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第16話 ダンジョン6階層 心の尺度

ユリアンを仲間にしたギルド・テリーヌ一行は、ダンジョンに行って実戦を積む。実戦も半ば四階層まで進んだ。

 四階層にやってきた。



「うわぁ、すごぉ~い。こんな場所あるのなら街の皆、大盛り上がりですよぉ」

 ユリアンが大きな口を開き言う。


「そうだな」

 ただ、こんな場所があっても普通の住人が立ち入ることはできない。それにあるのは海とクリスタルサンゴ位で他に何もないし。

「またボートね」


「俺たちが運ぶよ」

 ボートを運ぶのは、男の役目。ボートを運んだ後に男二人と女三人に分かれ、それぞれボートに乗った。


 海の中でボートを漕ぐ。今は午後三時位か、まだ空は明るい。


「ははぁーん」

 ユリアン、海の底を見ているのか。俺の命名したあのクリスタルサンゴを!!


「あれはクリスタルサンゴよ」

 モニカがユリアンに説明する。


 ボートで騒ぐユリアン、

「はぁはぁ、あれ欲しぃー、とってきていいですか?」


「海はモンスターがいて危険だから入らないで。それとサンゴの事は、お兄さん達には内緒っ」


「どうして?」


「お宝があるって言ったらとりに来ちゃうでしょー」


「はぁ、まぁ~そですね」



「アッキー、前のボート止まってないか?」


「はぁはぁ、どこぉ」

 そんな余裕はなかった。俺もボートを漕ぐアッキーに話をふっても見ていない事に後で気づいた。


「そうだな、いずれ動くだろう」

 ユリアンが嫌がらせ列伝継承者に名乗りを上げたわけだが、生半可な気持ちでは二人より先に継承することはできない。当の本人も街にいるわけだし・・・。


「おお動いた・・」

 これで行ける。俺はオールで漕ぐのを再開した。



「はーはぁ、えーっとアンチドートだっけ?それはできるのよね」


「はぁはぁ。はい、できます」


「こっ、ここはポイズンフィッシュが出現するの。跳びかかってくるから気を付けてね。見た目は小さいモンスターだけど、鱗で攻撃し噛まれると毒になるから厄介なの、はぁ~っ」



「何だ?」

 水中にカラフルな色が見え隠れする。ゾロゾロと一体何匹いるんだ。大量繁殖した原因はフロアボスがいなくなったからだろう。数百匹はいる、水中から泳いできてボートを囲むように水面に出現した。当たり一面毒々しい色をしたポイズンフィッシュの迷彩模様。オールで一生懸命漕いで逃げるが泳いでついてくるので逃げ切れない。


「しまったぁあ!!」

「うわぁ!!」

 完全にポイズンフィッシュに囲まれてしまった。俺たちの方をギョロっとした目つきで見ている。


「モニカ!フロートでユリアンと空中に行って」

 そう言うとエリスは飛び出した。


 エリスが跳びフロートでライムたちのボートへ移動する。

「ガンガッ、バタッ!!」

「こっちに来て!」

 俺たちはエリスと一緒に空に上がった。モニカの方へ行くとエリスが魔術詠唱する。


「張裂けろ、雷火花!」

「サンダースパーク!!」


「バリバリジャジャジイイ!!」

「パシャパシャパシャシャシャシャ!!」


「うわぁあっ!!」

「あああっ!!」

「きゃああ!!」

 エリスの手から轟く稲妻が入り乱れるように空を折れる、その一つ一つが水という導体に触れ、海に全て流れていった。

 水の中を泳ぐポイズンフィッシュが跳ねる、気絶死する、共食いする。ポイズンフィッシュは操られるように体がピクピクと動き、止まったかと思えば次々と白目で水面に浮かんでいた。

 そしてポイズンフィッシュは消えていった。

 あれから、ここは変化した。致死量になるほどの毒が一斉に押し寄せてくる危険なフロアになった。それはフロアボスの消滅が、第二のフロアボス誕生に繋がったような気がした。それほど食物連鎖、自然環境、生態系の変化という奴は難しい。


「エリス、こっちも感電したぞ。まあ全身に受けるようなことはなかったけどさ。アッキー、鎧が金属だけど怪我しなかったか?」


「あ、ぁああ」


 落ち武者にでもなったか、くぐもった低い声の返事のアッキー。まあ、物真似しているのなら余裕だろう。


「酷そうね、ユリアン、アッキーにヒーリングを」


「はいっ」


「ヒーリング!!」

 ユリアンは回復魔術を唱えた。


「ありがとう、ユリアン」

 優しそうな目でアッキーはユリアンにお礼を言った。


 その後、ブレードシャークも来ないし渦も出なかった。スパークに巻き込まれたか?それとも恐れを成して逃げたか、まあ出ないにこしたことはない、あはははっ。




「はぁはぁはぁ」

 笑ってられない、これは体にくる。


「はぁははあぁ」

 アッキーも苦しそう。おまけに暑そう。



 洞窟の入り口に入る。相変わらず、この周囲にはモンスターが一匹もいなかった、すごく静かだ。松明をつけて通り抜け、ボートを岩の上へ乗せた。


 そして七色に輝く真珠の階段を歩く。


「みんな、ここは滑るから一列で間をとって歩こう!」


「カッカッ!」


「何しているんだ?」


「綺麗だからとろうと思って」

 真珠のような貝柱の階段の貝を、子供のように剥がそうと石で削るユリアン。この世界では、それがお金になるから持って帰ろうとする。


「階段が崩れるからやめようね、ユリアン!」

 俺は優しく言った、まだギルドに入りたてだから強くは言わない。それに、こんな輝いているものを見たら女なら誰だってとる。


「はい、止めます。あっ・・・いたたたっ」

 ユリアンが滑って転んだ。


「大丈夫か?足元滑りやすいから」

 俺が手を差し出すと、


「うん」

 単に落ちてるのなら持ってけ泥棒~。俺は気前よく快諾する。皆には内緒だぞ。






 五階層に出た。


「急ぎましょう」

 エリスは徒歩とフロートを交互にやって、俺たちをフロアの奥まで運んだ。


 鱗と苔の上を踏むのだが、踏まなく空を飛んでもマレイスフラワーに気づかれる。苔が翻り出現したマレイスフラワーは胞子をまき散らす。空中では成す術なく、その胞子に当てられた。普通ならそのまま落下し即死となる。しかしそこはエリス、息を止め地上におりる事ができた。

 ちなみに、ダブルマジック(魔術を二人で使う)はどうか?という案は却下された。仮にモニカがティルウィンドを使うと進む方向(前)に胞子が飛んでいき、ヘドウィンドを使うとフロートで前に進めなくなるからだ。



 俺は一部の苔を剥いだ、そこを起点としてモンスターと戦う。


「ザクッツ!」

「ギュルルッルウルウル!!」 


「ザパッ」

「ギュラッル!」

 マレイスフラワーの触手(鞭)は接近することで威力を殺す。敵が威力を出すため触手を持ち上げている間に木こりさながらアッキーは振落を決めた!悲鳴のような触手を擦る音がした。俺はアッキーが退くのに合わせ一刀を出した。



「パッ!」

「あぁっぅ・・」

 乾燥した音、距離をとっていたモニカさんの声が聞こえる。鞭で打たれたか。触手は何本もあり、入り乱れていた。だから油断、予測できない。だが俺が目で追うのはマレイスフラワーとアッキーだけ。他は集中しなくても構わない、たとえダメージを喰らったとしても。

 アッキーが近づいたので俺は踵を返しダッシュで離れる。連携とは言えないがアッキーが横に斧を構えた。


「カッツツン!」

 響き渡る巻き割のような音、それだけマレイスフラワーの茎は硬い、が動きは止めた。アッキーは振回を出していた。


「ここでの戦闘は止めましょう」

 エリスの指示が出る。


 俺たちは、すぐ逃げるように走ってアークピクシーのいた場所に向かうため苔の上を飛んでいった。途中ユリアンがモニカさんの足にヒーリングをかけて。



 マンドラゴラの庭の花壇で見つけた地下隠し通路、金の扉を開く。


 松明を灯し階段をおりると平坦な通路が続いた。そして扉を開くと野原があった。上にきているという感覚はなかったが、ここは風景が違った。六階層で間違いない。






 【ダンジョン6階層 心の尺度】 


 トロルがうっすら草が生える土の上で、棍棒を肩にのせ偉そうに歩いている。なんと!光がある。幻想的な闇が立ち込めるが光源の存在が確認できた。


「トロルは力が強くても、動きは鈍くないか?」

 俺がそう思うのは力士二人分くらいの体格で相当体重がありそうだから。動きはトロいとみた。


「それはライムの想像でしょ。私は、あんな棍棒で頭をぶたれたら即死よ。分かってる?」


「わかってる」

 でも、それは当たったらの話だ。


「皆、あの太い腕の化物とどう戦うんだ?」

 ユリアンは不安に男言葉で尋ねる。


「分からない、初めて来たから・」

 力量差があるからまずは作戦を立てないと。


「おいおい」

とユリアンは目が点になった。


 問題は攻撃をかわせない時、アッキーが盾で受け止められるかである。RPGのゲームなら完全ガードも有り得るが、実際やるのはかなり難しい。盾でのガードを身につけるには練習が必要だ。戦闘も攻撃と防御が交互に変わるわけではない。何度も言うが決まっていないのだ。

 つまり早く動けるのなら二回、三回と続けて攻撃できることになる。

 俺たちは盾がない分、武器で受け流すか回避する必要がある。これにも技術が必要ですぐに出来る事ではない。

 


「エリス、ここで戦うんだろ」


「もちろん。ここは実戦の第二ポイントだから」


「嫌な予感的中だな」


「作戦は、自分たちで考えなさい」


「戦うよ」


 そうしないと強くなれない。今の俺たちは少しでも経験を積みレベルを上げ強くならなければいけない。強い敵と戦い慣れていなければ対応が疎かになる。

 もしダンジョンマスターに100%勝つのなら、それこそこの世界の全てのモンスターを相手にしてもいいくらいだ。普通のゲームならそれを何度も繰り返す。言う事は単純だが、実際するのは難しく複雑だ。


 しばらく俺は考えた。


「作戦はこうだ。正面から俺とアッキーの二人がトロルと戦う。モニカさんは横にいて、いつでも魔術で援護できる体制で待機、さらにユリアンは俺たちの背後に距離をとって待機する。モニカさんとユリアンは俺とトロリンの状況に合わせて下がってほしい、万が一の時はエリスの方へ避難、皆これでいいか?」


「ええ、わかった」


「はい、わかりました」


「じゃーいくぞ」


「ガササッ!!キンキンキンキン!!」


 俺はアッキーの斧に剣を当て音を立てた。金音がしたのでトロルはこちらを見る。俺が人間であることはトロルの目に分かったようだ。御馳走を漁るようなヨダレと笑みで奴は走って来た!!


「くるぞぉー」


「おぉ!」

 俺とアッキーは武器を構える。


「攻撃はかわせ、当たるようなら流すように受ける、まともに受けたらまず力負けする」

 おれはゲームの理論を現実の戦闘に当てはめた。これまで寝る前にイメージトレーニングを積んできていて正解だった。そこから導き出した戦い方とアドバイス!


 トロルが俺たちに近づいた!棍棒をバッドの素振りのように前を見たまま振るう単純攻撃だが早い。


「アッキー下がれ!!」

 アッキーの斧がはじかれた。早い!!間合いをはかるため構えた斧が消えている!!


 俺はアッキーが斧を飛ばされた瞬間を狙って攻撃を仕掛けた。剣の先がトロルの顔を刺す。棍棒を振り終わったトロルは戻すように棍棒を振り回した。


 うまい!トロルは攻撃する事で最大の防御をはかった!


 そこで俺は突きの終わった剣を素早く抜き、剣を素振りして見せて退いた。そのいた場所をトロルの棍棒が空を切るように通った。

 トロルの足元に斧が落ちている。アッキーは拾う事と攻撃を受ける事でジレンマする。わざと牽制しながら注意を反らし、拾う準備をした。


 トロルがその場を動かないので、俺は距離をとり剣を縦に構え腰を落とす。それは角度を調整し剣で視界を遮らないため。


「グググワァァァ!!」

 トロルが、食いつくように大きく口を開けてアッキーの方へ突進した!俺の間合いが悪かったのか?それを察知しアッキーは走って逃げる。逃げる方向は注意が必要だ、モニカさんたちのいる方向だと巻きこんでしまう。

 俺はアッキーの方へ向かうトロルを追いかけた。トロルは徐々に速度が落ち諦めたのでアッキーは逃げ切れた。


 ・・・のはよかったが、トロルが右足を出してふんばり動きを止めた。そして真後ろに走ってくる、つまり俺を襲ってきた!!


 顔は俺の方を見ていなかったから気付けなかった。鈍感でも馬鹿でもトロルはなかった。単にイメージというものに完全に騙されてしまった俺はトロルに距離を詰められてしまう。速いっ!!

 トロルが棍棒で痛恨の一撃を放った、俺は間合いを取るため剣を出すが、


「ガコーン!」


 俺の剣が飛ばされてしまった。その反動で、俺の手首が反対側にねじ曲げられ関節を痛める。くそっなんだ、こんなやつ一匹に。これでは何もうまく持てない。

 しかし、俺は即死級の大ダメージを避ける事は出来た。


「グフフフウ、グァー!!」

 大声を上げるトロル、仲間を呼んだのか?脅かすつもりか雄叫びを上げた。一応、俺は後ずさった。するとトロルの動きが止まった!


「みんなー、仲間がくるかもしれない、早く倒すぞ!」

 周囲にトロルの仲間がいなくて助かった・・。


「ええ」

「はい」

「うん」

「・・」


 だが、トロルに攻撃を仕掛けた甲斐があった。落とした斧を拾ったアッキーはトロルの後ろにいるから。


「ブンッ!」

 そしてアッキーは見事トロルに後ろから鋭い刃を当てた!バトルアックスはトロルの右肩に突き刺さり引き裂き肩に切れ目が入る。


「ウグゥゥ」!!」

 トロルが少し弱った声を出す、ダメージを与えトロルの動きを鈍らせたようだ。トロルの棍棒をもつ手が小刻みに震えている。棍棒を持つ手の付け根からポタポタと血が垂れ、血が肩から腕、手と伝っていく。トロルが棍棒を振り上げようとする傷口は体を蝕んで力を奪った。


 俺はアッキーが攻撃した時を見計らい剣を拾った。そしてアッキーの方(右肩)を見た時に左手で剣を持ちトロルを突いた。

 トロルの表情は反撃しようと考えているだろう、しかしうまく棍棒を握れない。

 剣は体に刺さった。無残な戦い方だが、俺たちが生き残るには戦うしかない。俺たちには長けた剣術もなければ並外れた体術もない。ましてや魔術は強力だが、魔力が関係し使用回数が限られるもの。モニカさん(エリスも)に頼る事は考えていられない。


 俺は砂を投げつけた。目を押さえるトロル。苦しむフリ(嘘をつく)ではないか十分に見る。

 そこにアッキーが振り下ろした斧が背中に刺さる、その傷から背中は見る間に緑色にそまり傷口が肥大化していった、そしてその部分からトロルは消えていった。

 一定のダメージで死と同じ、消滅だ。消滅の判定がどこで線引きされるのか未だ不明のまま。


「やったわね」


「良くやったわ、アッキー」


「アッキー、ありがとう」

 本当アッキーには驚かされる。




 戦闘が終わった後、新たなモンスターが出現する。


「あれ、ゴブリンじゃない?」

 モニカさんが指す方向にガタガタの歯と牙がある土色をした体、粗れた髪、手に石のナイフを持った狼みたいな二足歩行のモンスターが出現した。顔は緑色で人にも近い。メニューで確かめると名前はゴブリンである事が判明する。


「六階層で、さらに強力な武器を所持しているモンスターに会うのかよ。あれじゃーモンスター型の盗賊と同じじゃないか」


「確かに特徴はゴブリンね、典型的な初期モンスターにしては意外に賢そうだわ。それに素早そう」


「難しく考えないで、あんなの悪戯程度よ」

とエリスは簡単に言う。


「どうする?みんな」


「戦う」

 アッキーが独り言のように言った。


「いいのか?殺されるかもしれないんだぞ」

 俺はアッキーに、その心の所在を確認した。


「でもモンスターは人を襲う」


「否定できない、みんなでゴブリンを倒そう」

 お前の意見に決定だ。


 アッキーが肩にバトルアックスを担ぎ歩いていく。待て待て張り切るな。作戦を立ててからだ。そんないきり立っていたら、あっという間に死んでしまうぞ。落ち着いて、つんつん。


「僕がやる」


「アッキー、あなたの命を守るために忠告するけど生き急ぐと死んでしまうわよ。もっと考えてから行動しなさい、あなたが死ぬと私たちも死ぬんだから」


「僕・・・は必要ないから」


「あるわよ」


「どうしたの、アッキーさん」


「ほら、みんなお前を頼りにしてるんだから」


「うぅん」

 アッキーは下を見ていた。


 アッキーの気持ちが推し量れない。元の世界がうまくいかなかったのは俺も同じだ、アッキーはそれを引きずっているのか自暴自棄になっていた。

 トロリンからトロルの変化をどうつけようか、特徴や武器、行動を変えたつもりです。いかがでしょうか?

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