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第14話 決意

 ギルドテリーヌ(ライムたち)は武具を購入する。ダンジョンへ向かう前日、エリスは冒険者としての資質に欠けるとして、カタリナにギルドから除名する事を伝えた。それに皆は猛反対する。

「カタリナは仲間だよ」

 アッキーは小声だが強気で言った。


「アッキーはカタリナが必要なの?」


「ぅん」


「これまでアッキーは口論にならなかったから聞いてあげたいんだけど、ライムが連れてきたのはアッキーとモニカだけ」


「そんなの勝手すぎるぞ、エリスがカタリナを仲間にしたんだろ!お前が連れてきたのに一方的に断るのか?」


「エリスさんっ、カタリナも私たちと同じよ・」

 モニカは少し酔っていた。


「それは関係ない。私の見込み違いだったから外れてもらうの」


「でも仲間よぉ」


「全員死ぬわよ!」


「ぼ、ぼ・・」


「カタリナが、どうなればエリスはいいんだ」


「カタリナがテリーヌを抜け、新しいヒーラーが入る。別にこのメンバーで戦わなくちゃいけない事はないの」


「でもカタリナが抜けるのは・・・明日からだからっ!」

 モニカさんがヒステリックに怒鳴った。


「ええ・」


「・・・」




「カタリナ、俺たちはいてもいいと思っている」


「先ほども話した通りエリスさんの命令に従います」


「おい、どうしてカタリナまでそうなるんだ」


「私が迷惑をかけたせいで、お姉ちゃんみたいに消えるのは嫌なんです」


「だからって・・」


「そうよぉ」


「もう行っていいですか、エリスさん」


「どうぞ」


 カタリナが部屋を出ていくと、モニカさんがついていった。



「ライム達もわかって、カタリナの命も危ないのよ」

とエリスは告げ、自分の部屋に戻っていった。



 自分の命は自分で守る、そのためには仲間を変えなければならない。俺はカタリナに、このままギフテークに残ってほしいのだが、現状維持は難しかった。


「アッキー、助けてくれぇ」


「え、僕っ・・」

 アッキーは困った。


 それから天井を見て俺達は、しばらく話していた。


「俺達、これからどうなるのかな~」


「・・・」

 アッキーは背を向いて何も言わない。


 それから、何も話さす二人は眠っていった。




 女部屋、


「エリスさん、ひっど~い」


「そぅ・・」

 目を合わせず答えるエリス。


「カタリナ、いつでも部屋に遊びに来てねぇ~。他、困った事があったらぁ何でも相談にのるから~」


「はい、でもいいんですモニカさん」


「どうしてぇ~」


「皆さんがうまくいくのなら」


「そんなの行くわけないでしょ~、不調よっ、絶不調になるわ~」


 そうしてカタリナとの最後の夜を過ごした。






【エリスの守護 残り8日】


「コンッコン」


「・・・」



「トトン、ちょっとライム」


「・・・?」


「ライムー、起きなさいよぉー!」

「ドンドン!」


「なんだ地震か?」

 俺は天井とドアを見た。


「ラィムゥ・・ライムゥウウ!!」


 朝ぁぁ・・あああーっ体が重い。モニカさんとエリスの声が聞こえる・・・・・そうだカタリナは!!


「バッ!!」


「ガチャ!」


「わあっ!!」

「きゃっ!」


「何でここに?」


「起こしに来たのよ、声聞こえなかった」


「そう言えば・・。それよりカタリナは!?」



「――――――。カタリナは出ていったわよぉ」


「モニカさん、なんで止めなかったんですか!?」


「私はカタリナの意思を尊重したの」


「尊重って、俺の・・」


「アッキー、おいアッキー!」


「ん・んー」

 気持ちよさそうに寝てアッキー、


「ばしっ!」

 俺は無性に腹が立った、アッキーの顔を平手打ち。


「んんっーああ」

 目に皺を寄せ、アッキーは目を覚ました。


「・・」

 部屋の入り口を見て固まるアッキー。エリスとモニカさんの視線が集中している事で頭が一杯になった。布で身を隠すアッキー。


「アッキー起きて」

 モニカさんが言う。


「う、うん起きたよ」


「よし着替えるぞ」 


「戸、閉めるわね」


 二人が戸を閉めてから俺たちは支度を始めた。


「もうカタリナが出ていったらしい」


「なんで止めなかったの?」


「本人の意思だそうだ」


「あぁ・・」

 アッキーは脱力したように項垂れた。


「アッキー早くな・・」


「・・・・」

 うるさいと聞こえた?ような気がする。俺がリーダーなのに申し訳ないと思った。


 叩いたからかアッキーは顔が怒っていた。そして疲れからか泣いていたからか目が赤くなっていた。

 カタリナは別れたが街にいるから心配はしていない。



 支度が終わったので宿から出ようとすると、俺達の暗い顔とは対照的に元気づけるように宿屋のご主人が笑って”いってらっしゃいませ”と挨拶する。みんな頷くよう頭を下げた。

 結局昨日購入した、とっておきの装備品は渡せなかった。



「これからの日程なんだけど、明日から八日間で総仕上げ。ダンジョンで基本的な実戦をしてもらうわよ」


 街を歩きながら話すエリス。街の外でやっていたことをダンジョンでやるんだろうが、

「回復はどうするんだ?」


「回復はアイテムを使う。使い慣れておけば戦闘でも役に立つと思うし。それと時期に見つかると思うわよ、新しいヒーラー」


「・・・・」

 誰がヒーラー入れるって言ったんだ。


「これから戦闘では行動パターンではなく、瞬時とっさの行動で対応できるようになって。どんな時に何が起こっても反応できるようになるための練習。それと最初の三日間はスキルの技・魔術共に禁止だから」


「やばかったらどうするんだ?」


「逃げる」


「・・・・はい?」

 逃げるって戦闘にならないだろ。


 酒場に行って食料を調達、アイテムを買う。フタコブからラクーダを引き取ると俺たちは街を出た。


 一連の準備はもう慣れた。だがこれからはアイテムだけで回復というリスクを背負う。岩壁、川、一本道、森を抜け俺たちはダンジョンに着いた。


 フロアを見渡すと三組の冒険者ギルドがいた。それぞれ四、五、六人パーティーで戦闘に挑んでいる。あまり多いと仲間同士ぶつかったり連携が取れなかったりする。



 冒険者ギルドがいない場所にエリスは移動すると足を止めた。

「さて、これからトロリン、オーグ、ゴーブのそれぞれと正面から戦闘してもらうわ。トロリンは棍棒をかわし攻撃する、オーグは突進をかわす、ゴーブは早い動きに対処する。あなたたちの職種は考慮なし、全員が一匹ずつ相手してもらいます。ここでレベルを上げておかないと上へ行って全滅だから、それまではずっと一階で修業になるわ」


 その方が好都合だ。


「ちょうどオーグが三匹いるわ!みんな間合いをはかり正面から攻撃してみて」


「うぉおおお!」

 俺は走って突っ込んだ。


「ぉぉぉ・・!」

 アッキーも小さく吠える、


「あわぁー!」

 肉体系ではないモニカさんは必死だ。




「ドッッ!!」


 俺は閉まった扉にあたったように跳ねかえった。これが突進か?崩れた体勢だが、とにかく一刀する、運よくオーグの体を斬った。踵を地に当て倒れず持ちこたえた。さらに剣でそのまま前へ突く。さすがにこれは当たらない。


 待てよ!突進型ならかわせば後は隙だけ、


「ダダッブヒッ!」


 突進をかわして横から一刀、その体を斬る。ダメージがHPを上回ったのか、すぐに体は散って消えた。

 俺が戦闘中、離れて戦っていたアッキーの一撃が決まる。突進をガードではなく体で受けた。同じ時に斧を振り下ろす。斧はオーグの肩に刺さる。オーグは少ししてその状態のまま消えていった。どうやら斧は攻撃力が高いようだ。


「ライム、技は使わないって約束よ」


「ごめん」

 さっき言われたばかりだったが命の危険を感じて体が反応してしまった。



 しばらくの間、モニカさんとオーグは対峙していた。俺たちの方を見るオーグ、モニカさんが走る。ロッドは軽いため、俺たちより早く正確に攻撃できる。


 モニカは、オーグの喉元をロッドで突く!それでも前に出るオーグ!


「こないで」


「バシバシ、バシッ・・!」

 恐怖から素早い攻撃をするモニカ。


「ブブブブブッ!」


「ドッ!―――ズドンッ!!」


 オーグは大きくないが怪力だった。モニカさんが吹っ飛ばされた。 上に乗り爪を立てるが足で頭を蹴りとばして、それを防ぐ。ローブだと足を自由に動かしにくい。


 助けるか!?俺は迷った。仲間が劣勢である。


 オーグの猛突進、何度も頭と体に痛みが走る。肉体派でないモニカさんの攻撃力ではオーグに蓄積ダメージと言えるものが中々貯まらない。その間にも自分のダメージが蓄積しHPが底をつきそうだ。エリスは俺たちを止めた。


「バシッバシバシバシバシバシバシ!」

「ブブ・ブ・ブ・ブ・ブブ・ブォオオオオ!!」

 モニカさんがロッドで何回も攻撃すると顔をしかめた。それでも顔から突っ込んでくるという始末。オーグをかわし、また攻撃する。

 オーグの頭から出血する、さらに動きが鈍り足が崩れ倒れていった。立ち上がろうとしたオーグは動きが止まって体が消え去る。こんなオーグに倒されたら脳震盪と痛みで失神しそうである。



 次を探しにエリスは怪物道に入る。


「おい、エリスそこは!」


「来たわ!」


「へっ?」


「あ」


「きゃあっ!!エリスさんモンスターがたくさん来てるー!?」

 ゴーブが七匹やって来た。


 モニカさんが早くも逃走している。一度に二匹相手しろっていうのか?


 エリスが魔術を詠唱する。

「ファイアボール!!」

「ボフッ!!」


 ゴーブ、一匹を焼いた。


「ウォーターガン!!」

「バヂッ!!」


 目を押さえる一匹のゴーブ。


「サンダースパーク!!」

「バチバチバチ、チチチチ!!」

 エリスがスティックを下ろすと、二匹のゴーブが倒れた。


 合わせて四匹が散って消えていった。

 他の三匹が俺たちに襲いかかる!!


「これで三匹になったわよ」


「知っている!エリス、魔術禁止って言ってなかったか?」


「あなたたちは禁止、それともゴーブ七匹相手の方がよかったー?」


 いいえ、滅相もありません。

「技と魔術以外は使っていいんだな」


「技以外って?」


「これだよ」

 俺はゴーブに向かって砂を投げつけた。ゴーブは砂を振り払うがそこは逃がさない、すかさず斬り付ける。


「グルン!」


 ゴーブは機敏に横に転がり回避した、へぇ~やるな。ゴーブが攻撃を仕掛けてきた。俺はそれを見て剣を出そうとした時、


「パシッツ!」


「くっそ!」

 視界が奪われた。


 顔に砂が入ったのだ。痛みで目が開けられず刺激で涙が出てきた。どうにか目を開いたのは片目だけ、しかも視界はぼやけている。


「ツッ――」

「あぁあっ!!」

 そして俺の体に、冷気と痛みが入ってきた!俺は痛みを堪え逃げた。一度体勢を立て直す。ズキズキと振動する度、傷口が激しく痛む。敵が近づいて来ているかもしれないが振り返る余裕はない、見ないで攻撃するなんて芸当もできない。


「よし見える」

 逃げながら瞬きを繰り返し、視界を確保した。目が回復したようだ。まだ少しコロコロするが、これで戦える。


「ザッッ・・・」

「ザザッ・・」

「ババッ!!」

 俺は砂を握った、ゴーブも握る。互いに砂を投げ合い攻撃する。ゴーブの武器では俺には届かない。俺には腕のリーチとロングソードの長さの分のリーチがある、それが有利に働きゴーブの体を突き刺す!!


「ブガッ!ブガァアア!!」

 剣は腹に刺さりゴーブは消えていった。さっき俺の体に入ってきたのは石器のようだ。メニューを確認する、よかった。まだHPに余裕があった。



 アッキーとモニカさんはまだ交戦中、アッキーのグレートアックスが重くてゴーブの素早い動きに反応できない。次々と体に石器が刺さる。予想外のその負け戦にアッキーは怯んだ。


 モニカさんは足を引き、体を回し左右に波線上にかわす。そんな風に動く相手と戦闘を経験した事がないゴーブは、うまく攻めきれない。


「アッキー、武器を捨てて殴れ!」

 野蛮で暴力的だがゴーブは既にそれをやっている。アッキーは武器を手放した。素早さではゴーブに利があるが腕力ではアッキーに利がある。

 アッキーはゴーブを地面へ向かってぶん殴った。本人も殴りたくないのか嫌な顔をする。何発か拳が入ったのでアッキーは立ち上がり武器を拾おうとした。

 それを見たゴーブはアッキーの武器を奪いとった。だが重くて攻撃を出せないゴーブ、アッキーは殴り武器を取り返し、斧を振る。ゴーブは力を失い散っていった。


 モニカさんはロッドを振るとゴーブの手に当たった。石器を落とす。モニカは、さらに二発、三発とロッドを当てていく。


 ゴーブは接近と離反を繰り返す。モニカさんはゴーブが近づくとロッドを振る、もしくは、かわし離れると対峙した。それを繰り返すうち、ゴーブは蓄積ダメージで消えていった。




 戦闘が終わるとメニューを開き確認する。一階は雑魚なんだろうけど、俺たちにとってかなり強かった。HPが少ない。死ぬ危険性があるのでポーションを使った。


Name ライム job kight EXP 755 Gold 2000


States

Hit point      20/150

Level         18


Attack        90

Guard        65

Magic        40

MagicGuard      45

Agility        39

luck         41


 ポーションを一個使うと最大HPの20%が回復する。二個使いHPを60回復させた。こんなに早く使うことになるとは。




「ぎゅるるー」


 アッキーの腹が鳴った。元の世界での習慣(食欲)はまだ残ったままだ。


「エリスちょっといいか」


「何よ?ここダンジョンよ」


「俺たちは元の世界で食事が三回あった。このままだと空腹で気をとられるから回数を変えていいかな?」


「この世界の習慣から二食にしただけ。まあ食後の戦闘に慣れてほしい理由もあるけど」


「それなら朝は昨日の残り、昼は飲物、夕食は酒場で取る。の三回食事でもいい?」


「いいわ」


「バンザーイ」


 こうして三回食事をとれるようになった。


 俺はアッキーの腹時計を信じ、入り口から外を見た。もうそんな時間が経ったのか、光球の位置は真上だった。


「朝昼食でいいか?」


「そうね」


 ここで朝昼休憩をとる。食料を無駄にしないため周囲の安全を確保する。襲われて地面に落ちたら戦闘に勝てても飢え死にしてしまう。


「ライム、ここで何か食べるのは難しいからあの提案は賛成よ」


「そうだろう」 

 そう言うと思った。


 俺たちはサンドナンという平らな形で麦をこねた物を食べ、オアシスの湧水を飲んだ。


「うぉおー」

 湧水の塩気と微炭酸が甘酸っぱくて上手い。消費した栄養を補っているようだ。


「わぉぁっ」

 モニカさんの声にならない声、想像がつかない味で奇声を上げる。


「・・」

 アッキーの空腹を半分位は満たしただろう。


「・・・」

 どうやら戦士は大柄の方が力があった。なぜなら斧を振る速さが少し違ったからだ。同じ戦士でも体格差がある。また装備品の重さや戦闘での疲れも少なくて済むような感じがした。ただアッキーは体重が重い。だから疲れに関してはどちらとも言えないかも、くくっ。






 朝昼食後、修業を再開した。トロリンと一対一で戦闘開始。


 棍棒による攻撃は強い、何回か喰らって急所にあたろうものならとんでもない。俺はトロリンの棍棒に剣を当てるが分が悪かった。木材対金属だが太さが違うせいで押し返されてしまう。

 それならと、トロリンが棍棒を振り上げる所を剣で素早く斬りつけた。何回か斬りつけトロリンに攻撃を許さず。

「シュパ!」

 怒って向かってきたトロリンの首を斬る!負けず嫌いな戦闘用モンスターほど短気で我慢できない。

「チ、チシィィイィ・・!」

 トロリンは茶色の血液を流し倒れ散った。


「はぁはぁはぁはぁ・」

 モニカさんはロッドの先を喉元や急所に当てる。しかしトロリンが倒れないので苦戦する。何度やっても魔法使いの打撃ほど弱いものはなく、厳しい戦いになった。最後はトロリンの急所に杖の先が刺さり倒したが、息が上っていた。またかすり程度だがダメージを受けた。



 アッキーは戦闘が終わるとすぐ俺たちを見ていた。勉強熱心な真面目な性格なのだろう。そうして出現したモンスターと戦闘し三時間後の事、


「もうポーションがないから引きあげましょう」

 エリスが修業の終了を告げた。理由はストックのポーションがなくなったから。いつまでも、こんな事つづけられない。エリスがカタリナを除名にするからだろ。と言ってやりたかった。


「戻ろう」


「ええ」


「・・・」


 エリスにゾロゾロついていく俺たち。すごそこで発生するモンスターを見て、俺はエリスに言った。


「あれ、エリスが倒してくれると嬉しいなー。綺麗な大魔法使い様なら楽勝だろっ」


 エリスは走って逃げた。


「逃げるのかよ~!」

 煽てても倒してくれなかった。


 危険で戦えない俺たちは、体に鞭を打ち追いかけていった。

 展開は決まっていないがダンジョン的思考(ワクワク、ドキドキ感)で書きました。別れる前に、カタリナに新しい装備品を購入したのは安全のためです(餞別も有)

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