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限界の果て 2

 エリスの指示で六階層から一度引き返す。ダンジョン、外で異変を感じた。

 俺は一体何を考えていたのか?視界に入った光の正体はオーロラではなかった。

 あの煌びやかな光は、街の上空で飛ぶ無数のモスグリーンとボルフライの姿だった。銀色の月の光を反射して光る姿を見間違えていた。

 さらに、街を灯す赤い光は燃えさかる炎が見える。さっきの煙でオアシス湖も襲われているということになる。それならツリーシードの森も・・。


「お兄ちゃんたち襲われてないかな?」

 ユリアンは心配していた。 


「兄は三人いるんでしょう、大丈夫よー」




 サンサンドの街では、


「皆、街が襲われてるぞ!!」


「なんで街が襲われるんだ、冒険者がダンジョンに行ったせいか!?」


「ぁ、早く行かなきゃ!」


「どうしようー」 




 俺たちは街のすぐ近くまで来ていた。街まであと少し。街の外ではリコイルが塀を取り囲んでいる。おまけにペンタンが砂の中から顔を出し、俺たちを見ている。俺は目を疑った。最弱モンスターが地上に出るとは思わなかったので。しかも、俺たちが見ても地中に隠れようとしない。


「もうすぐだ!」


「早く、早く」

 兄を心配するユリアン、


 街の中、入り口付近に男がいる。


「冒険者よ!」

 モニカさんが言う冒険者は鎧を身に着け両刃斧を持っている背の高いがっしりとした男である。その背後にローブ姿の男?がいる、男のヒーラー?珍しい。

 街は燃える炎の台座がいくつも置かれ、住人の男たちは火をつけた松明を持ちモンスターの顔や体に当てて追い払っていた。


「エリスさん」


 エリス!


 アッキーの発した声が微かに聞こえた。しかも知った名前。アッキーが見る方向を探すと冒険者の傍らで炎の魔術でモンスターを追い払っている姿が目に入った。冒険者や街の男と一緒に戦っている、ここは故郷なのか俺の守護とは無関係で加勢していたw。


「やはりエリスは頼りになる大魔法使いだな」


 詠唱が早い、しかも次々と炎の球や炎の矢で敵を倒していくエリス。




 サンサンドの入口に到着、

 塀の下から灯の色が漏れている、サンドワームが土を掘り塀の下を潜った形跡があった。


「街が襲われて、人も!」


 モンスターがいくつかの家の中に侵入したのか、家々が壊され、街の所々が欠けていた。人の死体がない事が救いだ。よかった殺されていない。俺たちはラクーダから下り、手綱を引いて入口に入った。


「後ろ危ない!」

 急に声が聞こえたので俺たちは入口を開けるように避けた。するとその避けた場所をリコイルが回転し通過していった。そしてすぐ、


「バシュー!!」


 進んだ先で爆音一つ、一刀を入れた冒険者に倒された。あれは、確かヴィンスヴェルタさん。

 ダンジョンの開放により経験値を沢山得てレベルアップした冒険者が多くいると思う。しかし現状は切りがない程モンスターは多かった。


「ライム、彼は昨日のナイトじゃない?」


「おう、お前たちよく生きて戻った。俺たちは一旦街へ戻り、また出発しようと思っていたらこれだ」


「かなり街が壊れてますね。街はいつ襲われたんですか?」


「光球が真上を過ぎて少ししたくらいだったか?」


「いきなり来たんですか?」


「そうだ、教会の鐘が鳴りそれが鳴り止まないから、どうしたんだ?と思い外に出ると、モンスターが空を覆っていたんだ」



 話をしている間、ユリアンが足をバタバタする。お兄さんのいる家へ行きたいようだ。



 その横でヴィンスさんの仲間と思われる、冒険者が魔術を詠唱している。


「まだか?まだ?」


「ちょっと、詠唱に時間がいるのよ。待ってなさい」


「吹け、凍てつく息と凍える風!」

「フリージア!!」


 放った魔術により、空の一部は冷気に包まれていった。さらに空気中の水分が氷点へと下がり、小さな氷の粒を作る。ボルフライの足の周りの体毛についた水分が氷付き結晶のような形を作る。


「さっぶうぅ~、寒いよ、ハーゼリア」

 手を交差させ腕をさする男が言う。


 キッと睨んだハーゼリアの目に氷以上の冷気を感じるゲイル、

「こわっ」




「だらしない男ね」

 モニカさんが男を馬鹿にする。


「いやあれは、面白く言って空気を和ませているんですよ」

 俺は男をフォローした。




「散れ、氷の星屑!」

「ダイヤモンドダスト!!」


 氷結魔術で空気中のモンスターの体に張り付いた氷の結晶を結んでいく。それは、六角形の氷がくっ付き、また重なるように。そしてモンスターの体温を奪い、呼吸を遮り、動きを止めた。


「ブブッゥゥッ・・・」


「キャラン!」


「クラン!!」


「シャン!!!」


「キィン!ザサッ、ゴッ、バスッ・・・」

 地面に落ちるモンスター、一緒に割れる氷の音が命の終わりを告げる。百匹近く地面に落ちていった。まさか自分たちの攻撃方法(()()()()()())で倒されるとは思っていなかっただろう。



 ただ残念なことに、この場所は街で炎をくべているため気温が高かった。これが、もし外の何もない場所なら、さらなる効果も発揮されたのに。空中にいるモンスターの数は魔術前と変わらない程残っていた。


「エリスー!!」

 こっちを見るエリス。


「街はこのありさまよ!」


「分かってるー!」

 一目瞭然、モンスターの来襲だ。


 外は冒険者と商会、街の住人(男)だけ。

 俺がエリスの方へ行く時、商会の人の話が聞こえた。


「女、子供は避難した。壊された家の住人は教会に避難している」


「こんなのは何年ぶりだ?」


「以前も来襲はあったが、今回は異例の事態だぞ」


 その商会の人たちを襲うモンスター!商会の人はモンスターに松明を向けた。モンスターは、炎の熱さで空に逃げていく。


 街の住人(男)たちは、それを繰り返しをしていた。



 俺の声が聞こえたのか、ご主人が宿屋から出てきた。こちらに駆けつけてくる。


「エリス様、状況はこの通りで大変危険です。さあ宿に避難されたし。宿はモンスターに襲われても壊れないよう頑丈に作ってありますから」


「いいから、これを預かって」

 そういうとエリスは俺たちのラクーダの手綱をご主人に手渡した。何も言わず、ご主人はその手綱四匹分を受け取る。


 エリスの手がご主人の手に触れると、ご主人は目に力を宿した。

「任せてください」

と別人のような声で言う、さらに左手を胸に置く。


「エリス様、私ベンハがラクーダを大切にお預かり致します」 

 そういうと宿に行き、男たちを呼んできた。


「おまえたち」


「はいご主人様、ラクーダを納屋へ入れてくれ。絶対にモンスターを近づけさせるな」

「はい、かしこまりました」



 俺たちは街全体の状況を把握するため商会に行った。ここは街の中心である。商会のドアは閉まっていた。から中の様子は分からない。ドアをノックしても返事なし、誰も出てこなかった。アルスは無事だろうか心配である。


「俺とユリアンはセイラのいる教会に、モニカさんとアッキーはアルスのいる商会を守るんだ!エリスは全体を守ってほしい!」

 エリスは自由行動がとれる方が動きやすいだろう。街の外のモンスターなら俺たちが分かれても戦える。


「ライムさん、お兄ちゃんは?」

 俺に縋るようにユリアンが尋ねた。


「悪い、その後だ」


「ライム、回復しないと体」

 危ない、全力を使い果たし底をついた状態だった。


「アイテムショップは街の来襲で特別深夜もギルド協会で開いているわよ」

 エリスが言う。


「助かった!ユリアン、行先をギルド協会へ変更する」


「おいユリアン、どこに行くんだ!」

 ユリアンはギルド協会とは逆の方向へ走っていった。何で言う事を聞いてくれない。


「ユリアンはいいから、あなたはギルド協会へ!」


「エリスはどうするんだ!?」


「まずは教会に行く、それからユリアンを!」


「頼む、ユリアンも疲れて限界だと思う!」


「ああっ、くっそ!」

 考えていなかった。この状態でモンスターに襲われたら死ぬぞ。俺は自分の悔いを責めながらギルド協会へ走った。






 教会にいるセイラは長椅子に腰かけ、外で教会を守る冒険者たちの傷を癒していた。


「開け、いやしの輪!」

「ヒーリング!!」


「おおっ、痛みがとれていく」


「それはよかったです」


「すまない、よし今度は十匹倒すぞー!」


「次、俺の傷を頼む」


「セイラさん、ヒーラーは他にもいますから少し休んで下さい。もう魔力は残っていないはず、あまり無理をしたら命までっ・・・」


「いいんです、私に出来る事と言えば」






「カン!カン!痛っ!」


「アルスさん、危ないので止めて下さい」


「いーや商会がモンスターで襲われたら街の復興にも時間がかかる。商会だけは何としても守らなければ。俺は他に何も出来ない」


「あなたには、フードコロンがあるじゃないですか」


「全て投げ切った。これが終わったらそれも作るが、今はここにモンスターが入らないよう塞ぐだけだ。もっと強固に打ちつけておかなければ」


 アルスが釘を手で強く押し金槌で打ち付ける。


「カン!カン!カン!」


「はい、アルスさん」


「おお、ありがとう」






 商会から角を曲がり兄たちがいる家へ走るユリアンは裏道を抜けていった。


「おにーちゃん!」


 底をついた体力はラクーダに乗った間に回復するはずもない。その間に溜めた体力を使い走る。曲がった先は塀の近くだった。塀の下からサンドワームがたくさん湧き出しユリアンの足にへばり付いてくる。

 サンドワームを跳び抜ける、しかし壁に這い上がり翻るように落ちてきたサンドワームがユリアンの体に絡みつく。次々と。その重みでユリアンは倒された!サンドワームはユリアンを塀の下の穴に引き摺りこもうとギザギザの歯でローブを咥え後退する。


「あっ・・」


 手を伸ばすユリアンの前には兄たちが住む家が見えている。

 ゴブリンやトロルにも勝てるようになったユリアン。HP・体力全快ならサンドワームを何十匹と倒せるが、体力がない状態でスタッフを振るうと、抵抗すら出来なくなる。


 次々と地から這い出し遅いかかる。連携というか団体で行動するモンスターたち。

「ザクッザクッ」

 ローブを咥える時に一緒に体を噛む。そしてローブを咥えたサンドワームの動きは止まらない。

「ズッズッズッ・・・」

 少しずつユリアンは引き摺りこまれていった。

「ぅっ、ぅぅっ・・」

 もはや虫の息。

 大量の数のサンドワームがユリアンの体を取り囲んでいるから、誰もユリアンに触れることが出来ない。

 ユリアンは僅かな動きで五感を働かせる。

 しかし触感や臭い、気持ち悪い体が目に映る。頭と体に嫌悪感が押し寄せた。吐き気と震え、頭の痛みが出るなど体が異常をきたした。それがユリアンの全てを蝕んでいった。

 ユリアンは全ての情報・思考を拒絶した、兄たちの事を思う気持ちだけを心の奥の深い所に残して・・・。






 エリスは急いで教会に行った。教会の周りではギルドが十数人いて戦闘中だった。


「セイラは?」


「セイラ?えっと、あのシスターは中にいるはず」


 エリスは教会の扉から中に入った。


「セイラ!」


「あ!エリスさん!」


「どこかモンスターに襲われなかった?」


「はい、何ともありません」


「ここ、ケガしているじゃない」


「あっ、そうですか。スミマセン見えなくて」


「それはいいの。それより自分の傷を手当てしなさい」


「痛くないからいいんです」


「あなたその髪・・」


「髪?お風呂に入る暇はありませんよ、エリスさん」


「生命力が・・。それ以上魔術使うと死ぬからもう止めなさい!」


「私は命尽きるまで戦います」


「そんな、誰かセイラと代わってあげて。他のシスターはいないの!」






「アルス、ここのモンスターを二人でやっつけるわよ!」


「僕HPないかも」


「あー本当だ。戦闘になるとステータスを見ている時間がないわ、誰かいないかしら」

 アッキーのステータスを見ながらモニカは答える。


 !


「アッキー、何を見ているの!?」

 アッキーの見る方向に街の住人(男)がいた。


「すみません、そこの方たち」


「何でしょうか?」


「ポーションを持っていませんか?」


「えっ!ないこともありませんが・・」


「買い出しに間に合わなかったんです。良かったら売って頂けません?」


「ご冗談を、こんな戦闘中手放せませんよ」


「お願いします!二倍の金額を出すから!!」


「まあそれなら、いや待て。もし次行った時に買えなかったらどうするんだ」


「お願いします!二つでいいんです」


「ちょ、ちょっと何をするんだ!」






 ライムはギルド協会に急いだ、協会の中では街の男が数人並んでアイテムを買っていた。


「これ以上は売れないな。一人に三つ以上売るとポーションがなくなってしまう」


 そうだった一日に買える量は決まっているんだった。俺だけだと全員の分は買えない。それでも、ある方が勝利する可能性と生存確率は桁違いに上がる。


「仕方がない、教会にいくぞ」


「ああ」


 遅いな、まだか。俺は早くユリアンの方へ駆けつけないといけない。ユリアンは力が弱いんだ、体力も限界で、魔力も全て使い切っている。

 前に三人客が並ぶ。

 その内の一人、なんだ話か?そんなの後でいいだろ。知らないなら買うなよ。お前は嫌がらせ太郎か?おしゃべりジジイか?時間がないから早くしてくれ。


「早く!」


 思わず言ってしまった。客はピクと体が反応し、すぐに話を切り上ける。品物を購入し、こちらを見ないように顔を伏せて帰っていった。

 二人目、三人目の客も何がいくつ、何がいくつと言って買って、すぐに帰っていった。


 アイテムショップの男が話す。

「あっ、ポーションなんですが・・」


「はい?」


「それが・・」

 無事今回もダンジョンから帰還したライムたち一行に不吉な予感が、街はどうなった? 

朝は白で夜は黒、神秘的な朝はわかりますが夜まで神秘的ってありませんよね。でも朝でも暗かったり、夜でも明るく見えたりで自然現象は不思議です。

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