大活躍した。凄腕冒険者アッキーは、言ってみれば新たな守護である。


「あのっ・・」

 アッキーは声を掛けそびれた。ライムたちはスタスタ歩いて行く。


「ここであきらめるようなら、誰も攻略できないんだろうけど誰かがドラゴンまで辿りついたんだろ」


「ライム、そんな話を誰から聞いたの?」


「テントさん」


「ドラゴンとエルフの話ね。でもそれ以後、何も見つかってないわよぉ」


「ツリーシードもそう。森の中を進んでいくと洞窟があったのを俺は耳にした」


「それも歴史に残ってるみたいだったけど」


「歴史?」


「何か色々変わったみたいよ。食べ物やギルド、生活や街の仕組みなんかも」


「街の図書館で何か資料は見つからなかった?」


「私が見たのは魔術書の発見とモンスターの攻略法、武器・アイテムの活用法と街の周辺の簡単な地図だけ。あとは目ぼしいものは何もなかった」


「僕も見た」

 ぼそりと言ったが、俺はアッキーの言葉を聞き逃さない。


「アッキー何を見たんだ!?」


「アッキー」


「アッキーさん」


「装丁も色もない、文字と絵だけの普通の本」


「それは関係ない本だな」


「一応、聞いてみましょう」


「以前の冒険者ギルドの職種は魔女、エルフ、ナイト、戦士、ドラゴン」


「魔女?」

 モニカが聞き返す。


「魔女が更新で魔法使いに変わったのね」


「流石アッキーさん!」


「アッキー、何で黙っていたのー!?」


「エリスさんも魔女になるから」


「!!」

 一同愕然とした。それならエリスは疑いもなく魔女である。魔女だから、俺たちをこの世界に連れてこれたのか?


「この本はある洞窟で見つかった遺跡の内容と書かれていた」

 アッキーが続きを話したが、それ以上は何も知らなかった。


「もう終わりか」


「うん」


「遺跡の内容?ということは誰かが記した。魔術が使える主が、そんな原始的な方法をすることはない。他の誰かか・」

と俺は推測した。


「で更新したわけね」

とモニカさんが推測を続ける。


「更新するのは・」


「魔女。つまりダンジョンマスターは魔女。それを隠そうとしたから」


「のようですね」


「あ!」


「どうした?」


「そういえば、最初ルーレイファワークの設定では魔法使いはできなかったような記憶があるかも。その前は魔女で呪いの魔法とかも全て使えるって設定だったわ」


「で呪いの魔法が増えるのか」


「そうよ。悪役みたいな感じね」


「魔女か・・」






「また同じ道に来たわよ。ここって、もしかして迷いの森?」

とモニカ。


「なんですか、迷いの森って?」

とカタリナ。


「ダンジョンや迷路にある永久脱出不可能なフロアの事よ」


「それやばいだろ!ほら、あそこ出口が閉じているぞ!」


「えっ、閉じてる」

とアッキー。


「走れ!通れる道を探すんだ!」

と俺は指示する。


 俺たちは走った。森を進めば道が分かれている。選んだ道に、新たな道が開かれることもある、すぐに通った道が塞がる事もある。森が一つの生物みたいにウネリ捩じり、ゾロゾロと移動し変形していく。


「気を付けて!」


「はい?」


「飛べ、怒り怒る炎の球!」

「ファイアボール!!」

 木が一本燃えた。その奥に道が続く。


「やったあ!!」

 ハイタッチでモニカさんが喜ぶ、よくやってくれました。


 しばらく燃えるのを待つ。五分位か。普通の木と違ってすぐに燃え尽きる木だ。きっと魔術か妖力みたいな力で出来ている木なのだろう。


 たまたま道が開けたが、どこへ通じているのかw

 これでは目印といったマーキングがあっても効果を成さないぞ。永遠にループ状態が続くこのフロアにいれば、いつか体力が尽きて敵に遭遇し全滅してしまう。


 このフロアの木々は高くなく、高低差はほとんどない。

 浮き上がっていて空に目印を立てるのはどうだろうか?狙撃される可能性も否定できないが。


「ライムは、また考えているの?」

 唐突にモニカさんが尋ねてきた。


「迷路だな」

 俺の思考を気づくとはモニカさんは抜け目がない。別におばさんと言っているわけではないぞ。


「これロジックメイズですよね」


「なんだそれは?」


「私はパズルゲームが好きでゲームのチームにいた時、攻略法にそういう名称をつけていたんです。

 思考の道筋を迷わす道、ロジックメイズ。つまり迷路ならスタートからゴールまでたどり着くから行けるものを塗りつぶしていくというもの」


「カタリナ、お前の頭は勉強以外でもいいんだな」


「お褒めの言葉をありがとう。敵は魔術が通じる、道も開く、空に上がれるかもしれない。全て試せばゴールは楽勝ですよ」


「出来るかなー?」


「いいえ、きっちり調べて実行すれば正解を導き出せます」


「それでゴール行けなかったらどうするんだよ?」


「そんなの簡単、ぶち破ればいいのよ」

 モニカさんも乗り気だ。


「ふふっ」

 モニカさんも才女だ。単純に道を作る、別に難しい事ではない。


 カタリナはダンジョンの地形を変える事に関しては寛容である。


「乗ろうその手に!!」

 俺は手を出した、次々と重なる手。全員で手を合わせ一致団結。

 一度やってみたかったんだ、これ。


 ポン!待てよ。

 それなら五階層のコケも地形ごと木端微塵に変えておけば模様が変わっても地形で丸わかりだ!


 天才カタリナを敵に回したようだな、ダンジョンマスター!


「カタリナ直伝ロジックメイズをやってみよう!モニカさん、フロートお願いします!」


「OK!」


「羽ばたかせ、風の翼!」

「フロート!!」

 モニカさんが詠唱した。


 空に上がる、


 木々の天辺まで上がっていく。


「えーっと、道はありそう」


「木々がかなり連なっているけど隙間があるな・」


「ごへぇ!!」


「何ですか!」

 浮き上がり木の天辺と並んだ時、


 見えない力によって上から叩きつけられた。空間ごと下に落とされてしまう俺たち。


「あっ!」


「うああっ!」


「きゃあっ!!」


「んううっ!!」


「羽ばたかせ、風の翼!」

「フロート!!」


 地面すれすれで詠唱し魔術を完成させた!発動により地面に落ちる衝撃をなくした。仮に頭から落ちていたら骨を折って死んでいたかも。


「はぁ~っ」

 へなへなと地面に手を付くモニカさん。


「はあはぁ」

 カタリナさんは地べたに座り込んでいる。


「なんだよ、あれ」

 死ぬのだけは勘弁してほしい。


「ぜぇ・」

 ぶつかる衝撃と痛みに堪えるため息を止めていたアッキー、呼吸が乱れる。


「木にファイアボール〇、空中×と。次は位置変えてやりましょう、みなさん!」


「カタリナ、これでは体がいくつあっても足りん!」

 張り切っているカタリナがそういったので俺たちはカタリナを制止した。モニカさんは目の前に立ち、俺は肩に手を置く。アッキーは土下座のような感じで頭を下げていた。

 7階層、パズラーカタリナがダンジョンを攻略する。心理描写をどうするか。

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